ためになる!不動産用語集

あ行

IHクッキングヒーター

IH

IHとは、Induction Heaterの頭文字を取ったもので、「電磁誘導加熱器」という意味である。

IHクッキングヒーターは、トッププレート(結晶化ガラスなどの板)の下に、磁力発生用コイルを敷いたものである。
トッププレート上に鉄製の鍋を置いた状態でコイルに電流を流すと、電磁誘導により鍋底に電気抵抗が生じ、電気抵抗により鍋底が加熱される。

このような原理により鍋底全体を直接加熱するので、周囲の空気へ熱が逃げにくく、熱効率が80%以上と高いという特長がある。 2キロワットのタイプのIHクッキングヒーターは、4,000キロカロリーのハイカロリーバーナーに近い火力を持つとされている。

ただし電磁誘導により加熱を行なうため、磁力の影響を受けやすい調理器具(鉄製のフライパン、鉄鍋、18-0のステンレス鍋、鉄ホーロー鍋など)を使用する必要がある。アルミ鍋、銅鍋、土鍋、耐熱ガラス鍋などは使用することができない。また、鍋底が平らでない鍋(中華鍋など)も使用できない。

このため、アルミ鍋・銅鍋・超耐熱ガラス鍋などが使用できるクイックラジエントヒーターとIHクッキングヒーターを組み合わせたタイプの調理用ヒーターが開発され、普及しつつある(詳しくはラジエントヒーターへ)。

またIHクッキングヒーターを使用するには、家庭内の分電盤において、IHクッキングヒーターだけに使用する200Vの専用回路を設置する必要がある(ただし予備の回路がある場合、その回路を利用できる)。

IoT(インターネット・オブ・シングス)

Internet of Things。モノが人を介することなく相互に情報をやりとりする概念をいう。これによって、広範な分野で、自動的な認識、判断、制御等やそれらの統合・連携が可能になるとの期待がある。 

例えば、住空間の状態や設備を自動的に制御し、住生活ニーズに幅広く応えることを目指した取り組み(スマートハウス、インテリジェントハウス、ユビキタス住宅など)も、この概念の具体化である。そのほか、エネルギー管理の最適化、ウエアラブルデバイスによる生活ニーズの充足、自動車の自動運転等々、多様な展開が考えられている。

なお、IoTを具体的に展開するためには、モノに認知・通信・制御機能を埋め込むこと、大量の情報をネットワーク化し分散したままで処理すること、データの収集・蓄積・分析を自律的に行なうことなどの技術開発が必要である。

IP電話

インターネットをベースとした格安の音声電話サービスのこと。

IPフォンに加入するためには、利用者が光ファイバーADSLCATVという高速の情報通信サービスに加入していることが必要になる。その上で、利用者が加入している通信事業者(プロバイダなど)がIPフォンサービスを提供している場合には、利用者が申し込むことにより、IPフォンが使用できるようになる。ただし初期費用、月額(定額)使用料が必要である。

現在提供されているIPフォンのサービスでは、既存のアナログ電話機を、IPフォンに対応した特別の機器(IPフォン対応モデムなど)につなぐことにより、IPフォン通話が使用可能になるものが多い。

IPフォンに加入した場合、IPフォン専用の電話番号が交付される(既存の電話番号は一般電話回線として引き続き使用できる)。IPフォンへの一般電話・携帯電話からの着信も可能である。
IPフォンの加入者同士の通話は無料となることが多い。また、一般電話との国内通話・国際通話は格安となる。

アイランドキッチン

壁に接することなく独立して設置された調理台の形式。部屋の中で島(英語でアイランドIsland)のようなかたちとなることから名づけられた。

アイランドキッチンは、対面型のキッチンであるとともに、オープンキッチン(ダイニングルームや居間とつながった形式)でもある。開放感やコミュニケーション性に優れている一方、設置のために部屋の広さや強力な換気装置が必要とされる。

なお、アイランドキッチンに類似した調理台の形式として、一端のみ壁に接するかたちのもの(ペニンシュラキッチン)がある。

アウトフレーム工法

アウトフレーム工法

マンションの住戸を構造的に支える構法に、「ラーメン構造」と「壁構造」がある。

ラーメン構造は、柱とを剛接合するもの。壁構造は壁で荷重を持たせるものでそれぞれ一長一短があるが、ラーメン構法の場合は、柱や梁が室内側に出っ張り(出隅・入隅)、デッドスペースを生み出してしまう。この短所を解消するのがアウトフレーム工法。

柱や梁を住戸の外側に出してしまえば、住戸の室内には柱や梁の出っ張りはなくなるため、部屋を有効に使える。柱はバルコニー側と開放廊下側にあるが、バルコニー側に出すケースが一般的。

上がり框

上がり框

玄関に段差が設けられて、腰を下ろせるようになっているとき、その腰を下ろす部分にあたる水平材のこと。
高価な材が用いられることが多い。

空家に係る譲渡所得の特別控除

相続した空家の譲渡利益に対する所得税について、課税を軽減する措置。

課税の軽減は、譲渡所得を計算するとき、譲渡利益から3,000万円(譲渡利益が3,000万円未満のときはその額)を控除する方法で行なう。

特別控除が適用されるのは、相続開始の直前まで被相続人が住んでいた居住用家屋とその敷地を譲渡する場合であって、相続が開始した日から3年を経過する日の属する年の年末までに譲渡するなど一定の条件を満たす場合に限られる。

なお、この措置については、適用期限が定められているので注意が必要である。

アスベスト

石綿(せきめん・いしわた)のこと。

繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。

しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化 されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されてい る)。

建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。

預かり金

他者から預かっている金銭。例えば、賃貸住宅を貸したときに受領する敷金、支払い給与から源泉徴収した税金、取引に当たって受け取った保証金などは、いずれも預かり金である。

預かり金は、いずれは返還しなければならないから、貸借対照表では負債として処理される(1年以内に返還するものは流動負債、1年を超えて預かるものは固定負債)。

なお、返還する必要がなくなった預かり金は、金銭の支払いを受けたことになるので、収入として計上する。また、「預かり金」の逆は「預け金」である。

アセットマネジメント(Asset Management)

委託を受けて不動産などの資産の形成、運用、保全を行なうことをいう。

その際に重要なのは、投資目的に沿ってリスクとリターンをコントロールすることであり、資産価値を評価するほか、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定などについて工夫することが要求される。
また、その業務は多岐にわたり、例えば不動産を組み込んだアセットマネジメントにおいては、投資不動産の選定や売買だけでなく、不動産の収益性を左右する賃料の設定、テナントの選定などの業務にも関与する。

受託の方法として、大きく信託による方法と受委託の契約による方法とがあるが、その業務は、前者は主として信託業法によって、後者は主として金融商品取引法宅地建物取引業法などによって規制されている。

アパート

英語の「アパートメント(apartment)」を略した言葉。
わが国では1階建てもしくは2階建ての共同住宅で、建築構造木造または軽量鉄骨構造のものを一般的に指している。

しかし最近では2階建ての共同住宅であっても、重量鉄骨構造のものがあり、また外壁・内壁も軽量気泡コンクリートパネル等としているものもある。

このため、マンションとアパートの外観上・構造上の区別がつきにくくなってきている。

遺言

死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、日常用語として、「ゆいごん」と読むことが多い。

その最大の役割は、遺産の処分について被相続人の意思を反映させることで、遺言がない場合は民法の規定に従って相続が行なわれる(法定相続)が、遺言を作成しておくと、遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができる。
また、遺贈の方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能である。ただし、それが有効であるためには、民法に定められた方法で行なわなければならない。一般的には、遺言書の全文(日付と氏名を含む)を遺言者が自筆で記述して押印する自筆証書遺言、遺言内容を公証人に確認してもらってから公正証書にする公正証書遺言、遺言内容を秘密にして公正証書にする秘密証書遺言のどれかの方法による。

また、手続きを円滑に進めるため遺言執行者を指定することができ、遺言執行者は相続人の代理人とみなされる。遺言の執行は、弁護士、司法書士、行政書士、信託会社などが手がけている。

遺産分割

相続財産を相続人が分けることをいう。

遺言により各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、相続人全員で協議して、誰が、どの財産を、どの方法で、どれだけ取得するかを決めなければならないのである。

遺産分割の協議は、民法で「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とされている。遺産分割協議に相続人全員が参加していなかった場合は、その遺産分割協議は無効となる。

また、協議は相続人間での任意の話し合いであり、相続人全員で協議し、全員が賛成すれば、遺言や法定相続分に関係なく財産をどのように分けることも自由である。なお、協議ができないときや不調のときには、家庭裁判所で決めてもらうこととなる。

具体的な分割の方法としては、遺産そのものを現物で分ける現物分割、相続分以上の財産を取得するときにその代償として他の相続人に金銭を支払う代償分割、遺産を売却して金銭に変換したうえでその金額を分ける換価分割がある。

なお、遺産共有状態にある共有物に共有に関する規定を適用するときは、法定相続分(相続分の指定があるケースは、指定相続分)により算定した持分を基準とする。また、共有者は、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者(氏名等不特定を含む)の不動産の持分を取得することができるが(2023年4月1日以降)、相続開始から10年を経過していなければならない。

遺産分割協議書

遺産分割について協議・合意した内容を記載した書類。

相続に当たっては、相続人が複数のときには、被相続人の遺産を分割しなければならない。この場合、遺言書の内容どおりに分割するときや、民法に規定する相続分(法定相続分)どおり分割するときには、遺産分割について協議する必要はなく、遺産分割協議書を作成する必要もない。一方、これ以外の場合には、相続人が、相続割合や分割の方法を協議して合意する必要がある。遺産分割協議書はその合意内容を記載した書類である。

遺産分割協議書には、相続発生の事実、相続人の全員が合意したこと(相続人全員の署名及び実印の押印)、相続する遺産の内容(財産目録)、遺産分割の割合及びその方法を記載しなければならない。

相続は遺産分割協議書がなくても有効に成立するが、相続した遺産について、預金の名義変更・払い戻し、不動産の名義変更、相続税の申告などを行なう ときには、遺産分割協議書の提示を求められることがある。

なお、相続税の申告・納税期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内 である。期限までに遺産分割の協議が成立していないときは、各相続人が、民法に規定する相続分または包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして、期限までに申告・納税しなければならないとされている。

イ準耐

準耐火建築物の一つで、「建築基準法第2条9号の3イ」に規定されている建築物のこと。

主要構造部のすべてを準耐火構造にすると同時に、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)を防火戸等とした建築物である。

位置指定道路

特定行政庁から道路位置指定を受けた私道を、一般に「位置指定道路」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。

位置指定道路は「建築基準法上の道路」であるので、位置指定道路に面する土地では、建築物建築することができる。

一時金

毎月支給される給与以外の、一時的に支払われる給与をいう。賞与、ボーナス、期末手当等がこれに該当し、通常、年2回支給される。

一時金の性格については、経営上の業績等に応じて支給される特別の手当て、または、毎月の給与を補填するべく支給される生活給とする2つの考え方がある。しかし、いずれにしても給与であることに変わりはない。

一括競売

土地の競売に当たって、土地に対する抵当権の設定後にその土地に建物が築造された場合に、土地とともにその建物をあわせて競売することをいう。民法によって認められている。

なお、建物に対して抵当権が設定されていない場合や建物所有者が債務者と異なる場合にも当該建物を競売できるが、優先弁済の対象となるのは土地の対価についてのみであるほか、建物所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有している場合は建物の競売はできない。

一級建築士

建築物の設計や工事管理を行なうことのできる資格のひとつ。建築士法に基づき、国土交通大臣の行なう一級建築士試験に合格し、大臣から免許を受けることによって得ることのできる資格である。

建築物の設計・工事管理は、用途、構造、規模に応じて定められた一定の建築物について、一級建築士、二級建築士または木造建築士が行なわなければならないとされている(建築基準法)。この場合、二級建築士および木造建築士については設計・工事管理を行なうことができる建築物に制限があるが、一級建築士は、すべての建築物について設計・工事管理を行なうことができる。

ただし、一定規模以上の建築物の構造設計または設備設計に関しては、構造設計一級建築士または設備設計一級建築士による構造関係規定または設備関係規定への適合性の確認を受けるか、それらの者が自ら構造設計または設備設計を行なう必要がある。

一戸建て

独立した一軒の家屋がひとつの住戸となっている住宅。「戸建て」も同じ意味である。これに対して、複数の住戸で構成される建物を「集合住宅」「共同住宅」という。

一般建築物

建築基準法において、特殊建築物と、大規模建築物とのどちらにも該当しない建築物のこと。

一般定期借地権

借地借家法(1992(平成4)年8月1日施行)により創設された3種類の定期借地権のうちの一つ。

「一般定期借地権」とは次の3つの契約内容を含む定期借地権のことである。

1.更新による期間の延長がない。
2.存続期間中に建物が滅失し、再築されても、期間の延長がない。
3.期間満了時に借地人が建物の買取を地主に請求することができない。

なお、「一般定期借地権」の存続期間は少なくとも50年以上としなければならない。

一般媒介契約

媒介契約の一つの類型。
一般媒介契約とは、次の1.および2.の特徴を持つ媒介契約のことである。

1.依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
2.依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。

なお、依頼者が、「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて依頼する場合において、その「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に通知するかどうかにより、一般媒介契約はさらに次の2つの類型に分かれる。

1)明示型の一般媒介契約
明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知する義務があるとする媒介契約である。
2)非明示型の一般媒介契約
非明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知しなくてよいとする媒介契約である。

一筆の土地

土地登記簿において、一個の土地を指す単位を「筆」という。

従って、「一筆の土地」とは「土地登記簿上の一個 の土地」という意味である。

移転登記

所有権移転登記を参照。

委任契約

民法上の典型契約の一つで、法律行為の実施を委託する契約をいう。労務供給契約であるが、雇用契約と違い受任者の裁量で実施すること、請負契約と異なり結果の完成が必須ではないことに特徴がある。

宅地建物取引業における媒介契約は法律行為の実施を委任するものではないから民法上の委任契約ではないが、準委任契約として委任契約の規定(民法643~655条)が適用されることとなる。ただしその適用においては、特別法である宅地建物取引業法の規定が優先する。

委任状

一定の事項を特定の者に委任する旨を記載した書面。委任する事項(委任事項)、委任する相手(受任者名)などを記載する。

委任状がなくても委任契約は有効だが、受任者が委任事項(例えば各種の申請手続)を実施する場合に委任状の提示を求められることがある。この場合には、委任状の発行が直近(通例は3ヵ月以内)でなければならないとされることが多い。

委任状には、委任の意思を表示するべく委任者が自署しなければならない。また、委任は多くの場合に代理権の授与を伴うが、このときには、委任状はその証拠となる。

なお、委任事項、受任者名などを記載せず、その白地部分の補充を他者に任せた委任状(これを「白紙委任状」という)を発行することがある。この場合には、白地が補充されたときに委任状の効力が発生する。ただし、補充権のない者が補充する、補充者が権限を濫用するなどの恐れがあり、白紙委任状の発行については、その是非を含めて十分な注意が必要である。

居抜き

店舗や工場などを、その内部の商品、設備、什器備品などを設置したままの状態で売買・賃貸すること。

従って、居抜きで購入もしくは借りた場合は、以前のままの内装や設計設備等が付帯するので、比較的早期で営業にこぎつけることができる。

違反建築物

建築基準法都市計画法などに違反している建築物。建築後に増改築や用途変更を行なった結果、違法となる場合もある。
なお、法令の改正や都市計画の変更によって違法となった建築物は、「既存不適格建築物」であって違反建築物とはいわない。

特定行政庁は、違反建築物を発見した場合には、建物の取り壊し、改築、修繕、使用禁止などの是正命令を出し、違反事実を公示できる。また緊急の場合は、特定行政庁が任命した建築監視員が工事施工の停止を求めることができる。

違約金

不動産売買契約では、当事者の一方が債務を履行しない場合には、債務の履行を確保するために、その債務を履行しない当事者が他方の当事者に対して、一定額の金銭を支払わなければならないと定めることがある。
このような金銭を「違約金」と呼んでいる。

「違約金」と「損害賠償額の予定」とは、債務を履行しない当事者が支払う金銭という意味ではよく似た概念である。
しかし「違約金」は、実際に損害が発生しない場合でも支払いの義務が生じるという点で、「損害賠償額の予定」とは大きく異なっている。

ただし実際の売買契約においては、「違約金」という言葉を「損害賠償額の予定」と同じ意味で使用していることも多い。
さらに民法(第420条)では、違約金という言葉の意味について、売買契約書でその意味を明示していない場合には、違約金は「損害賠償額の予定」の意味であるものと一応推定されると定めている。

このように「違約金」は、「損害賠償額の予定」と同じ意味であると解釈されるケースも実際には多いのである。
そのため売買契約書において本来の意味での「違約金」を定める場合には、その意味を明記しておくことが望ましいといえる。

なお、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者売主となる宅地建物の売買契約においては、「損害賠償額の予定」と「違約金」との合計額は売買代金の2割を超えてはならないと定めている(宅地建物取引業法第38条)。

これは売買取引に精通していない一般の買主が不利にならないように特に保護している強行規定である。
宅地建物取引業者同士の売買取引については、この宅地建物取引業法第38条は適用されない。

遺留分

被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保されなければならない相続財産の割合をいう。

原則として相続財産は被相続人が自由に処分でき、推定相続人の相続への期待は権利として保障されないが、相続が相続人の生活保障の意義を有すること、被相続人名義の財産には相続人の潜在的持分が含まれていることが多く、これを顕在化させる必要があることなどから、相続財産の一定割合について相続人に権利を認めている。遺留分は、相続開始1年前に贈与された遺産などを合算して、直系尊属のみが相続人の場合は遺産の3分の1、それ以外の場合は全体で遺産の2分の1とされている。

印鑑証明書

捺印された印影(印を紙などに押した跡のかたち)が、あらかじめ届けられた印影(印鑑)と同一であることを証明する官公署の書面。届出できる印鑑は一つに限られている。

公正証書の作成、不動産登記、重要な契約などの際に、文書作成者が本人であることを証明するため必要とされる場合が多い。

印鑑証明書の交付は、個人の印鑑については、通常、市区町村長が条例等に従って行なうが、商業登記に当たって提出した印鑑については登記所が担当する。 

印鑑届けをした印影を生む印が「実印」である。

印紙税

契約書、受取書、証書、通帳などを作成する際に課税される税金。国税である。

印紙税は、印紙税法に定められている20種類の文書(課税文書)に対して課税される。例えば、不動産売買契約書、建築工事請負契約書、土地賃貸借契約書、代金領収書などは課税文書であるが、建物賃貸借契約書や不動産媒介契約書は課税文書ではない。

納付方法は、課税対象となる文書に収入印紙を貼り、その収入印紙に消印を押すことによって納税が完了する。この場合に、契約等において両当事者が文書を2通作成するときにはその2通についてそれぞれ印紙税を納付しなければならない。

印紙税を納めなかった場合には、印紙そのものを貼付しないときは納付すべき金額の3倍(自ら申告したときは1.1倍)、消印をしないときは消印をしない印紙と同額の「過怠税」が課税される。

印紙税額は、文書の種類および文書に記載された契約金額等に応じて定められている。

なお、不動産の譲渡に関する契約書および建設工事の請負に関する契約書については、税率の引き下げが措置されている。ただし、この特例の適用については期限が定められているので、具体的な期限について確認が必要である。

インターホン

交換機なしで相互に通話できる電話装置。英語でInterphone。

マンションにおいて共用玄関と各戸のあいだで通話するなど、建物の内外で通話するときに用いられることが多い。広義には、船舶、工場、事務所などで用いられる構内専用回線による通話設備もインターホンである。通話と同時に通話者の映像を送信することができる装置もある。

インターホンによる通話・映像伝達は電気通信事業に該当せず、インターホンは自由に設置・運用してかまわない。

インナーバルコニー

屋外に開かれた部屋状の空間。屋外とのあいだに壁がない一方、バルコニーと違って屋根を備えている。形状はベランダと似ているが、部屋として利用でき、原則としてその床面積容積率に算入される。

インフラ(インフラストラクチャー)

生活や産業活動の基盤となっている施設。「インフラ」は「インフラストラクチャー」を略した言葉で、英語のinfrastructureである。直訳すると「下部構造」であるが、「社会的基盤施設」または「社会資本」と訳されることが多い。

インフラとされている施設は、公共的な機能を担う施設で、道路、治水施設、港湾、鉄道、公園、上下水道、通信施設、エネルギー供給施設などが含まれる。また、広義には、これら公共施設のほか、教育、医療、社会福祉などの社会サービスを提供するための施設を加えている場合もある。

その多くが公共財の性質を帯びていること、社会の統合や安定の維持に不可欠であること、長期的な視点で計画的に整備・管理する必要があることなどから、その整備・管理は、政府が直接に担い、あるいは政府による強い監督のもとで実施されている。また、それら施設が満たすべき機能や構造については、法律に基づいて基準が定められている。

インボイス方式

定められた形式の書類に基づいて消費税額を算定する制度。「適格請求書等保存方式」ともいう。

インボイス方式は、仕入れ税額控除に当たって、定められた形式の書類(インボイス)に記載された税額のみを認めることとなるため、消費税を適切に課税することができるとされている。

インボイス方式を実施するには、インボイスの発行事業者を登録するなどのしくみを整備する必要がある等のため、その適用は、2023年10月1日からの予定である。

e内容証明(電子内容証明)

インターネットを通じて差し出す文書について、その内容を証明し配達するサービス。日本郵政が提供している。

e内容証明を受ける文書は、インターネットを利用していつでも差し出すことができ、自動的に内容証明文書が作成・照合され、封入封緘されて内容証明郵便として発送される。

ウィークリーマンション

短期間の居住のために賃貸されるマンションをいう。「短期賃貸マンション」ともいわれる。

家具、家電製品、食器・調理器などが備わっていて、一時的な滞在の便を満たすことができる。また、賃貸住宅に比べて賃貸借の手続きが簡単である。

ウィークリーマンションの営業は、旅館業法による宿泊営業または不動産賃貸営業(貸室業)のいずれかにあたるが、その基準は明確ではない。一応の目安として、賃貸期間が1ヵ月を超えていれば貸室業であるとされている。

ウィークリーマンションを宿泊営業に充てる場合には、旅館業法による許可が必要で、一定の設備の設置等が求められる。

ウォークインクローゼット

ウォークイン、つまり歩いて入れるクローゼット、衣類の押入のこと。衣装ダンス、衣裳戸棚を指すワードローブは家具のニュアンスが強いのに対して、ウォークインクローゼットは造り付け家具、ないし部屋の意味に使われることが多い。

ウォークスルークローゼット

通り抜けできるクローゼット(衣服の収納空間)。英語のwalk through closet。

部屋間の通路の壁面を利用して設置されることが多く、ウォークインクローゼットと違って扉がない場合が多い。

浮床工法

浮き床工法

歩行音やピアノ等の演奏に伴う音の振動が、床を伝わって伝搬しないようにするための工法。主構造体に防振材を据え付け、音を遮断・絶縁する。

請負契約

当事者の一方がある仕事を完成することを、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことをそれぞれ約束する契約。例えば、住宅の建築工事、洋服の仕立て、物品の運搬などの契約がこれに該当する。

請負契約の目的は、仕事の完成であって労務の供給ではないから、仕事の目的物が定まっていて、通常は、目的物を引き渡すことで仕事が完成する。

請負契約については民法に一般的な規定がある。また、たとえば建設工事の契約に関しては建設業法、運送契約については商法等のような特別法の適用がある。

民法は、
1)請負契約による報酬は目的物の引渡しと同時に支払わなければならないこと
2)引き渡した目的物が契約不適合の場合には、注文者は、補修等の追完請求報酬減額請求損害賠償請求、契約解除をすることができること(ただし、与えた指図等によって生じた不適合を理由にすることはできない)
3)契約不適合による請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から一年以内にその事実を通知しなければならないこと
4)請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できること
などを定めている。

なお、民法には、請負人の担保責任の存続期間について特別の定めがあったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって削除された。ただし、住宅の新築工事の請負に関しては、特定の部位についての契約不適合責任の存続期間は10年とされている(住宅の品質確保の促進等に関する法律)。

請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)

請負契約によって引き渡した目的物(例えば、建設工事請負によって完成した建物)が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、請負人が負うこととなる責任。民法の規定による契約不適合責任のひとつで、これを「瑕疵担保責任」という。

請負人に契約不適合責任を負わせるためには、注文者は、追完請求(補修等の実施を求める請求)、報酬減額請求損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。

民法は、契約不適合責任を負わせるためには、注文者は、原則として契約不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならないとしている。ただし、請負人が不適合を知っていたときまたは重大な過失によって知らなかったときはその限りではないとされている。

また、請負人は、知りながら告げなかった事実等についての契約不適合責任については免れることができないが、それ以外の事由による契約不適合については責任を負わない旨の特約をすることが認められている。

しかしながら、住宅の品質を確保するため、新築住宅の工事請負契約については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、契約不適合責任(瑕疵担保責任)について次のような特例が定められている。

(1)新築住宅の「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」の契約不適合(瑕疵)について、請負人は、注文者に住宅を引き渡した時から10年間、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う。
(2)契約によって、(1)の瑕疵担保期間を20年以内に延長することができる。

この特例は強行規定であり、特約によって責任を免れることはできない。

なお、民法には、請負人の瑕疵担保責任の存続期間等について特別の規定があったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって削除され、契約不適合責任に統合・整理された。

雨水枡

建物敷地に敷設された雨水排水管(雨樋や集水枡からの雨水を集めて導く配管)の合流部や屈曲部に設置される枡。一般に円筒形で蓋が付いている。土砂を沈積させるほか、清掃や配管の点検に用いられる。

なお、敷地内の雨水を処理する方法には、雨水排水管を敷地外の公共排水路に接続する方法と、雨水排水管を敷地内に設けた浸透枡に導いて地面に浸透させる方法とがある。

内金

内金とは、売買契約が成立した後に、売買代金の一部として買主から売主へ交付される金銭のこと。

手付が売買契約が成立する際に交付されるのに対して、内金は契約成立後に交付されるという違いがある。

また、手付は契約の義務が履行されれば代金に充当されるのに対して、内金は交付される時点ですでに代金の一部である。

内法

建物床面積を測定する際に壁の厚みを考慮せず、壁の内側の部分の面積だけを「床面積」とする考え方のことである。

不動産登記法では、分譲マンションなどの区分所有建物を登記する場合には、この内法の考え方で床面積を計算することとされている(不動産登記法施行令第8条)。

この反対に、建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のことを「壁心(へきしん・かべしん)」という。

ちなみに建築基準法では、建築確認を申請する際には、建物の床面積はこの壁心の考え方で測定することとしている(建築基準法施行令2条1項3号)。

従って、分譲マンションなどの区分所有建物については、建築確認を申請する際には床面積を「壁心」で求めるが、その後に登記をする際には床面積を「内法」で求めているのである。

内廊下

建物の内部に設置する廊下。そのかたちには、片廊下と中廊下とがある。いずれも、部屋と同様に、換気や照明が必要だが、外気にさらされることはなく、片廊下には一般に窓が設けられている。

なお、内廊下に対して、建物の外部に設置する廊下を「外廊下」と言う。

ウッドデッキ

ウッドデッキ

庭の一部に設けられた木製の床で、居間等と連続した造りになっているものを「ウッドデッキ(木の甲板)」という。

埋立地

水面を土砂等で埋め立てて造成された陸地。

埋立地は、港湾、空港、工場用地、住宅用地、商業用地などに利用されている。また、公共の水面を埋め立てるためには、公有水面埋立法に基づき都道府県知事の免許が必要で、国土利用上適正かつ合理的であることなど一定の要件を満たさなければならない。

埋立地の造成に当たっては、通常、土砂の流失、地盤沈下地盤の液状化などを防止するため、地盤改良、護岸の構築、埋立材の選別などの対策が講じられる。また、埋立に伴う環境への影響調査が必要な場合も多い。

なお、干拓地は、水面を区切って排水すること(干拓)によって生まれる土地であって、埋立地ではない。ただし、干拓についても公有水面埋立法が適用される。

売建住宅

開発した宅地を分譲する際に、同時に宅地の購入者がその宅地に建設する住宅を分譲事業者に発注する方法で建てられた住宅をいう。

建売住宅」の建築主は不動産会社であるのに対して、「売建住宅」の建築主は宅地の購入者である。建売住宅に比べて設計などの自由度は高いが、建築を請け負う業者はあらかじめ決められている他、用意された建物の設計モデルから選択して発注することが多い。

なお、宅地分譲の方法は、大きく、宅地のみの分譲(更地分譲)と住宅付の分譲(建売分譲)に分かれるが、売建住宅はその実態を照らせば後者の類型に近いと考えてよい。また、宅地分譲の際に一定期間内に住宅を建設することを条件とする方法(建築条件付宅地分譲)があるが、売建住宅はこの方法の一つでもある。

売主

不動産売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。

また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。

この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことである。

売渡証書

不動産売買契約の内容を簡潔に要約した書面のことを「売渡証書」という。

この売渡証書は、売主または買主からの依頼により、登記手続きを担当する司法書士が不動産売買契約書をもとにして作成するのが一般的である。
売渡証書の記載内容は「売主の住所氏名」「買主の住所氏名」「売買される不動産の概要」である。
この売渡証書は「所有権移転登記の原因を証する書面」として、所有権移転登記を申請する際に、登記所に提出される。

売渡承諾書

不動産の売買において、当該物件を売り渡す意思があることを表明する書面で、売主が買い受け希望者に対して交付する。書面には、売り渡し価格や売渡条件等が記載されている。

売渡承諾書は契約締結が可能である旨を表明するものであって、契約に至る過程で交わされる確認等のための文書に過ぎず、それを交付しても契約の申し込みや承諾の効果はないとされている。

ただし、売渡承諾書の交付によって一定の信頼関係が形成されることとなるので、売渡承諾書を交付したにもかかわらず合理性に欠ける理由等で契約に至らなかった場合には、信義則に反するとされることがある。

上物

土地の上に建物が存在しているとき、この建物を「上物」と呼ぶ。

土地に上物がある場合には、土地の状態を示すとき「上物あり」などと表示することが望ましい。

また、不動産広告においては、取引する土地の上に古家、廃屋等の老朽化した上物が存在する場合には、その旨を明示しなければならないとされている(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)。

エアコン

室内の空気温度・湿度を調整する設備。英語のAir conditionerを略した和製語。

エアコンは、冷媒ガスを循環させ、圧縮することによる放熱と減圧することによる吸熱を交互に繰り返すによって、冷媒ガスと接触する空気を暖め・冷やすしくみである。この暖め・冷やす装置が熱交換器であるが、一方を室内に他方を室外に置く(室内機・室外機)ことによって、室内を冷暖房する。エアコンが働くのは冷媒ガスが熱を運搬しているからであって、空気は室内外を出入りしてはいない。

家庭用エアコンの方式には、室内機と室外機を分離してダクトで繋ぐセパレート型と、両者を一体化して窓の内外に置く窓付け型(窓付けエアコン)とがあるが、広く普及しているのはセパレート型エアコンである。

なお、かつて冷媒ガスとしてフロンガスが使われていたが、オゾン層を破壊することが判明してその使用は禁止されている。また、その代替品(代替フロン)も温室効果ガスのひとつであることから、ノンフロン物質の使用が始まっている。

営業保証金

宅地建物取引業者が営業を開始するにあたって、供託所に供託しなければならない金銭。この保証金は、宅地建物取引業者との取引によって生じた債権の履行を担保する機能を果たす。

営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。

なお、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならないとされている。分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。

液状化(地盤の~)

地震の際に地盤が液体状態となる現象をいう。

水分をたくさん含んだ砂質の地盤で発生する。

地震による強い振動によって砂粒の間にある水分の圧力(間隙水圧)が高まり、砂粒の動きが自由になるために生じる。その結果、地上構造物の沈下や倒壊、地中構造物の浮き上がり、地盤の水平方向への移動(側方流動)、水と砂の吹き上げ(噴砂)などが起きる。
新潟地震(1964)でその発生が確認され、その後、阪神・淡路大震災(1995)や新潟県中越地震(2004)でも発生した。また、東日本大震災(2011)では、千葉県浦安市をはじめ広範囲に発生し、大きな被害をもたらした。

なお、液状化あるいはそれによる被害を防ぐための工法が開発されている。

エコウィル(ECOWILL)

ガスを用いて熱と電力とを同時に供給する家庭用装置のひとつ。小型のガスエンジンによって発電し、その際に発生する熱を給湯や暖房に利用する方法の愛称である。

熱と電力とを同時に供給することを「コジェネレーション」という。エコウィルは、ガスを燃焼して動力を得る装置(ガスエンジン)を用いたコジェネレーション手法の愛称である。一方、同様にガスを動力源とするが、燃料電池を用いるコジェネレーション手法の愛称は「エネファーム」という。

エコウィルはエネファームよりも安価な手法であるが、給湯をメインにした装置であるため貯蔵する湯量を超える発電はできない。

エコキュート

ヒートポンプ(熱媒体の圧縮・膨張サイクルによって低温の熱を高温に移す技術)を利用して、大気の熱で湯を沸かして給湯する機器。エコキュートという名前は「エコ」と「給湯」をつないだ統一商品名である。

熱媒体を圧縮するための動力源として電力を使うが、発熱のためのエネルギーとしては電力を利用しないため、水を直接に熱して給湯する場合と比べてランニングコストが小さく、環境負荷も少ないとされている。

エコスタイル

環境負荷が小さい生活様式。和製英語。

例えば、適正冷房の徹底、夏季の軽装勤務、3R(Reduce、発生抑制)、(Reus、繰り返し利用、(Recycle、再利用)によるごみ減量化などを取り入れた生活は、エコスタイルである。

エコハウス

環境への負荷を抑えるための対策を講じた住宅のこと。
対策の目標は、省エネルギーや再生可能エネルギーの使用、資源の再利用、廃棄物の削減などであり、具体的には、屋上緑化や雨水の再利用、太陽光・風力エネルギーの利用、ゴミの減量などが実施される。

その基準として、例えば(一財)建築環境・省エネルギー機構が定めた「環境共生住宅認定基準」があるが、この基準では、環境負荷の抑制だけでなく、バリアフリー化や室内の空気質の維持(シックハウス対策)なども要求されている。

SRC

「Steel Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
鉄骨鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋コンクリートに、鉄骨を内蔵させた建築構造
比較的小さい断面で、強い骨組を作ることができ、粘り強さもあるため、高層建築に多用されている。

S造

Sは「Steel」のことであり、「鉄骨構造」という意味である。
鉄骨造とも。

柱とを「鉄骨」で作り、壁・床に「木質系パネル」「軽量気泡コンクリートパネル」「窯業系パネル」など使用した構造のこと。

主要な構造を形成する鉄骨の種類により「軽量鉄骨構造」と「重量鉄骨構造」に分けることができる。

SDGs

国連が定めた世界が共通に達成すべき目標。SDGsは、英語のSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略語である。2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、2015年9月に国連で開かれたサミットで採択された。

持続可能な開発とは、「将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発」である。そのための目標群がSDGsで、「貧困に終止符を打つため、経済成長を促し、教育、健康、社会的保護、雇用機会を含む幅広い社会的ニーズを充足しながら、気候変動と環境保護に取り組む」ための17の目標(ゴール)で構成されている。目標は、人間・豊かさ・地球・平和・パートナーシップという広い分野にわたって設定されていて、その達成のためには、経済成長、社会的包摂、環境保護を調和させる必要があるとしている。

また、SDGs の17の目標については、その達成を具体的に評価する全部で169のターゲット(具体目標)が定められている。たとえば最初に掲げられた目標「すべての場所におけるあらゆるかたちの貧困を終わりにする」(目標1)については、「2030年までに、すべての場所において、1日1.25ドル未満で生活する極貧の人々をなくする」(ターゲット1.1)など7つのターゲットがある。

FIT制度(固定価格買取制度)

電気事業者に対して、再生可能エネルギー電気を固定された価格(固定買取価格)で、一定期間、全量を買い取ることを義務付ける制度をいう。FITは、Feed-in Tariffの略語である。

買い取りの対象となる再生可能エネルギー電気は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを利用して発電された電気(住宅用太陽光発電の余剰電力を含む)である。買い取り価格および買取期間は、エネルギー源ごとに、コスト低減を促す観点を含めて、入札または調達価格等算定委員会の審議によって定めることとされている。

買い取りの義務を負うのは一般送配電事業者であり、買い取った電力は、卸電力取引所を経由して小売電気事業者等に供給される。このとき、買取費用は再生可能エネルギー発電促進賦課金として電気料金に上乗せされるが、賦課金額は全国一律で、電⼒多消費事業者に対する減免措置などの負担調整が行なわれている。

この制度は、一定の価格で発電した電気の全量が確実に買い取られるため、再生可能エネルギー事業の推進を促すことになる一方、コスト低減を図るための措置が必要である。

日本では、2009年に太陽光について先行的に導入されたのち、2012年にすべての再生可能エネルギーを対象とする制度へと拡大され、2017年度には、入札制度の導入や中長期的な買取り価格の設定など、事業の効率化などに向けた競争を促すしくみが整備された。

MLS(Multiple Listing Service)

不動産の売り情報をリスト化・共有化して取引を支援する仕組み。不動産仲介業者に対するサービスとしてアメリカで発達した。

掲載される売り情報は当該物件の価値を評価できるものであること、リストは資格ある業者に対して広く公開されていること、取引は売り・買いの依頼を受けた業者が共同で仲介することなどが特徴とされる。

原型は業者仲間の情報共有であって古くから行なわれてきたが、情報通信技術の発達に伴って高度なサービスが提供されるようになっている。

MLSは、日本の「指定流通機構」構築に当たって参考とされた。「マルティプル・リスティング」を参照。

LED照明

発光ダイオード(LED)を光源とする照明器具。LEDはLight Emitting Diodeの略語で、電圧を加えると発光する半導体素子である。

LEDが発光するのは、P型半導体(正孔が多い)とN型半導体(電子が多い)を接合した素子に順方向に電圧をかけると、正孔と電子とが再結合してエネルギーが発生し、光となるからである。LED照明はその現象を利用した器具である。この場合に放出される光は、半導体を構成する化合物によって波長が異なっていて白色ではない。そのため、照明に用いるためには白色にする必要があるが、その方法には、大きく分けて、青色LEDの光を蛍光体に通して白色に変換する方法と、異なるLEDが発光する青・赤・緑の光を混光して白色にする方法とがある。現在は前者の方法が普及している。

LEDは、発光方法の特質から、白熱電球に比べてエネルギー効率が高く耐久性に優れるとされるが、高価である。

なお、白熱電球はフィラメントに通電することによって生じる熱輻射発光を、蛍光管は放電で生じる紫外線が蛍光体に当たって可視光線に変わる現象を、それぞれ利用した照明器具である。

L値

音をどの程度遮るか(遮音性能)を表わす単位をいう。

衝撃の伝わり方の程度によって測定し、ほとんど気にならない程度の音の伝わり方をL-50として、数値が小さいほど遮音性能が優れるように定められている。

LDK

「リビング・ダイニング・キッチン」のこと。
リビングは「居室」、ダイニングは「食事室」、キッチンは「台所」であり、リビング・ダイニング・キッチンは「居室兼食事室兼台所」という意味である。

不動産広告を規制している「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、広告中に「LDK」と表示する場合には、「居室兼食事室兼台所」として使用できるだけの広さと機能を備えていることが必要であるとしている(不動産の表示に関する公正競争規約第15条第25号)。

この場合に、最低必要なLDKの広さの目安は、居室(寝室)数が1部屋のときには8畳、2部屋以上のときには10畳以上とされている。

LPガス

可燃性炭化水素を圧縮し液化した燃料で、Liquefied Petroleum Gasの略語。日本では「液化石油ガス」と訳され、「プロパンガス」も同じ意味で使われている。

主成分は、石油から精製されるプロパン(構造式 CH3-CH2-CH3)またはブタン(構造式 CH3-CH2-CH2-CH3)で、常圧常温で容易に気化し、燃焼時の発熱量が大きい。本来無色無臭であるが、微量の硫黄系化合物で着臭されていて、液体のままボンベに充填して運搬・供給される。

なお、LPガスに似た燃料用ガスとして「都市ガス」があるが、都市ガスの主成分はメタン(分子式CH4)で、ガス管によって気体のまま供給される。

縁側

建物主要部の外側に張り出した板敷きの空間。「縁」は「へり・ふち」という意味である。

縁側は、和風建築において用いられ、建物の縁をかたちづくる空間デザインの一つである。
縁側のつくり方には、床板が空間の短手方向に張られ、一般に雨ざらしとなっている「ぬれ縁」と、床板を空間の長手方向に張って、外部と雨戸などで仕切った「くれ縁」とがある。

延焼

火災が他の建物に燃え広がること。炎の接触や放射熱による延焼と、飛び火による延焼とがある。「類焼」も同義。

延焼を防止するため、都市計画で「防火地域」または「準防火地域」を指定し、指定地域内の建物について、防火設備を設置すること、耐火構造または準耐火構造とすることなどが定められている。この場合に、防火設備の設置や耐火構造化が義務付けられるのは「延焼のおそれのある部分」についてであるが、この「延焼のおそれのある部分」とは、原則として、隣地境界線等からの距離が、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の距離にある建物部分である。

延焼防止性能

火事の際に延焼しないための建物性能。防火のために必要とされる性能のひとつである。

建築基準法においては、延焼防止性能は、建物のすべての壁・柱等に対して一律に耐火性能を要求することで確保されてきた。しかしながら、外壁や開口部など外殻の防火性能を高めれば、構造物に対して一律に耐火性能を要求しなくても延焼防止性能を確保できると考えられている。

そこで、延焼防止性能について技術的基準を整備し、防火地域準防火地域における延焼防止性能の高い建築物建ぺい率制限を10%緩和するほか、建物内部の柱等に木材を利用する設計を容認することとされている。

エントランス

建物の入り口や玄関のこと。マンションや商業ビルでは、その建物の印象に強い影響を及ぼすことが多い。

沿道地区計画

都市計画法第12条の4に規定する「地区計画等」の一つ。幹線道路の沿道の整備に関する法律に従い、都市計画によって定められる。

沿道地区計画は、幹線道路のうち交通騒音が著しく沿道に相当数の住居が密集している道路(沿道整備道路という)の沿道の地区について、緑地帯などの緩衝帯の整備、沿道の建築物建築の規制などにより、騒音被害の防止を図ろうとする計画である。

塩ビ管

ポリ塩化ビニールで作られている管。用途、太さ、長さはさまざまである。

ポリ塩化ビニールは化学製品で、耐久性があって、燃えにくく加工しやすいため、管類のほか、建設資材など幅広い用途がある。

英語名はpolyvinyl chloride(ポリビニル クロライド)で、PVCと略記される。

ALC造

ALC造とは、 ALC製のパネルを使用した建築構造のことである。

以前は高級戸建住宅の外壁や間仕切りをALCとすることが多かったが、最近では賃貸マンションにもALC造が多用されるようになった。

AJFI(不動産ファンドインデックス)

不動産投資ファンドの運用実績を示す指数で、(一社)不動産証券化協会が公表しているもの。ARES Japan Fund Indexの略(ARESは、Association for Real Estate Securitizationの略称)。
 
不動産インデックスは、一般的には実物不動産の平均的な価格動向を示す指数であるが、AJFIは不動産投資ファンドの平均的な収益動向を示す指数で、ファンドの運用成績を表している。

AJFIの算定は、主に賃貸収益を目的に運用される不動産投資ファンド(コア型不動産ファンドという)の当期利益(インカムゲイン)と、そのファンドが投資した不動産の純資産額の増減(キャピタルゲイン)とを加重平均する方法で行なわれ、2001年12月31日を1,000とする指数のかたちで月次に公表される。この場合、インカムゲインにはファンドが投資のために借り入れた資金の割合やコストなどが反映されているので、実物不動産の収益とは異なる動きを示す。

なお、算定の対象となるファンドは、JREIT私募ファンド(私募REITを含む)である。

ADSL

通常のアナログ固定電話回線を使用して高速で通信する技術をいう。

Asymmetric Digital Subscriber Line(非対称デジタル加入者線)の略。

通信の方向(上りか下りか)によって通信速度を変えることで通信速度の高速化を実現する手法であり、アナログ通信線にデジタル情報を乗せる方法を取るため特別の配線工事を必要としない。インターネットの利用においては、サイトからのダウンロード(下り)需要のほうが格段に大きいので、ADSLを活用すれば、画像等の大容量データの取り込み時間を容易に短縮できる。

ADSLを活用した商業用サービスは、日本では1999年に開始され、2001年に急速に普及した。この年をブロードバンド元年というのはそれゆえである。

一方、通信線として光ファイバーを利用する技術(光通信)は、ADSLよりもより高速で安定した通信を可能とするが、敷設のための配線工事が必要であることから、しばらくの間はADSLと光通信との併存が続くと予想されている(08年3月には、光通信加入世帯数がADSL回線加入世帯数を上回るに至った)。

追いだき

追い焚き、追焚きとも。

風呂の湯の温度が時間の経過や入浴により低下したときに、温度を上げるために風呂の湯を再度加熱することを「追いだき」という。

かつては手動で追いだきを行なっていたが、近年はオートタイプのガス風呂給湯器やオートタイプの電気温水器が登場したことにより、自動的に追いだきを行なうことができるようになった。

押入れ

部屋の一部分をふすま、または戸で仕切った空間で、寝具、衣服等の生活用品を収納する場所。英語の「closet(クローゼット)」も同じ意味で使われる。

おとり広告

実際には取引できない物件の広告のことで、客寄せのためにする。
架空の物件、売却済みの物件、売主に取引の意思がない物件などの広告はすべてこれに当たる。そのような広告を出すことは宅地建物取引業法に違反し、また、不動産公正取引協議会不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)で禁止されている。

踊り場

階段の途中に設けられた踏面の広い段のこと。階段を昇降するときの危険防止と小休止のために設ける。また、階段の方向を変えるときにも付ける。

幅と奥行き、段の高さの最大・最小寸法については、建築基準法で決められている。

折り上げ天井

壁の上端に弧状の蛇腹を設けて、天井面を高くした天井。壁面と天井とが凹曲面で接合される。和風建築のデザインとして用いられ、このようなデザイン技法を「折り上げ」、設置する弧状の蛇腹を「折り上げ支輪」という。

折り上げ天井は、天井面が壁面上端よりも高いので、開放感のある部屋を形づくることができる。

温水洗浄便座

温水を噴出して肛門等を洗浄する機能のある便座。洗浄強度の調整のほか、乾燥や脱臭などの機能が付加されている場合もある。

「ウォシュレット」「シャワートイレ」などの商標があり、これらの商標で呼ばれることも多い。

OL(オープンエアリビング)

リビングと連続していて一体的に使うことのできるバルコニー。Open air Livingの略語だが和製英語である。

オープンエアリビングとリビングとのあいだは、一般に、折り戸式全開口サッシによって仕切られていて、サッシを開けば両方の空間が一体化する。

オートバス

自動的に給湯する機能を備えた浴槽。和製英語である。

湯量、湯温などを設定しておけば、給湯の開始をボタンなどで指示するだけで設定どおりに給湯される。この場合、自動的に追い焚きする機能を備えたものを「フルオートバス」、追い焚きのためには別途の指示が必要なものを「セミオートバス」という。

なお、オートバスであっても浴槽の栓は自動的に開閉しない。

オートロック

ドアを閉じると自動的に施錠するしくみ。和製英語で、英語ではautomatic door lock(オートマチック ドア ロック)が一般的。

マンションの出入口、ホテルの部屋などで使われている。

オーナーチェンジ

賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売却することをいう。

購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションでよく使われる方法である。その際に、賃借人から預かっている敷金の引渡しや建物の管理ルールの引継ぎなどに注意が必要である。

オーバーハング

もともとは登山用語で、岸壁の上部に突き出た岩、張り出した岩のことをいうが、建物の場合は、外壁よりキャンティレバーで支えられた跳ね出した床、バルコニーのことをいう。

オープンエアスペース

通常よりも広くて開放感があるベランダまたはバルコニーを指す用語として使われることがある。その明確な基準はなく、一般的な用語ではない。また、英語ではない。

ベランダやバルコニーの開放感は、広さだけでなく部屋との連続性も大事な要素である。広告や間取表示の名称に惑わされず、状態を実地で確認しなければならない。

なお、建築基準において、ベランダやバルコニーの外端からの距離が1m超える内側の部分は、建築面積に算入される。

オープンキッチン

居室・食事室と一体となっていて、部屋と仕切りがない調理スペースをいう。

間取りを広くとることができ、調理中にも居室とコミュニケーションを保つことができる一方、調理に伴う臭いなどが居室・食事室に波及することへの対応や、収納スペースの適切な確保が必要となる。

オープンスペース

大規模なビルやマンションに設けられる空地(くうち:敷地のうち建築物が建てられていない部分)であって、歩行者用通路や植栽などを整備した空間をオープンスペースという。また広い意味では、都市における公園・緑地・街路・河川敷・民有地の空地部分などの建築物に覆われていない空間を総称して「オープンスペース」と呼ぶ場合がある。

高層建築物による景観や生活環境の悪化に対する制度として、国では1961(昭和36)年に特定街区制度、1971(昭和46)年に総合設計制度を創設した。
これらの制度は、大規模なビルやマンションを建設する際に広い空地を確保し、その空地を一般の歩行者が自由に通行できる空間として利用することを推奨するものである。
特に後者の総合設計制度は、現在も広く活用されており、この制度によって設けられた一般公衆が自由に出入りできる空地は「公開空地」と呼ばれている。

近年では、大規模なビルやマンションにおいて、ヒートアイランド現象を緩和するために地上の空地部分の緑化が推進されており、また地方自治体の条例により良好なまち並みの形成が推進されている。

さらにビルやマンションの市場価値自体を高めるという目的のために、開発者が空地に歩行用通路・樹木・植栽・庭園・水路などを整備することが盛んになっている。
このようなさまざまな理由にもとづいて、大規模なビルやマンションの空地において、通路・植栽等を整備することが近年盛んになっている。こうした空地のことを一般に「オープンスペース」と呼んでいる。

オープンハウス

本来は、企業のオフィスや生産施設を、顧客・取引先・投資家に見学させて、企業に対する理解度を高めるという企業広報活動のこと。

不動産業界では、販売しようとする物件の内部を一定の期間、担当営業員が常駐して、買い希望客に公開するという販売促進活動を指す。

オール電化システム

住宅内の熱源、例えば冷暖房、給湯、調理などに必要な熱をすべて電気で賄うシステムをいう。

燃料の燃焼による有害物質や水蒸気が発生しないこと、火事の恐れが比較的小さいことなどが特徴とされる。

か行

改善命令(宅地造成等規制区域における~)

宅地造成等規制区域の中の宅地において、崖崩れや土砂の流出を防止するために必要な擁壁や排水施設の設置が不完全である場合には、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)は必要な改善工事を行なうことを命令することができる。これを改善命令という(宅地造成等規制法第16条)。

階段

登り降りする段差のある通路。「きざはし」「梯子段」とも言う。建物の階を移動するための設備として造り付けるほか、傾斜の大きい道などにも設置される。

階段は、複数の平面を高低差をもって順次に連結した構造になっている。この構造において、隣り合う平面の高低差を「蹴上げ」、足を乗せる平面の奥行きを「踏面」、高い階段の途中に設ける広い平面部分を「踊り場」という。

建築基準では、住宅用の階段について、蹴上寸法を23cm以下(共同住宅の共用階段は22cm以下)、踏面寸法を15cm以上(同21cm以上))、幅員を75cm以上とすること、高さ4m以内ごとに踊り場を設けること、手すりを設けることを義務付けている。ただし、蹴上寸法と踏面寸法との関係や階段の斜度については特に決まりはない。

階段のかたちには、まっすぐに昇降するもの(直階段)のほか、踊り場で直角に向きを変えるもの(かね折れ階段)、踊り場で向きを正反対に変えるもの(折り返し階段)、らせん状に回りながら上り下りするもの(螺旋階段)などがある。

階段下収納

階段の下に設けた収納スペースのこと。

デッドスペースを有効に利用する方法であるが、スペースのかたちは直方体とはならない。

改築

建築物の全部もしくは一部を除却すると同時に、これと同様の規模・構造の建築物を建てることをいう。

建築基準法では、改築も「建築」の一種とされており(建築基準法第2条第13号)、改築についても建築確認を申請する必要がある(建築基準法第6条)。

買取再販

既存住宅を買い取り、リフォーム工事を実施した上で販売する事業形態をいう。

買取再販に当たって実施するリフォーム工事が、大規模な修繕工事、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修など一定の要件に該当する場合には、当該既存住宅の取得に係る登録免許税の軽減措置および、不動産取得税の軽減措置が講じられている。

買主の地位の譲渡

売買契約における買主の地位をさらに別の者に売り渡すことをいう。

契約上の地位を譲渡する旨の契約を締結することにより実現する。中間省略登記を合法的に行なうための手法の一つとされる。

買主の地位の譲渡を利用した実際の契約は、次の2つの契約からなる。

1.売買契約(A→B)
2.買主の地位を譲渡する契約(B→C)

この結果、所有権はAから直接にCに移転する(BC間の契約は売買契約に従属するため、CはAB間の契約内容を知ることができる)。

開発許可

宅地造成等(開発行為)を行なう際に必要とされる許可のこと。都市計画法に基づく制度である。

1.趣旨
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、開発許可の制度を設けている。一定規模以上の開発行為を行なうためには、知事(指定都市等では市長)から開発許可を受ける必要がある。

2.開発許可の概要
1)許可の対象は「開発行為」である。
2)開発行為を行なおうとする者は、開発行為に着手する前に知事(指定都市等では市長)の許可を受ける必要がある(都市計画法第29条)。
3)一定の開発行為については、開発許可を受ける必要がない。
4)知事等が開発許可を与えるか否かを審査する基準には、全国どこでも適用される全般的許可基準(技術的基準、都市計画法第33条)と、市街化調整区域内の開発行為についての基準(立地基準、都市計画法第34条)とがある。

3.開発行為
開発許可の対象は「開発行為」である。開発行為とは「建築物の建築または特定工作物の建設のために土地の区画形質を変更すること」である(詳しくは「特定工作物」「土地の区画形質の変更」を参照)。

4.開発許可を得る必要がない開発行為
次のような開発行為は開発許可を受けないで行なうことができる。
1)次の面積に達しない開発行為
・東京都の特別区・既成市街地・近郊整備地帯等:500平方メートル未満
・市街化区域:1,000平方メートル未満
・区域区分が定められていない都市計画区域: 3,000平方メートル未満
準都市計画区域:3,000平方メートル未満
ただしこれらの面積は、特に必要があると認められる場合には、都道府県・指定都市等の条例で「300平方メートル未満」にまで引き下げることができる。
2)市街化調整区域・区域区分が定められていない都市計画区域・準都市計画区域における、農林漁業者の住宅を建築するための開発行為および農林漁業用の建築物を建築するための開発行為
3)公益施設のための開発行為
公益施設は、駅舎、医療施設、小中学校、高校、公民館、郵便局、図書館、墓地、火葬場、と畜場、し尿処理施設、ごみ処理施設、卸売市場など政令で指定するものに限る。
4)国・都道府県・一定の市町村が行なう開発行為
5)都市計画事業の施行として行なう開発行為
6)市街地再開発事業の施行、住宅街区整備事業の施行、土地区画整理事業の施行として行なう開発行為
7)非常災害のため必要な応急措置、通常の管理行為・軽易な行為に該当する開発行為

通常の管理行為・軽易な行為は、仮設建築物の建築、土木事業などに一時的に使用するための第一種特定工作物の建設、車庫・物置その他附属建築物の建築、建築物の増築で増築に係る床面積の合計が10平方メートル以内のもの、建築物の改築で用途の変更を伴わないもの、建築物の改築で改築に係る床面積の合計が10平方メートル以内のもの、主として当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売加工修理等の業務を営む店舗・事業場などの新築(延べ面積が50平方メートル以内)であって当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行なう開発行為(開発規模が100平方メートル以内に限る)など、政令で指定するものに限る。

5.開発許可の基準
知事(指定都市等では市長)が開発許可を与える場合の基準が定められている。この基準には、全国どこでも適用される全般的な基準(技術基準、都市計画法第33条)と、市街化調整区域内においてのみ適用される基準(立地基準、都市計画法第34条)の2種類がある。市街化調整区域では両方の基準を満たさなければならない。(開発許可基準については「開発許可の基準(全般的許可基準)」「開発許可の基準(市街化調整区域内の許可基準)」参照)

6.都市計画区域・準都市計画区域以外の区域における開発行為
都市計画区域および準都市計画区域以外の区域においてその面積が1万平方メートル以上開発行為を行なう場合は、4の2)〜7)に該当しない限り開発許可を受けなければならない。

開発許可が不要な開発行為(市街化区域等における~)

A)市街化区域等における面積が次の開発行為については、開発許可を受ける必要がない。
1.市街化区域における1,000平方メートル未満の開発行為(注1・2参照)
2.非線引き区域における3,000平方メートル未満の開発行為(注1・2参照)
3.準都市計画区域における3,000平方メートル未満の開発行為
4.都市計画区域および準都市計画区域以外の区域における1ヘクタール未満の開発行為
注1:三大都市圏の一定区域(都の特別区、首都圏の既成市街地と近郊整備地帯、近畿圏の既成都市区域と近郊整備区域、中部圏の都市整備区域)では、開発許可が不要な開発行為の最低面積は500平方メートル未満とされている。
注2:知事・指定都市等の市長は、条例によって開発許可が必要な開発行為の最低面積を300平方メートルにまで引き下げることができる。

従って、市街化調整区域における開発行為は、面積の如何にかかわらず開発許可を受けなければならない。

B)次の開発行為については、その面積の大小にかかわらず開発許可を受ける必要がない。
1)市街化区域以外において、農林漁業者の住宅および農林漁業用建築物(畜舎、蚕室、温室、堆肥舎、サイロなど)を建築するための開発行為
2)鉄道の施設、医療施設、小中学校、高校、公民館等の公益上必要な建築物の建築のための開発行為

開発許可が不要な開発行為(市街化調整区域における~)

市街化調整区域では、その規模にかかわらず、開発行為について知事(指定都市等では市長)の許可を受けなければならないとされている。

市街化調整区域は市街化を抑制する区域であるので、小規模開発についても、立地規制の観点から開発許可の対象としているのである。

ただし例外として、次のような開発行為については、開発許可を受ける必要がないものとされている。
1.農林漁業者の住宅や、農林漁業用建築物(畜舎、蚕室、温室、堆肥舎、サイロなど)を建築するための開発行為
2.市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗等(延床面積が50平方メートル以下)を新築する目的で、その市街化調整区域内に居住している者が自らその業務を営むために行なう100平方メートル以下の開発行為
3.鉄道の施設、医療施設、小中学校、高校、公民館等の公益上必要な建築物の建築のために行なう開発行為等

開発行為

都市計画法上の開発許可の対象となる行為のこと。

1.趣旨
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、宅地開発に対しては知事(または市長)の許可が必要であると定めており、これを開発許可という(都市計画法第29条)。この開発許可の対象となる行為が「開発行為」である。

2.定義
開発行為とは、正確には「主として建築物建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」と定義されている(都市計画法第4条第12項)。
ここで「特定工作物」と「土地の区画形質の変更」の意味については、おおよそ次のように定義されている。
1)特定工作物
コンクリートプラント、ゴルフコース、1ha以上のテニスコートなどのこと(詳しくは特定工作物へ)。
2)土地の区画形質の変更
宅地造成、道路の新設などを伴う土地区画の変更、農地から宅地への変更などのこと(詳しくは土地の区画形質の変更へ)。

2.の定義に該当しない行為は、開発行為ではないので、開発許可を必要としない。例えば、1ha未満のテニスコートの建設のための宅地造成は、開発行為に該当しない。また建築物を建築する目的で、登記簿上で土地を合筆することは「土地の区画形質の変更」ではないので、開発行為に該当しない。

開発整備促進区

都市計画で定める地区計画の一つで、大規模集客施設の立地を可能とする地区をいう。

大規模集客施設(店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場等で床面積が1万平方メートル超のもの、法律上は「特定大規模建築物」という)は、原則として、用途地域近隣商業地域商業地域準工業地域に指定されている土地に限って立地できる。しかし、開発整備促進区に指定することによって、それ以外の用途地域(ただし、第二種住居地域準住居地域工業地域に限る)においても立地が認められる。また、非線引き都市計画区域白地地域に開発整備促進区を指定することもできる。

開発整備促進区に指定されるためには、その土地が前記の用途地域等であることの他、現に土地の利用状況が著しく変化しつつあるかそれが見込まれること、その区域内において大規模集客施設の整備による商業等の利便の増進を図ることによって都市機能の増進に貢献することとなること、などの要件を満たさなければならない。

なお、地区計画には、当該区域の整備、開発および保全に関する方針や地区整備計画などが定められる。

買戻

債務者(または物上保証人)の所有する不動産を、債務者(または物上保証人)が債権者に譲渡し、債務を全額弁済すると同時に債務者(または物上保証人)が債権者からその不動産を買い戻すという制度である。

民法では売買の特約としてこの買戻を規定しているが、実際上は不動産を担保に入れて金銭を得るための手段である(民法第579条)。この買戻を登記する場合には、最初の売買における所有権移転登記に、買戻特約の附記登記を行なう。

この民法上の買戻には次のような条件を満たすことが必要とされている。

1.売買契約と同時に買戻の特約をすること
2.買主(つまり債権者)が不動産を占有するので、その不動産の使用収益による利益を買主が取得する反面、買主(債権者)は売主(債務者)から利息を取ることはできないこと
3.買戻の代金は、当初の売買代金と同額であること

このように民法上の買戻は厳格な要件が定められているため、実際にはこれよりも要件が緩やかな再売買の予約が利用されることが多い。

買い戻し特約

不動産の売買契約の締結に当たって付加する特約であって、一定の期間、売主が代金額および契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解除し、目的物を取り戻すことができることを内容とするもの。これによって、解除権を留保することになる。

この特約は、所有権移転登記と同時に登記しないと第三者に対抗できない。売主が買戻権を行使できる期間は最長10年(期間の定めがないときには5年)である。

買い戻し特約は、公共的な宅地分譲において、建築義務、転売規制などを担保するために利用される。また、買戻特約を付けて不動産を譲渡し、債務弁済を担保する(売渡担保)ために利用されることもある。

解約

法律行為の一つで、意思表示により契約関係を消滅させることをいう。

意思表示の時点から将来に向けて契約消滅の効果が生じる。

例えば借地借家法では、定期建物賃貸借に関して、「やむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する」と規定している。

これに対して、契約の解除は、過去に遡って契約関係を消滅させることであるとされ、例えばクーリングオフによる契約の消滅は、解約ではなく解除による効果である。もっとも、解約と解除が混同されることも多い。

解約に伴い、一般的に、契約当事者は原状回復義務務を負うことになる。

解約手付

手付の一種で、手付の放棄(または手付の倍額の償還)によって、任意に契約を解除することができるという手付のこと(民法第557条第1項)。

通常、契約を解除するためには、解除の理由が必要である。
具体的には、「法律上の解除原因の発生(債務不履行売主担保責任)」か、または「契約成立後に当事者が解除に合意したこと(合意解除)」のどちらかが必要である。

しかしわが国では、手付を交付することにより、契約を解除する権利を当事者が保持し続けるという手法を用いることが非常に多い。
これは、売買契約成立時に買主が売主に手付を交付し、買主は手付を放棄すればいつでも契約を解除でき、手付相当額以外の損害賠償を支払わなくてよいというものである(これを「手付流し」という)。
また売主も、手付の倍額を買主に償還することで、いつでも契約を解除でき、手付相当額以外の損害賠償を支払わなくてよい(これは「手付倍返し」という)。このように、手付相当額の出費を負担するだけで、いつでも売買契約関係から離脱できるのである。

また判例(昭和24年10月4日最高裁判決)によると、「契約において特に定めがない場合には、手付は解約手付であると推定する」こととなっている。つまり契約上、単に「手付」とされた場合には、反証がない限り、解約手付として扱われる判例が確立している。

宅地建物取引業法ではこの判例よりさらに進んで、売主が宅地建物取引業者である売買契約では、契約内容の如何にかかわらず、手付は必ず「解約手付」の性質を与えられると規定している(宅地建物取引業法第39条第2項)。これを解約手付性の付与という。

なお、手付流し・手付倍返しによる契約解除はいつまでも可能ではなく、契約の相手方が「履行の着手」を行なった時点からは、このような契約解除ができなくなるとされている(詳しくは履行の着手へ)。

カウンターキッチン

キッチン(台所)とダイニングルーム(食事室)の間に、料理などをやりとりできるカウンター(台)を設置する方式又はその方式で造られたキッチンをいう。キッチンを開放的な空間とする方法として用いられている。カウンターキッチンは英語でCounter kitchenと綴れるが、意味上は和製英語である。

カウンターの設置方法には、キッチンとダイニングルームの間仕切り壁に大きな窓を空けてカウンターを置く方式、ダイニングルームの一角に調理台を設置しそれにカウンターを直接付置する方式などがある。

なお、カウンターキッチンの多くは、調理台がダイニングルームと開放的に向き合う配置となっているが、このような配置方式を「対面キッチン」という。

替地

公共事業の用地買収などの際に、金銭に替えて譲渡される土地のことで、代替地ともいう。

公共用地の買収の対価(補償金といわれる)は金銭で支払うのが原則であるが、土地所有者の要求により、その要求が相当であるときには替地を提供することがある。替地は、買収する土地と地目地積などが照応している必要がある。

土地市場が十分に発達していれば金銭による補償で問題は生じないと考えられるが、ダム事業のように大規模に生活の拠点が失われる場合や、公共事業による土地価格の上昇が期待されるようなときには、生活の安定や事業用地を提供することに伴う不公平感の是正のため、替地が要求されることがある。
そして、替地は土地収用の対象とはならず任意交渉で取得しなければならないため、不動産会社がその取得に協力する場合もある。

家屋倒壊等氾濫想定区域

堤防決壊に伴って家屋の倒壊・流失が起きる恐れのある区域。国土交通大臣又は都道府県知事が指定する。

家屋倒壊等氾濫想定区域は、家屋の倒壊・流失の原因に応じて、洪水の氾濫流による恐れがある範囲と、洪水時の河岸侵食による恐れがある範囲の種類がある。

指定された区域では、避難は、屋内での待避(垂直避難)ではなく、避難所等への立ち退き避難(水平避難)が必要であるとされている。

家屋番号

不動産登記に当たって建物に付される番号。登記された建物を識別するための番号であって、不動産登記法に基づいて登記所が付す。建物の位置を示す住居表示とは異なるので、注意が必要である。

家屋番号は、原則として建物の敷地地番と同じ番号が付されるが、「◯番」というように番号のみが記され、地名は表示されていない。また、同じ地番に2つ以上の建物が登記された場合には、「◯番の◯」のように枝番号(支号)が付されている。

土地の分筆区画整理事業等によって地番が変更になった場合でも、付された家屋番号は変更されない。従って、敷地の地番とその敷地の上の建物の家屋番号とが異なることがある。

確認済証(建築確認制度における~)

建築計画が建築基準関係規定に適合すると確認された場合に交付される書類をいう。

確認は建築工事に着手する前に受けなければならず、確認済証は確認した建築主事が交付する。

宅地建物取引業務においては、工事完了前の建物の売買等について、確認済証の交付を受けた後等でなければその広告をしてはならないとされている。
なお、建築工事完成後には、建築物が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を受けなければならず、検査により適合が認められたときに交付される書類が「検査済証」である。

家具・家電付き賃貸住宅

家具や家電が備えられている賃貸住宅をいう。入居に際して、家具や家電を自ら用意する必要がない。

備え付けられている家具・家電は、一般的に、ベッド、ソファ、ダイニングセット、カーテン、テレビ、照明器具、エアコン、電子レンジ、冷蔵庫などであるが、契約前に確認する必要がある。

家具・家電付き賃貸住宅は、入居に当たっての準備が大幅に軽減され、初期費用を押さえることができる。一方、家賃が高めであるほか、家具・家電の種類等を選択できないこと、新品でない場合が多いことなどに注意が必要である。

また、備え付けられた家具・家電が破損・故障した際の費用負担について確認しておく必要がある。通常、契約書に「付帯設備」として記載されているものについての修理・交換費用は、貸主が負担する。

火災保険

火災による損害を補填するための保険。

火災保険契約を締結すれば、住宅、家財、店舗、工場、事業用資機材等が火災によって消失、損傷した場合に、生じた損害に対して保険金が支払われる。

一般に、火災のほか、落雷、爆発、風災などによる損害についても補填するよう設計されている。ただし、地震によって発生する火災の損害は、火災保険ではなく地震保険(火災保険に付帯されることもある)によって補填される。

火災保険の保険期間は、一般に、生命保険に比べて短い。また、保険金(保険者が支払う金銭)は、生命保険と違って、原則として被保険者が現実に被った損害額に基づいて算定される。

家財保険

建物の中にある生活用の動産(家具、家電製品、衣類等)が、火災や災害によって損害を受けたときに補償する保険。火災保険の対象が「建物のみ」の場合には家財の損害は補填されないので、補償を受けるためには、別途、家財保険に加入する必要がある。

特に、賃貸住宅においては、一般に、建物については貸主が火災保険に加入しているが、家財については保険の対象とされていない。家財の損害を補填するためには借り主が家財保険に加入する必要がある。また、借り主が居室などに大きな損害を与えたときには、原状回復費用を負担しなければならないが、家財保険とセットになった「借家人賠償責任補償」に加入すればその費用を補填することができる。

瑕疵

法律上の欠点や欠陥。瑕疵があると、意図した法律的な効果は完全には生じない。瑕疵の具体的な内容や法律効果への影響は、民法に定められている。

例えば、詐欺強迫によってなされた意思表示は、「瑕疵ある意思表示」として、表意者は取り消すことができる。あるいは、悪意・過失・強暴・隠秘による占有は、「瑕疵占有」として、即時取得、時効取得の完成、果実の取得が求められない場合がある。

また、売買の目的物が契約に適合しないものであるとき(契約不適合の場合)には、買主は追完請求代金減額請求損害賠償請求契約解除をすることができるが、これは、売主が目的物の瑕疵についての担保責任瑕疵担保責任)を負っているからである。

なお、債権関連の民法改正(2020年4月1日施行)までは、売買の目的物に「隠れた瑕疵」があったときには売主に瑕疵担保責任を課す旨の規定があった。この規定は改正によって削除され、瑕疵担保責任は、改正で整備された契約不適合に関する規定によって対応することとされた。

瑕疵担保責任

売買契約請負契約の履行において、引き渡された目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売り主・請負人が買い主・注文者に対して負うこととなる責任。債務不履行により生じる責任のひとつで、目的物が特定物(その固有性に着目して取引され代替性がない)である場合の「契約不適合責任」と同義である。

瑕疵担保責任を負わせるためには、買い主・注文者は、売り主・請負人に対して、履行の追完請求(補修等の実施請求)、代金の減額請求報酬の減額請求損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。

なお、住宅の品質を確保するため、新築住宅の瑕疵担保責任について「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく特別の定めがある。詳しくは「売り主の瑕疵担保責任(品確法における~)」及び「請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)」を参照。

過失相殺

損害賠償額から過失相当分を差し引いて損害を負担することをいう。

賠償を受ける者にも過失がある場合に、負担を公平に行なうために適用される。

よく交通事故の損害賠償の際に問題となるが、これに限らず、債務不履行不法行為による損害賠償について一般的に考慮される。過失相殺の割合は、裁判で確定した事例をもとに判断されるが、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が有名である。

貸主

不動産賃貸借契約において、不動産を貸す人(または法人)を「貸主」という。

不動産取引においては、取引態様の一つとして「貸主」という用語が使用される。

この取引態様としての「貸主」とは、「賃貸される不動産の所有者」または「不動産を転貸する権限を有する者」のことである。

 貸主は宅地建物取引業免許を取得している場合もあれば、そうでない場合もある。

 なお、不動産を賃貸することのみを業として行なう場合には、 宅地建物取引業の免許を得る必要はない。

瑕疵物件

取引の対象となった不動産の当事者の予想していない物理的・法律的・心理的な欠陥(瑕疵)があったときの、当該不動産をいう。

例えば、土壌の汚染、耐震強度の不足などの発見は瑕疵となる恐れが大きい。不動産売買契約締結時に発見できなかった瑕疵が一定期間内に見つかった場合には、買主は売主に対し契約不適合責任を追及することが出来る。

片手

不動産取引を媒介としたときの宅地建物取引業者の成功報酬の受取り方をいい、取引当事者の双方から受け取る場合を「両手」、一方のみから受け取る場合を「片手」という。

例えば、宅地売買において売り手・買い手の双方から媒介の依頼を受ければ報酬は「両手」で受け取ることができるが、売り手・買い手の媒介依頼先が異なれば、取引には両方の業者が関与することとなって、それぞれの業者が受け取る報酬は「片手」となる。

可動間仕切り

移動可能な間仕切りのこと。
通常は、展示場や会議場などで使用されるスライド式のパーテーションのことを「可動間仕切り」と呼んでいる。

また最近、住宅で使用されることが多くなったアコーディオン式や引き戸式の間仕切りも「可動間仕切り」と呼ばれることがある(詳しくはフレックスウォールへ)。

角地

正面と側方に路線(道路)がある土地のこと。

壁式鉄筋コンクリート構造(壁式鉄筋コンクリート造)

壁式鉄筋コンクリート構造(壁式鉄筋コンクリート造)

鉄筋コンクリート構造の一つ。

この「壁式鉄筋コンクリート構造」は、「柱」「」を設けず、基本的に「壁」だけで荷重を支えるような鉄筋コンクリート構造である。

この「壁式鉄筋コンクリート構造」には、柱・梁がないため、建物の内部空間が広く使用できるというメリットがある。
なお強度を確保するため、壁の中には梁に相当する配筋が作られている。

この「壁式鉄筋コンクリート構造」は、壁が多い中層建物に最適である。しかもコストが安く、空間が広く取れるため、3階建共同住宅などで多用されている。

壁心

建物床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のこと。「壁芯」と書くこともある。

この「壁心」の考え方で計算すると、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分の床面積よりもやや大きな床面積となる。

建築基準法では、建物の床面積とは「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積」であると規定しているので、建築基準法は壁心の考え方を採用しているということができる(建築基準法施行令2条1項3号)。

なお、この「壁心」と異なる床面積の測定方法として「内法(うちのり)」がある。

障子の枠を形成する部材のこと。
上辺は「上框」、左右の辺は「たて框」、下辺は「下框」、中央の水平な部材は「なか框」という。
また障子だけでなく、ふすま、板戸、雨戸、和風の玄関戸、ガラス戸、網戸についても上下左右の辺を「框」という。

カラン(蛇口)

給水管の先端に取り付けて、水の流出を制御する器具。通常、取っ手を回して水量を調節する。

なお、「カラン」はオランダ語。

借入可能額

住宅ローンにおいて、借入できる限度額。

住宅ローンの融資額は、住宅の購入・建築に必要な金額のすべてではなく、その一定割合までとされることが多い。この限度とされる融資額が借入可能額である。もちろん、借入可能額まで借り入れる必要はない。

借入可能額は、融資する金融機関が、借入者の収入、返済負担率(収入に占める返済額(他の返済を含む)の割合)、融資率(購入・建築額に対する融資額の割合)、融資対象住宅の担保価値などについて審査し、決定する。

なお、購入・建築金額とローン融資額との差額は、自己資金によって充当することになる。

仮換地

土地区画整理事業において、正式な換地に先立って行なわれる換地をいう。

土地区画整理事業では、事業によって、区画を変更する前の宅地(従前の宅地)から区画を変更した後の宅地(新しい宅地)へと所有権が変更されるが(これを「換地」という)、その時期は、土地区画整理事業を行なう区域のすべてについて必要な工事が完了した時点とするのが原則である。しかし、工事に長期間を要することが多いため、工事が先に完成した地区において、仮に換地を定めて土地の利用を認めることがある。このようにして仮に換地を定めるのが仮換地である。また、仮換地された土地そのものを仮換地ということもある。

「仮換地」された宅地は、将来、そのまま正式に換地されるのが原則である。

管理会社

不動産所有者の委託により、その所有する不動産の管理業務を行なう企業をいう。

管理業務の内容は、大きく分けて、設備の保守・点検、防火・警備など(作業の実施)、賃料や共益費の徴収、諸料金の支払いなど(経理事務)、テナントの募集、賃料の改定、修繕計画の立案など(経営的業務)がある。このように幅広い業務があり、そのための技術も多様であることから、その一部を受託することが多い。

なお、管理会社は、管理の対象となる不動産の性格に応じて、マンション管理業、ビル管理業、賃貸住宅管理業に大別できる。このうちマンション管理業については、法律に基づき登録する義務がある。また、賃貸住宅管理業については、国土交通省の告示による登録制度がある。

カーポート

屋根と柱のみで壁がない簡易な自動車車庫をいう。英語のCarport。

カーポートは、車庫と違い建物ではないが、青空駐車場と違って雨を避けることができる。

外構

建物の外に設ける工作物

門、塀・垣根、庭木などが該当し、敷地境界を形づくるとともに、建物の壁面などと一体となって敷地の景観や雰囲気を形成する。

なお、「外構」と「エクステリア」とは同じ意味である。

崖線

崖地の連なり。緑が連続し、湧水や豊かな動植物生態が残っている場合が多い。

傾斜地マンションの建設などによって、崖地の緑等の喪失、崖線の分断などが進んでいることから、崖線の保全・活用のための取り組みが必要だと考えられている。例えば、国分寺崖線(東京都)の保全のために、条例で地区を指定し、建築構造の制限、色彩の配慮、条例制限との適合性審査のための計画の届出などを定めた例(世田谷区国分寺崖線保全整備条例)もある。

外皮熱性能

建築物のエネルギー消費性能を評価するときの評価指標のひとつで、室内外の温度差による熱損失量をいう。この数値が小さいほど省エネの程度は大きい。

非住宅建築物については、屋内周囲空間(外気に接する壁から5m以内の屋内空間、屋根直下階の屋内空間および外気に接する床直上の屋内空間、「ペリメータゾーン」という)の単位ペリメータゾーン床面積当たり年間熱負荷(単位は、メガジュール/平方メートル・年、「PAL*」という)を算定する。これを基準として用いる場合には、用途および地域区分に応じて基準とする数値を調整する。
住宅については、外壁や窓の外皮平均熱貫流率(外皮面積・単位温度当たりの熱損失量で、単位は、ワット/平方メートル・度、「UA値」という)および冷房期(一日の最高気温が32度以上となる期間)の平均日射熱取得率(単位外皮面積当たりの日射量に対する日射熱取得量の割合で、「ηA値」という)を算定する。これを基準として用いる場合には、地域の区分に応じて基準とする数値を調整する。

その具体的な算定方法は、国土交通大臣が定めるとされている。

なお、エネルギー消費性能の基準として外皮熱性能が用いられるのは、(1)住宅に関する省エネ基準、および、(2)全ての建物に関する誘導基準においてである。

外壁塗装

建物の外壁を保護するための塗装。外壁は、雨、大気浮遊物、紫外線などに曝されることによって劣化するが、その進行を抑える役割を果たす。

外壁塗装は、塗った塗料そのものが劣化するため、適時に再塗装する必要がある。この場合、塗装対象の確定(外壁以外にベランダ床、雨どいなどを含めるかどうか等)、塗料の選択(下地に適しているか等)などによく注意しなければならない。

ガス給湯器

ガスにより瞬間的に湯を沸かし、台所・風呂などのへの給湯を行なうガス機器のこと。

給湯栓の蛇口を開くと同時に燃焼が始まり、水道の水圧を利用して給湯を行なう。
大きく分けて「ガス給湯器」「ガス風呂給湯器」の2種類がある。
また、浴槽の水を沸かす機能だけに特化したものは「風呂がま」と呼ばれる。

1.ガス給湯器
ガスの燃焼により瞬間的に湯を沸かし、台所・洗面台・風呂・シャワーの給湯栓まで湯を運び、給湯を行なう機器のこと。
かつては水温や通水量により湯温が変化するという問題があったが、近年では電子制御により火力をコントロールすることで安定した湯温が確保されている。

ガス給湯器の能力は号数で表示されている。この号数は「水温よりも25度だけ高温の湯を1分間に何L沸かすことができるか」を示したものである。一般的には4人家族の場合、24号またはそれ以上の号数のガス給湯器が推奨されている。

2.ガス風呂給湯器
台所・洗面台・風呂・シャワーへの給湯を行なうだけでなく、風呂の追いだき・沸かし直しという風呂がまの機能をも1台で兼ね備えた給湯器のこと。
追いだき時に給湯性能が低下することを防止するために、給湯用と追いだき用の2組の熱交換器を持ち、バーナーも別々になっているタイプが主流である。

ガス風呂給湯器の風呂の沸かし方については、湯はり・追いだきを自動的に行なうタイプ(オートタイプ)と、湯はり・追いだき・足し湯を自動で行なうタイプ(フルオートタイプ)という2種類がある。

なお、ガス風呂給湯器は設置場所により次の2タイプに分かれる。

1)自由タイプ
強制循環ポンプを備え、給湯器から離れた浴槽まで強制的に温水を送り出すもの。戸外に設置する。浴室に隣接して設置する必要がないため、間取りの自由さを確保しやすい。
2)浴室隣接タイプ
浴室に隣接した戸外に設置するもの。主に戸建て住宅で使用される。強制循環ポンプを備えたものと、強制循環ポンプがなく自然対流で浴槽に湯を送り出すものがある。

強制循環式のものは、ある程度設置場所を自由にすることができ、浴槽の高さと機器を設置する高さをある程度ずらすこともできる。
自然対流式では浴槽の高さと機器を設置する高さを合わせる必要があり、また水面に近い方から湯が出るために浴槽下部に冷水が溜まりやすいという面もある。

機械換気(強制換気)

機械設備を用いる換気方法をいう。

換気の方法は大きく分けて、自然の通風や温度差による方法(自然換気)と、機械設備によって強制的に換気する方法(機械換気)とがある。機械換気は、常時確実に換気が可能であるが、稼動のためにエネルギーを消費する。機械換気に用いる設備としては、換気扇、送風機などがある。

機械換気の方法には、次の3つの種類がある。

a 第1種換気:吸気と排気の両方とも機械換気を用いるもの
b 第2種換気:吸気は機械換気、排気に自然換気を用いるもの
c 第3種換気:排気は機械換気、吸気に自然換気を用いるもの

換気の種類は、維持する空気環境の性格に応じて、吸気と排気のどちらを強制的に行なうかなどを考慮して適切に選択しなければならない。例えば、第1種換気は、安定した換気を確保できるがエネルギー消費が大きい。第2種換気は、室内を外気よりも高い圧力に保つことができるが気密性が必要である。第3種換気は臭気や湿気が発生する場所から排気することができるが室内の圧力が外気よりも低くなる。

建築基準法では、住宅の居室等においては、シックハウス症候群の発症の原因となるホルムアルデヒドの発散に対処するため、必要な換気が確保される一定の構造方法を備える場合以外は、常時換気が可能な構造の機械換気設備等の設置が義務付けられている。

機械式駐車場

車を機械で移動して立体的に駐車する設備。

機械式駐車場の方式には、車を移動する方法に応じて、上下移動のみの方法(昇降式、地下を使うときにはピット式ともいう)、上下左右に移動する方法(昇降横行式、パズル式ともいわれる)などがある。

高密度に駐車できるほか、下段の駐車スペースは風雨にさらされにくいなどとされている。一方、車の出し入れに時間を要する、設備維持のための費用負担がかさむ、停電などの障害時には利用できないなどの指摘がある。

機械式駐車場に対して、地面のみに駐車する方式を「平置き駐車場」、機械を使わず立体的に駐車する方式を「自走式立体駐車場」という。

期限付き建物賃貸借

借地借家法(1992(平成4)年8月1日施行)によって創設され、2000(平成12)年3月1日に法改正により廃止された制度。

期限付き建物賃貸借とは、次のいずれかの事情がある場合に、借家契約の更新を否定し、期間満了により借家契約が自動的に終了するという建物賃貸借のことである。

1.転勤等のやむを得ない理由により、一定期間に限り家主が不在となること
2.法令等により一定期間を経過した後に、建物が取り壊されることが明らかなこと

しかし、平成12年3月1日に法が改正され、こうした特別の事情がなくとも、定期借家契約を結ぶことが可能となった。
そのため、期限付き建物賃貸借は、2000(平成12)年3月1日をもって廃止された。

基礎工事

建物基礎を構築する工事。建物の基礎は建物と地盤とをつなぐ構造物で、建物の荷重や加わる外力を安全に地盤に伝え、地盤の沈下や変形に対して耐える構造でなければならないとされている。

基礎の形式は、杭を地盤に打ち込んで基礎とする「杭基礎」と、地盤をそのまま基礎とする「直接基礎」とに大別される。直接基礎はさらに、主な柱の下のみに基礎構造物を設置する「独立基礎」、柱や壁の下に連続して基礎構造物を設置する「布基礎」、建物底面の全体を一枚の構造物で支える「ベタ基礎」に分かれる。

なお、基礎の設計・施工に当たっては、あらかじめ地盤調査を実施する必要がある。

基礎控除

所得税の課税において所得金額から無条件に一定額を控除すること。

基礎控除額は、2017年までは一律に年38万円(住民税は33万円)であったが、2018年以降は、合計所得金額が2,400万円までは48万円(住民税は43万円)、これを超えると段階的に縮小して合計所得金額が2,500万円を超えるとゼロになるよう改正された。

毀損

壊し、傷つけること。物を壊すことまたは傷つけることのほか、人をそしることも含む。

他人の物や名誉・信用を毀損した場合には、一般に損害賠償の責任を負うほか、一定の場合には刑罰に処せられることがある。 

既存住宅

居住に供されているまたは供されたことのある住宅。「中古住宅」も同義。これに対して、まだ人の居住の用に供したことのない住宅(建築工事完了日から1年を経過したものを除く)が「新築住宅」である

既存住宅に関しては、その品質確保や流通の円滑化に資するため、既存住宅品質表示、既存住宅状況調査、既存住宅売買瑕疵保険などのしくみが整備されている。

キッチン

台所。調理の場所をいい、英語のkitchen。

水槽(シンク)、給排水設備、加熱装置、作業台、収納スペースなどで構成され、ひとまとまりの空間となっている。また、食品を扱い、水や熱を利用するため、衛生保持や耐水・耐火に注意しなければならない。

キッチンには、独立の部屋とするかどうか、調理台と壁との配置関係をどうするかなどに応じて、いくつかの種類がある。たとえば、食事室との間に仕切りを設けない方式(オープンキッチン)、調理台が壁に接しないで独立している方式(アイランドキッチン)などである。

客付け

不動産業界用語の一つで、売却を依頼された不動産の買い手を見つけることをいう。

依頼された不動産会社が自らそれに当たるとは限らず、他の不動産会社の紹介で買い手が見つかることも多い。

一方、売却を依頼されることを「元付け」という。

キャットウォーク

高所に設置された狭い通路。英語のcatwalk。劇場やダムの点検作業用通路、工事現場の高所作業用足場通路などをいう。

また、飼い猫のために屋内・室内に設置するペット用の備品を指す言葉としても使われている。

急傾斜地崩壊危険区域

崩壊する恐れのある急傾斜地(傾斜度が30度以上の土地)で、崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずる恐れのあるもの、およびこれに隣接する土地として都道府県知事が指定する区域をいう。
    
指定は、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に基づいて行なわれる。
急傾斜地崩壊危険区域内においては、
1.水の放流や停滞行為など水の浸透を助長する行為
2.ため池や用水路などの施設、または工作物の設置、または改造
3.のり切、切土、掘さく、または盛土
4.立木竹の伐採などの行為
について都道府県知事の許可が必要であり、知事は許可に当たって、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な条件を付すことができるとされている。

給湯

湯を供給すること。湯をつくる設備がボイラー(給湯器)で、湯が必要な台所、浴室などであるが、給湯は、両者を結びつけることである。

給湯の方法には、一つのボイラーから配管によって必要な場所に供給する方式(集中給湯)と、湯が必要な場所ごとにボイラーを設置する方式(局所給湯)とがある。また、ボイラーの形式には、ガス、電力等の燃料の種類、貯湯タンクの有無などに応じてさまざまなものがある。

給湯機(給湯器)

湯を供給するための機械器具。湯沸器のほか、ポンプ、タンク、配管などの機器で構成される設備であるが、その中心となる湯沸器(英語のボイラー boiler)を指すことが多い。

給湯の方式には、局所式とセントラル式、単管式と複管式、瞬間式と貯湯式 などの種類があり、それに応じて給湯機の性能や稼働方法が異なる。また、湯沸器の燃料には、ガス、石油、電力などが用いられ、その種別に応じて「ガス給湯器」「石油給湯器」「電気給湯器」のように区分される。

共益費

賃貸集合住宅の入居者や事務所ビルのテナントが、建物の賃料とは別に負担する費用をいう。

建物全体の清掃や補修、警備等の費用、建物の共用部分に関する付加使用料など、入居者やテナントが分別して負担することが難しい費用が対象となる。専有面積当たりで算出し、月払いするのが一般的である。

なお、法律上の用語としても「共益費」が使われるが、これは同一の債務者に対する各債権者に共通の利益のために要した費用のことである。
例えば、ある債権者が債務者の財産を保存すればそれは他の債権者に利益にもなるので、そのための費用は共益費として、他の債務者に優先して弁済を受けることができるとされる。建物の賃借人が負担する共益費は、これとはまったく別のものであるから、注意を要する。

境界(境界確定)

私法上の概念であり、土地の地番を区切る線をいう。

「けいかい」と読むこともある。

土地は、その表示登記に当たって筆に区分され地番が与えられるが、地番と地番の境が境界である。

争いのある境界を確定するためには、判決により境界線を確定することを求める(境界画定訴訟)ことができる。また2006(平成18)年1月には、当事者の申請に基づき、筆界特定登記官が「筆界調査委員」に調査を依頼した上で、その意見書をもとに境界を特定する制度(筆界特定制度)が創設された。

狭小住宅

狭い土地に建てられた住宅。明確な定義はないが、おおむね敷地面積が50平方メートル(約15坪)以下のものをいう。

地価が高い地域に建てられることが多く、敷地を建ぺい率の上限まで使い、床面積を確保するため地下室を設置したり、3階建てとする場合もある

強制執行

債務者に給付義務を強制的に履行させる手続きのことを「強制執行」という。

強制執行を行なうには、公的機関が作成した確定判決などの文書(債務名義)が必要であり、またその債務名義に「執行文」が記載されていることが必要である。

強制執行は、金銭執行と非金銭執行に分類される。
金銭執行とは、債務者の財産を差し押さえて(さらには競売により換価して)、金銭を債権者に交付するような強制執行である。代表的な金銭執行としては「強制競売」と「債権差押」がある。
また非金銭執行とは、金銭債権以外の債権(例えば土地引渡請求権)を実現するために行なわれる等の強制執行である。

なお、債務者(または物上保証人)の不動産抵当権を設定している債権者が、その抵当権にもとづき不動産を競売することは、「任意競売」と呼ばれる。しかし任意競売は、強制執行には含まれない。また、任意競売では「抵当権の存在を証する文書」は要求されるが、「債務名義」は必要ではない。

共用部分

分譲マンションのような区分所有建物について、区分所有者が全員で共有している建物の部分を「共用部分」という。

その反対に各区分所有者がそれぞれ単独で所有している部分は「専有部分」と呼ばれる。

具体的には、次の3つのものが「共用部分」である(区分所有法第2条)。

1.その性質上区分所有者が共同で使用する部分(廊下、階段、エレベーター、エントランス、バルコニー、外壁など)
2.専有部分に属さない建物の付属物(専有部分の外部にある電気・ガス・水道設備など)
3.本来は専有部分となることができるが、管理規約の定めにより共用部分とされたもの(管理人室・集会室など)

このような1.~3.の共用部分は、原則として区分所有者全員の共有である(区分所有法第11条)。

また共用部分は共有であるため、各区分所有者はそれぞれ共用部分に関する共有持分を持っていることになる。
この共有持分の割合は、原則として、専有部分の床面積専有面積)の割合に等しい(区分所有法第14条)が、この割合は規約により変えることができる。

また区分所有者は、その共用部分の共有持分のみを自由に売却等することはできない(区分所有法第15条)。

居室

居室とは「居住、作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する室のこと」である(建築基準法2条4号)。

この定義に従えば、一般の住宅の場合、居室とは「居間」「寝室」「台所」である。

その反対に、「玄関」「便所」「浴室」「脱衣室」「洗面所」「押入れ」「納戸」「廊下」は居室ではない。

なお建築基準法では、居住の目的のための居室については、採光に関する基準(建築基準法第28条第1項)と換気に関する基準(建築基準法第28条第2項)をクリアすることを必要としている。

ただし、居室として使用する地下室については採光の基準が適用されず、その代わりに衛生上必要な防湿の措置等を行なうことが必要とされている(建築基準法第29条)。

逆梁工法

逆梁工法

ラーメン構造で組み立てたは、一般的に天井の下を通るため、室内に梁が出っ張る形になる。この梁の張り出しをなくすと、天井はスッキリし、家具のレイアウトもしやすくなる。また、梁を住戸の外側(一般にバルコニー側)まで移動すれば、天井も開口部も大きく取れる。それを可能にするのが逆梁工法(逆スラブ工法)。

張り出していた下の階の天井が、上の階の床側に出っ張ってくることになり、ここを二重床とすれば配管スペースとして利用でき、上下階の遮音性を高めることもできる。
また、逆梁をバルコニー側にまで移動すれば、そのままバルコニーの壁として利用でき、開口部も従来より高くなるため、天井高さまでサッシ窓などを大きく取ることもできる。

銀行印

個人又は法人が銀行口座を開設した際に、銀行に届け出た印鑑のこと。

銀行住宅ローン

個人に対する住宅資金の融資(住宅ローン)のうち、銀行等の預貯金取扱金融機関が行なうものをいう。

銀行住宅ローンを行なうのは、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫など、預金の受入れを営むことのできる金融機関(預貯金取扱金融機関)である。これらの金融機関は、銀行法等の法律に基づいて免許を受け又は設立され、業務全般について政府の強い監督のもとに置かれている。

銀行住宅ローンの多くは、融資期間が長期であること、個人に対する多額の融資であることなどによる貸し倒れリスクに対応するため、住宅金融支援機構と連携して実施されている。

なお、住宅金融専門会社、消費者金融会社、保険会社などが行なう住宅ローンは「ノンバンク住宅ローン」と言われ、業務に対して貸金業法が適用される。

空室対策

賃貸住宅やビルの経営において、賃借人(テナント)がいない住戸(空室)を解消することまたはそのための方策をいう。

空室対策は、借し主のニーズにより良く応えることを基本として実施される。
例えば、賃借人の属性を広げる、家賃、敷金など賃借条件を適正化する、リフォームリノベーションなどによって賃貸スペースの価値を高めるなどが行なわれている。

クッションフロア

プラスチック系床材のうち、塩化ビニル系床材であって、発泡層を含んでいる厚さ2mm前後のプラスチックシートのことを「クッションフロアシート」または「クッションフロア」と呼んでいる。

「クッションフロア」は、表面層と裏打ち層の間に発泡層を挟んでいるため、保温性・衝撃吸収性があり、また水にも強い。そのため、洗面所・脱衣所・台所の床仕上げ材として多用されている。

クッション・フロア/CF(シーエフ)クッションフロアの略 床材の~

床材のひとつで、合成樹脂で作られた厚みのあるシートをいう。CFはクッション・フロアの略語であるが、クッション・フロアは和製英語である。

クッションフロアは、木製のフローリングに比べて安価で耐水性、弾力性に優れているとされるが、床暖房は使えない。

区分所有

分譲マンションのように、建物が独立した各部分から構成されているとき、その建物の独立した各部分を所有することを「区分所有」という。

「区分所有」が成立するためには、次の2つの条件を満たす必要がある(区分所有法第1条)。

1.構造上の独立性があること
これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることを指している。ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では足りない。

2.利用上の独立性があること
これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味している。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということである。

つまり、構造上・利用上の独立性がある建物であれば、分譲マンションに限らず、オフィスビル・商業店舗・倉庫などでも区分所有が成立することができる(詳しくは「区分所有建物」へ)。

区分所有権

分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。

この区分所有建物において、建物の独立した各部分のことを「専有部分」という。

区分所有権とは、この専有部分を所有する権利のことである(詳しくは「区分所有建物」参照)。

区分所有建物

区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことである。

区分所有建物となるためには次の2つの要件を満たすことが必要である。

1.建物の各部分に構造上の独立性があること
これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることを指している。ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では足りない。

2.建物の各部分に利用上の独立性があること
これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味している。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということである。

上記1.と2.を満たすような建物の各部分について、それぞれ別個の所有権が成立しているとき、その建物は「区分所有建物」と呼ばれる。区分所有建物については、民法の特別法である区分所有法が適用される。

代表的なものとしては分譲マンションが区分所有建物である。しかし分譲マンションに限らず、オフィスビル・商業店舗・倉庫等であっても、上記1.と2.を満たし、建物の独立した各部分について別個の所有権が成立しているならば区分所有建物となる。

なお区分所有建物では、建物の独立した各部分は「専有部分」と呼ばれる。
また、この専有部分を所有する者のことを「区分所有者」という。

廊下・エレベータ・階段などのように区分所有者が共同で利用する建物の部分は「共用部分」と呼ばれ、区分所有者が共有する。

また建物の敷地も、区分所有者の共有となる(ただし土地権利が借地権である場合には「準共有」となる)。このとき区分所有者が取得している敷地の共有持分は「敷地利用権」と呼ばれる。

従って区分所有建物においては、区分所有者は、専有部分の所有権、共用部分の共有持分、敷地の共有持分という3種類の権利を持っていることになる。

繰上返済(住宅ローンの〜)

住宅ローンで借りた資金を、当初の契約よりも前倒しで返済すること。繰り上げ返済した金銭は、元金の返済に充当される。返済すべき元金が減少するため、その後の利息負担も減少する。

繰上返済の方法には、(1)毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする方法(期間短縮型)と、(2)返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす方法(返済額軽減型)とがある。利息を含めた負担総額は期間短縮型のほうが少なくなる一方、返済額軽減型は返済に充てる毎月の負担額を小さくできる。

繰越控除(不動産譲渡所得に係る~)

所得税の課税に当たって、不動産の譲渡によって生じた損失(譲渡損失)について、損失発生以降の複数年にわたって所得控除できる制度をいう。所得金額の計算は各年ごとに独立で行なうという原則の例外である。

具体的には、所有期間が5年を超える居住用財産の譲渡損失について、次の2つの場合に、当該年度における損益通算後の損失額を翌年以降3年間、所得から控除することができることとされている。

1. 居住用財産の買い換えのときに発生した損失であって、売却相手先が親族等ではないこと、買い換え資産に係る住宅ローン残高があることなど、一定の要件を満たす場合
2. 居住用財産を譲渡するときに発生した損失であって、譲渡資産に係る住宅ローン残高があることなど一定の要件を満たす場合(当該資産に係る住宅ローン残高から譲渡金額を控除した額を限度とする)

なお、この措置については、適用期限が定められているので注意が必要である。

クレセント

クレセント

引き違いサッシなどの召し合わせ部分に取り付ける、戸締まり用の金物。
片方の側にはフック状部分のある固定金物が、もう一方には取っ手の付いた円盤の縁に螺旋状の突出があり、これを回転させるとフックにかかるようになっている。

ちなみにクレセントとは三日月のことで、形状が似ていることによる。

クロス

天井や壁などの仕上げ材として用いられる薄い布製の装飾用壁紙のこと。布製だけではなく、ビニール製やプラスチック製のものも多く、環境問題を含めた安全性が問われている。

最近ではシックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドを含まない壁装用接着剤が使われていたり、環境対応商品や機能性壁紙も登場している。

クローゼット

衣類や生活雑貨を収納するために間取りされた空間。英語のClosetで、「クロゼット」ともいう。「物置部屋」「押し入れ」もほぼ同義である。

クーリングオフ

一定期間、無条件で契約の申込みの撤回または解除ができる制度。消費者を保護するための措置で、訪問販売、電話勧誘販売などに適用されるが、一定の宅地建物の取引もその対象となる。

クーリングオフの適用があるのは、

1.宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地建物売買契約において、2.その事務所やそれに準ずる場所以外の場所で申込みや締結がされた場合であり、3.撤回または解除ができるのは8日間以内

である。

撤回または解除は書面で通知しなければならないが、その理由などを示す必要はなく、発信日を明確にすれば良い。その通知があったときには、売主は速やかに手付金等受領した金銭を返還しなければならない。

経年劣化

時間とともに品質が低下すること。雨風・湿気・温度変化・日照などによる品質の低下だけでなく、通常の方法で使い続けることによる摩滅、汚れ等の損耗も経年劣化である。

不動産の賃貸借契約解除の際に賃借人が負担すべきとされ、原状回復は、賃借人の故意・過失等による劣化の回復であって、経年劣化による損耗の回復は含まれない。たとえば、国土交通省が示す「原状回復ガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡などの通常の住まい方で発生するものや、フローリングの色落ち、網入りガラスの亀裂などの建物の構造により発生するものの回復は、賃貸人の負担となるとしている。

競売

債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、その売却代金によって債務の弁済を受けるという制度のこと。

契約

対立する2個以上の意思表示の合致によって成立する法律行為のこと。

具体的には、売買契約賃貸借契約、請負契約などのように、一方が申し込み、他方が承諾するという関係にある法律行為である。

契約一時金(賃貸住宅における~)

賃貸住宅を賃借するときに、賃料とは別に契約時に一括して支払う金銭。その内容や使途は場合に応じてさまざまで、契約時にはその意味や適切さについて十分に確認しなければならない。

たとえば、礼金、保証金、敷引きなどは、いずれも契約一時金に該当するが、何に対する対価であるかについて、貸主・借主双方が合意する必要がある。また、敷金は、債務を担保するためのもので契約終了時などに精算する金銭であるから、契約一時金に含めることは適切ではなく、区別して金額等を明記しなければならない。   

軽量鉄骨構造

鉄骨構造の一つ。
軽量鉄骨構造とは、次のような特徴を持つ鉄骨構造である。

1.軽量鉄骨を柱・として使用する。
2.ブレース(brace:留め具)で柱・梁を対角線につなぐことにより、水平方向の外力に対抗できる構造をつくる。
3.木質系パネル・軽量気泡コンクリートパネル・窯業系パネルなどで壁・床を構成する。

従って、「軽量鉄骨構造」とは、在来工法木造建築物における木造軸組を「軽量鉄骨とブレース」に置き換えたものであると考えることができる。

こうした「軽量鉄骨構造」は、一般住宅やアパートに使用されることが多い。

欠陥住宅

備えるべき安全性能を欠いている住宅をいう。

その性能としては、風雨、地震、火災に耐える性能、地盤や主要構造部の堅牢性、さらには防音、通気、シックハウス防止等室内環境の水準などがあるが、その確保すべき水準は必ずしも明確ではない。例えば、建築基準法などの法令の規定に違反している場合、常識的な住宅としての性能を欠く場合、請負契約などで予定している性能を満たさない場合などは、欠陥住宅である可能性が大きい。また、欠陥住宅であるという苦情としては、雨漏り、亀裂の発生などに関するものが多い。

欠陥住宅が発生する原因の多くは、設計の誤りか施工時の手抜きやミスである。そこで、その責任を明確にするため、住宅の品質確保の促進等に関する法律では新築住宅の建築請負者や売主に対して、柱などの構造上重要な部分や雨水の侵入を防ぐ部分について、引渡し後10年間の瑕疵担保責任が義務付けられている。さらに、住宅の性能基準を客観的に評価し、その性能を保証する制度(住宅性能表示制度)も運営されているが、この制度を用いるかどうかは任意である。

結露

空気の温度を徐々に下げていくと、ある温度で空気中の水蒸気が飽和状態になり、さらに下げると過飽和状態になり水滴となる。これを結露という。

住宅の床・壁・天井や窓ガラスなどに結露すると(これを表面結露という)、カビや汚れの原因になる。また、断熱材や構造部材などに結露すると(これを内部結露という)、断熱性能はゼロ状態になるし、建物の耐久性を著しく低下させることになる。

煙感知器

火災による煙を感知し、火災信号を発する設備。温度が上昇する前に感知できるため、火災の早期発見に有効とされている。

一般に天井に取り付けられる。感知方法に応じて、煙によるイオン電流の変化により作動するイオン化式スポット型、煙による光電素子の受光量の変化により作動する光電式スポット型、煙の累積による光電素子の受光量の変化により作動する光電式分離型に分類される。また、作動する煙の濃度に応じて、1種(煙濃度5%)、2種(煙濃度10%)、3種(煙濃度15%)の種別があるが、一般的な煙感知器は2種である。

建築

建築物を新築し、増築し、改築し、または移転すること」と定義されている(建築基準法2条13号)。

建築確認

一定の建築物建築(増改築を含む)しようとするときに、工事の着手前に、建築計画が法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準)に適合している旨の確認を受けなければならないとする制度、または当該確認行為をいう。

確認を申請する義務があるのは建築主で、確認を行なうのは建築主事等である。

建築主は、建築確認を受けた場合には確認済証の交付を受ける他、工事を完了したときには検査を受けること、一定の場合には工事の中間検査を受けることなどの義務を負う。また、建築基準に違反した建築物については、建築主、建築工事の請負人等に対して、工事施工の停止や違反を是正するための措置を命じることができる。ただし、特別な場合を除いて、従前から存在する基準に違反の建築物(既存不適格建築物)については、増改築をしない限りはそのまま使用できる。

建築確認制度において重要なのは、建築確認を受けなければならない建築物の建築工事に当たっては、その設計は建築士が当たらなければならず、また建築士である工事監理者を置かなければならないとされていることである。この条件を満たさない建築確認申請は受理されない。つまり、建築基準を確保する仕組みは、建築確認制度と建築士制度とが一体となって初めて実効あるものとなるのである。

なお、建築基準は、都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に対してはより厳しい基準が適用されるなど、建物の敷地場所、規模、構造、用途等に応じて詳細に定められているため、その内容については注意深く確認する必要がある。

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。

遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。

その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

建ぺい率

建ぺい率

建築面積敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。

建築する建物の建ぺい率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。

建ぺい率

敷地面積に対する建築面積(建物の水平投影面積)の割合(%)。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。

建物の建ぺい率の限度は、原則として、用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。

権利金

土地や建物賃借権を設定したり譲渡したりするときに、賃借人が地主・家主に支払う金銭をいう。

賃料とは別に授受され、敷金と異なって契約が終了しても返還されることはない。その授受は、都市部で広く見られる社会的な慣行である。

その法的な性格は、

1.所有権類似の法的保護を受ける借地権の対価、2.賃料の一部の一括前払い、3.賃借権の譲渡・転貸に対する事前の承認料

などといわれ、契約の内容で判断しなければならないが、事実として行なわれている。

なお、借地権の取引においては、通常、権利金に相当する額が対価となっていて、その額は地価の7割程度の水準である。また、貸主が受け取る権利金は、課税上、不動産譲渡益と同様に取り扱われている。

CATV

通信ケーブルによってテレビ番組を各家庭へ送るサービスをいう。

もともとは難視聴地域対策として開始されたが、既存の番組を配信するだけでなく、ケーブルテレビ会社が独自に番組を作成・配信したり、通信ケーブルを利用した高速インターネット接続サービスを提供するなど、事業の範囲が拡大してきている。

テレビ放送と異なり、双方向の通信が可能なことが特徴である。

下水

不要なものとして排出される水をいい、雨水と汚水とで構成される。

雨水は、降雨等によって地表に滞留する水であり、汚水は水洗便所から排出される排水(し尿)、台所や風呂場から排出される排水(生活排水)、事業場からの産業排水などである。
下水道は、これら下水を処理するためのシステムとして構築される。

これに対して、利用のために給水される水を「上水」という。

ゲストハウス

中長期にわたって滞在者が利用する居住施設をいう。個室及び居間、浴室、キッチンなど共用の空間・施設を備えた賃貸住宅(シェア住居型ゲストハウス)を指す場合と、ホテルよりも安価なB&Bなどの簡易宿泊施設を指す場合がある。

シェア住居型ゲストハウスは、都市居住のスタイルを選択するときのニーズに応える住宅として利用される場合もあって、賃貸住宅経営の手法として運営される例も見られる。また、シェアハウスとして利用されることもある。

減価償却

企業会計において、長期間にわたって使用される資産(有形固定資産のほか、特許権などの無形固定資産を含む)を費用化する手法をいう。

例えば、生産設備などは複数の会計年度にわたって使い続けられるため、その取得費を複数年度に分けて費用として計上する必要があるが、そのための手法が減価償却である。
毎年度の減価償却費は、取得費用と耐用年数をもとに、一定の方法(定額法、定率法、級数法、生産高比例法のいずれか)で計算され、それを計上することによって資産が減価し、費用が発生することとなる。

なお、使用によって減価しない資産は減価償却の対象とならない。その代表的な例が、土地や地上権借地権などである。
一方で、土地等は減価償却の対象とならない代わりに、地価の変動等に応じて再評価する必要がある。

原状回復

ある事実がなかったとしたら本来存在したであろう状態に戻すことをいう。

例えば、契約が解除された場合には、一般に契約締結以前の状態に戻さなければならないとされる(原状回復義務を負う)。また、損害賠償の方法として、金銭で補償するのではなく損害が発生する以前の状態に戻す方法(原状回復による賠償)が認められる場合がある。

借家契約では、退去時の原状回復義務を特約していることが多いが、「本来存在したであろう状態」にまで戻せばよく、借りた当時の状態にする必要はないとされている。つまり、契約に定められた使用方法に従って通常の使用をしていれば、経年劣化があってもそのまま返還すればよい。

国土交通省が公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃借人が負担すべき原状回復費用は、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の範囲に限るとしている。また、東京都の「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例(賃貸住宅紛争防止条例、いわゆる東京ルール)」(2004年10月施行)では、重要事項説明の際に、借主に対して退去時の通常損耗等の復旧は貸主が行なうことが基本であること、入居期間中の必要な修繕は貸主が行なうことが基本であること、契約で借主の負担としている具体的な事項などを書面で説明しなければならないとしている。

原状回復義務

賃貸借契約の終了時に、賃借物(たとえば賃貸住宅)を借りてから生じた損傷を回復する義務。原状回復義務は賃借人が負う。

賃借人は、通常の使用収益によって生じた損耗及び賃借物の経年変化については、回復する義務はない。損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるときにもそれを回復する義務を免れる。

なお、賃貸人は、賃貸物の使用収益に必要な修繕(たとえば賃貸住宅の維持補修)をする義務を負っている。また、賃貸借契約の終了時に、受け取った敷金(賃貸借に基づいて生じた賃借人の債務額を控除した残額)を返還する義務がある。

現状有姿

現況有姿のこと。
現在あるがままの状態を意味。

山林や原野などを造成工事をしないで販売することを「現況有姿分譲」といい、市街化調整区域別荘地などの分譲でよく行なわれる。通常は、電気、ガス、水道などの施設が整備されていないために、そのままでは生活できない。分譲広告の際には、現況有姿分譲地であってそのままでは生活する施設がない旨表示しなければならない。

また、売主瑕疵担保責任を免れるために、売買契約中に「現況有姿で引渡す」旨記載して取引することがあるが(これを「現況有姿売買」という)、引渡しまでの間に目的物に変化があったときなどまで責任を免れることができるかどうかについては、消極的(ただちには免れない)に解する意見が強い。

公営住宅

住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する住宅。住宅セーフティネットとしての機能を担い、公営住宅法に基づき地方公共団体が建設、買収または借り上げして、管理する。

公営住宅に入居できるのは、原則として収入分位(所得が低い順に並べたときにその所得以下の者が全体に占める割合)が25%以下の者であるが、高齢者等については収入分位が25~40%の者も対象となる。また、家賃は、入居者の収入と立地条件や規模、経過年数等を考慮して決定され、近傍同種の家賃が上限とされる。

高架水槽

狭義には建築物に給水するために鉄骨造や鉄筋コンクリート造による高い塔をつくり、その上に置く給水タンクのことをいうが、建築物の屋上に設置する高置水槽も含めて広義に高架水槽と称する。

更新事務手数料

借家契約の期間更新の際に、借家人に対して請求される費用の一つで、契約更新のための事務費用であるとされている。しかしながら、契約更新事務を依頼しない場合にはその費用を支払う必要はない。

また、契約更新に当たって家賃改定などのための事務を不動産業者等に依頼した場合も、その費用は改定を必要とする方(通常は家主)が負担するのがより合理的であるという意見がある。

更新手数料

借家契約の期間更新に際して、そのための事務費用として支払う金銭。「更新事務手数料」ともいう。

契約更新手続きを依頼した場合に、それを実施する者に対して支払う。これに対して、「更新料」は、賃貸借契約に基づき、賃貸期間更新に当たって、借主が貸主に対して支払う金銭である。

更新料(建物賃貸借における~)

建物賃貸借契約を更新する際に、借主から貸主に対して支払われる金銭をいう。

支払いを求めるためには、支払いについての合意が必要である。

なお、更新料をめぐっては、その支払い合意は無効であるとの訴訟が提起されているが、最高裁判決(平成23年7月15日、第二小法廷)は、

1.更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払い、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当

2.更新料の支払いには、およそ経済的合理性がないなどということはできず、また、一定の地域において、期間満了の際に賃借人が賃貸人に対し更新料の支払いをする例が少なからず存することは公知であること、裁判上の和解手続き等においても、更新料条項は公序良俗に反するなどとしてこれを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことに照らすと、賃借人と賃貸人との間に更新料条項に関する情報の質および量ならびに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとみることはできない

3.賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当

として、一定の条件のもとでその適法性を認めた。

洪水浸水想定区域

想定し得る最大規模の降雨により河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域。水防法に基づいて、国土交通大臣または都道府県知事が指定する。

洪水浸水想定区域が指定されるのは、洪水予報河川および水位周知河川についてである。指定された場合には、区域の範囲とともに、浸水した場合に想定される水深、浸水継続時間等があわせて公表される。また、ハザードマップなどにも表示されている。

公正証書

個人や法人からの嘱託により、公証人公証役場で作成する契約書・合意書などのことをいう。

公正証書の内容としては、不動産売買契約、不動産賃貸借契約、金銭消費貸借契約遺言などが一般的であるが、公序良俗に反しない限り、どのような契約や合意であっても公正証書にすることが可能である。

公正証書を作成するには、当事者全員(または委任状を持参した代理人)が公証役場に出頭し、公証人に案文を提出し、公証人が公正証書を作成し、当事者全員に読み聞かせ、当事者全員が署名捺印するという手続きを踏む。
このため、文書の内容に関して後日裁判になった場合でも、文書の内容が真実であることが非常に強く推定されるので、公正証書に記載された内容がそのまま裁判で証拠になるというメリットがある(これを「証拠力」という)。

また、金銭消費貸借契約に関しては、債務者が一定の事情が発生したときには直ちに強制執行に服するという旨の陳述(これを「執行認諾約款」という)が記載されている場合には、この公正証書は裁判所の確定判決と同等の効力を持つこととされている。

このため、「約束の支払い期日までに債務者が債務を返済しない場合には債務者および連帯保証人は直ちに強制執行を受けても何ら異議はない」という旨の執行認諾約款のある公正証書が存在すれば、裁判を経ないで、直ちに債務者と連帯保証人の財産に対して強制執行を開始することができるというメリットがある。

このような強い効力を持つ公正証書であるが、その作成手数料は低額であり、利用しやすい制度となっている。

公道

公共の用に供されている道路をいう。

これに対して、私的に所有・利用される道路を「私道」という。

道路法の道路(高速自動車国道、国道、都道府県道、市町村道)のほか、農道、林道なども公道に含まれる。公道の交通に対しては、道路交通法が適用される。

なお、建築基準法においては、私道等が「道路」とされる場合があり(位置指定道路2項道路)、このような道路も公道と呼ぶことがあるので注意が必要である。

高齢者向け優良賃貸住宅

高齢者の居住に適する構造、設備を備え、緊急時に対応したサービスを提供する住宅として都道府県知事の認定を受けた賃貸住宅をいう。

規模、バリアフリー化、緊急時サービスなどの基準を満たして認定されると、その整備に要する費用の一部について国および地方公共団体の補助を受けることができる他、家賃の減額に要する費用の助成、税制上の優遇措置、融資に際しての優遇などがある。

高齢者向け優良賃貸住宅は、高齢者円滑入居賃貸住宅(高齢者の入居を拒まない賃貸住宅)としての登録が義務付けられている。

なお、2011年10月の「改正高齢者住まい法」の施行に伴い、サービス付き高齢者向け住宅に一本化された。

個人情報保護法

個人情報の適正な取り扱いに関する規定を定めた法律。正式な名称は「個人情報の保護に関する法律」で、2003(平成15)年5月に公布された。

この法律は、高度情報社会の進展に伴って個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑みて、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するために制定された。そこでは、個人情報は個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものとしている。

個人情報保護法の規定のなかで重要なのは、個人情報のデータベース等(たとえば顧客リスト)を事業の用に供している者(個人情報取扱事業者)に対する個人情報の取り扱いに関する規制である。

個人情報取扱事業者には、個人情報の取り扱いについて、
)利用目的の特定
)利用目的の範囲を超えた利用の禁止
)不正手段による取得の禁止
)取得に際しての利用目的の通知
)情報の正確性確保
)情報の安全管理措置
の義務が課されている。さらに、
)第三者への提供が制限され、
)本人による情報開示請求、訂正請求、利用停止請求を規定して原則としてその請求に従わなければならない
とされている。

また、同法は、個人情報取扱事業者の個人情報の取扱いについては、個人情報保護委員会(2016(平成28)年度までは主務大臣)が監督することとし、その監督に従わない場合には罰則に処すことができること、政府は個人情報の保護に関する基本方針を定めなければならないことなども規定している。

固定金利選択型住宅ローン

住宅ローンの種類の一つで、期間を定めて固定金利か変動金利かを選択する方法による住宅金融をいう。

当初一定期間を固定金利とし、固定期間終了後に、改めて見直した固定金利か変動金利かを選ぶタイプが多いが、最近はローン期間全体のなかでその一部分を固定か変動かの選択の対象にするタイプが現れるなど、その方法が多様化している。

将来の金利水準の変化など対する対応の幅が広がるが、負担すべき総額は確定しない。また、完全な固定金利や変動金利によるローンの場合と金利の決め方が異なることもあるので注意が必要である。

固定資産

長期にわたって保有、利用される資産。

固定資産は、(1)土地、建物、機械器具のような「有形固定資産」、(2)特許権、ソフトウェアのような「無形固定資産」、(3)投資有価証券、出資金のような「投資その他の資産」に三分類される。

使用によって価値が減耗する固定資産については、一定の期間にわたって費用化する(減価償却)こととされている。ただし、土地は減価償却の対象とはならない。

なお、固定資産に対して、現金、1年以内に現金化できる資産、棚卸資産などを「流動資産」という。

固定資産税

毎年1月1日現在において、土地・家屋等を所有している者に対し、市町村が課税する地方税のこと。
不動産の所在地の市町村が課税の主体となるので、実際の徴収事務は市町村の税務担当部署が行なう。

固定資産税の納付方法については、年度初めに市町村から土地・家屋の所有者に対して、固定資産税の「納税通知書」が送付されてくるので、それに従って年度内に通常4回に分割して納付することとされている(ただし1年分をまとめて先に支払うことも可能である)。

固定資産税の税額は原則的に「固定資産税課税標準額の1.4%」とされている。
ただし、一定の新築住宅については固定資産税額の軽減措置が実施されている。また、住宅用地については固定資産税課税標準額そのものが6分の1または3分の1に圧縮されている。

固定資産税は毎年1月1日において、固定資産課台帳に所有者として登録されている者に課税される。
従って、年の途中で不動産の売買が行なわれて、所有者が変わった場合であっても、納税義務者は元の所有者となる。こうした場合には不動産売買契約書において、その年度分の固定資産税額の一部を新所有者が負担するという特約を設けることが多い。

固定資産税課税標準額

固定資産税を課税する対象となる金額のこと。
固定資産税の税額は、原則的に「固定資産税課税標準額の1.4%」とされている。

建物の場合、固定資産税課税標準額と固定資産税評価額は通常一致する。
しかし土地の場合には、固定資産税課税標準額と固定資産税評価額は異なる額となる。
その理由は次の通りである。

1.住宅用地に係る課税標準額の特例
住宅用地については、その土地の課税標準額を次のように圧縮する措置が取られている。
小規模住宅用地の場合:固定資産税評価額×1/6=固定資産税課税標準額
一般住宅用地の場合:固定資産税評価額×1/3=固定資産税課税標準額
(詳しくは「固定資産税の軽減措置(住宅用地)」参照)

2.土地に関する負担調整率
土地の固定資産税評価額は3年に1度評価替えが行なわれている。この評価替えにおいて、固定資産税評価額が急激に上昇すると、納税者の税負担が急に増大し、納税の困難を招く恐れがある。
そこで法律(地方税法)では、土地の固定資産税評価額が大きく上昇したときでも、土地の固定資産税課税標準額はわずかな上昇率にとどめるという措置を講じている。この上昇率を「負担調整率」という。

具体的には、次の式により今年度の土地の固定資産税課税標準額を定めている。

「前年度の固定資産税課税標準額×負担調整率=今年度の固定資産税課税標準額」

上記1.および2.の理由により、土地の固定資産課税標準額は、土地の固定資産税評価額よりも非常に低い額となっている。
ごく普通の住宅用地(200平方メートル以下のもの)では、固定資産税課税標準額は、固定資産税評価額の6分の1から10分の1程度である。

コテージ

田舎や郊外に建てられた別荘風の小住宅。通常、一階建て・戸建ての住宅で、家具、トイレ、家電品などが設置され、短期的な賃貸に供される場合も多い。英語でcottage。

コテージに対して、家具やトイレを備えないキャンプ用の建物を「バンガロー」という。

混合水栓

混合水栓

給水栓の一つで、湯と水とを一つの吐水口から出すもの。用途別に浴室用、キッチン用、洗面用があり、湯と水それぞれのハンドルのあるツーハンドル、一つのレバーで操作できるシングルレバーなどがある。

コーポ

共同住宅に付けられる名称のひとつで、英語のcooperative house(共同住宅)の一部をとった和製英語。アパートの名称として使われることが多い。

合意更新

借家契約において、当事者の合意によって契約期間を更新することをいう。

借家契約の期間を合意で更新する場合、契約期間の制限はないが、期間を1年未満としたときには期間の定めがないものとみなされることになる。
また、合意更新においては、更新に当たって契約条件等を変更することは原則的に自由であるが、借地借家法強行規定に反する特約で借家人に不利なものは無効となる。

なお同様に、借地契約についても合意更新が行なわれるが、借地契約の更新後の契約期間は、最初の更新時には最低20年、以後の更新にあっては最低10年とされている。
また、強行規定に反する特約で借地人に不利なものが無効となるのは借家契約と同様である。

さ行

災害危険区域

津波、高潮、出水等による危険の著しい区域として指定された区域。

地方公共団体が条例によって指定し、その区域内では、災害を防止・軽減するため、条例の定めるところにより建物の用途、地盤高・床高、構造等が規制される。建築基準法に基づく制度である。

災害ハザードエリア

被災の恐れが大きい区域。「災害レッドゾーン」と「浸水ハザードエリア等」とに二分される。

災害レッドゾーンは、災害危険区域土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域または急傾斜地崩壊危険区域に指定された区域である。また、浸水ハザードエリア等は、浸水想定区域、土砂災害警戒区域都市洪水想定区域・都市浸水想定区域、津波浸水想定区域または津波災害警戒区域に指定された区域である。

災害ハザードエリアについては、(1)一定の開発の禁止、開発の抑制、住宅等の開発に対する勧告によって新規立地を抑制する、(2)移転を支援する制度によってエリアからの移転を促進する、(3)立地適正化計画において、災害レッドゾーンの居住誘導区域からの除外、居住誘導区域内で防災対策・安全確保策を定めることによって防災まちづくりを推進することとされている。

サイクルポート

多数の自転車を共同で利用する場合に、共用する自転車を停め置き、利用者が借用・返却する場所。また、別の意味として、建物に付属した自転車置き場をさすこともある。いずれも和製英語である。

採光

建築基準法によれば、住宅の居室においては、採光のために、窓その他の開口部を設けなければならない(建築基準法28条1項)。
この住宅の採光のための開口部の面積は、居室の床面積の7分の1以上でなければならないとされている。

ふすま、障子などの常時開放できるもので仕切られた2つ以上の居室は、1つの居室とみなすこととされている(建築基準法28条4項)。従って、1つの居室には必ず1つの窓が必要というわけではなく、障子で仕切られた2つの居室について1つの窓でもよいということになる。

ところで、住宅の販売広告等では、窓のない部屋はこの採光の規定(建築基準法28条)を満たしていないため、「居室」と表示することはできない。その代わりに、「納戸(なんど)」「サービスルーム」などと表示することは可能とされている。

また、地階に設けた居室についてはこの限りではないとされているので、居室として使用される地下室では採光のための開口部を設ける必要はない(建築基準法28条1項但し書き)。
ただし、こうした地下室では衛生上の要請から「ドライエリア(からぼり)」等の設備を設ける必要がある(建築基準法29条)。

サイディング

建物の外壁に使用する仕上材のこと。木材、セメント板、金属、セラミック等が用いられる。

差押

競売(または公売)の前提として、あらかじめ債務者の財産の売却等を禁止するような裁判所の命令のこと。

仮差押が、債務者の財産を一時的に凍結する命令であるのに対して、差押は競売(または公売)の手続きが開始すると同時に行なわれるものである。

差押の原因は、次の3つのどれかである。

1.抵当権等を実行するための任意競売が開始されたこと
2.裁判所の判決等にもとづく強制競売が開始されたこと
3.税金の滞納にもとづく公売が行なわれること

サブリース

賃借人が第三者にさらに賃貸することであるが、特に、住宅の管理を手がける事業者が賃貸住宅の所有者から住宅を一括して賃借し、それを入居者にさらに賃貸するという賃貸住宅経営の方法をいうことが多い。この場合、一括して賃借する事業者を、サブリース事業者または特定転貸事業者という。

賃貸住宅の所有者は、賃借人の募集、家賃の設定や改定、住宅の管理などの業務に責任を負うことなく賃貸料を得ることができるが、サブリース事業者とのリスク分担や空室の取扱いなどについて明確にしておく必要がある。

また、サブリース事業者は、事業の実施に当たって、賃貸住宅管理業法が定める規制を遵守しなければならない(2020年12月施行)。例えば、所有者と賃貸借契約を締結する前に家賃、契約期間等(重要事項)を記載した書面を交付しなければならないほか、誇大広告の禁止、故意に事実を告げずまたは不実を告げる行為の禁止などが課せられている。

3,000万円特別控除

譲渡所得の課税において、譲渡益から3,000万円を控除して課税する制度をいう。

個人が、居住用財産(自ら居住している土地・建物)を譲渡して譲渡利益が生じた場合に、この譲渡利益に対する所得税の課税に当たって、譲渡利益から3,000万円(譲渡利益が3,000万円未満のときはその額)を控除して譲渡所得を計算する特別の措置である。この特例が適用されるのは、住まなくなった日から3年目の年末までに譲渡した場合である。

また、相続した空き家を譲渡した場合にも、3,000万円特別控除が適用される。

サンルーム

日光を室内に多量に取り込めるよう工夫した部屋をいう。

屋根や壁をガラス張りにしたり、大きな窓を設けることが多い。

サービスルーム

採光が不足して居室として認められない部屋をいう。

建築基準法では、居室は、住宅の場合、窓の大きさは床面積の7分の1以上なければならないとされているが、その基準を満たさない部屋を「サービスルーム」と称する。

例えば、間取りが「○LDK+S」と表示されている場合の「S」がこれに当たる。「納戸」もこれと同じ意味で使われることが多い。

シェアハウス

複数の居住者・家族が一定の生活空間を共用する住宅をいう。一般に、台所、浴室、居間などを共用し、居住者同士のコミュニケーションが生まれることとなる。賃貸住宅として供給されているが、居住スタイルの選択肢の拡大に応える住宅形態のひとつである。

市街化区域

都市計画によって定められた、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化区域内では、必ず用途地域が指定されている。

市街化調整区域

都市計画によって定められた、市街化を抑制すべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化調整区域内で土地の区画形質の変更をする場合には、原則として許可を要する(開発許可)。そして開発許可に当たっては特別な事情にある場合を除いて住宅のための宅地造成等は許可されないなど、市街化調整区域内での開発・建築行為を抑制する規制が適用される。

敷金

建物の借主が、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保するため、貸主に交付する金銭をいう。
敷金は、契約が終了した場合に、未払賃料等があればこれを控除したうえで借主に対して退去後に返還される。

敷金

建物賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、次のような目的のために預けられる金銭。

1.賃料の不払い・未払いに対する担保
2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い

将来契約が終了した場合には、上記1.や2.の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。

敷地

建築物のある土地のことを「敷地」という。

なお、同一の敷地の上に2つの建築物がある場合には、建築基準法では、2つの建築物が用途上分けられないときは、同一敷地にあるものとみなすことになっている(建築基準法施行令1条)。
例えば、ある人の所有地の上に「住宅」と「物置」が別々に建っている場合は、この2つは用途上不可分であるので、別々の敷地上に建てたと主張することはできない、ということである。

ところで、建築基準法では「敷地」が衛生的で安全であるように、次のようなルールを設定しているので注意したい(建築基準法19条)。

1.敷地は、道より高くなければならない(ただし排水や防湿の措置を取れば可)
2.敷地が、湿潤な土地や出水の多い土地であるときは、盛り土や地盤の改良を行なう。
3.敷地には、雨水と汚水を外部に排出する仕組み(下水道など)をしなければならない。
4.崖崩れの被害にあう恐れがあるときは、擁壁(ようへき)の設置などをしなければならない。

敷地延長

ある土地が、狭い通路を通じて道路に出ることができるような形状になっているとき、その通路の部分を「敷地延長」と呼ぶ。

また、こうした狭い通路を持つ土地全体のことを「敷地延長」と呼ぶこともある。
一方、その形状が旗に竿を付けた形に似ていることから、こうした土地のことを「旗竿地」と呼ぶこともある。

敷引

借主から貸主に対して交付された敷金のうち、契約時点で一定の部分を借主に返還しないことを特約する慣行がある場合の、この返還しない部分をいう。

関西地方の慣行であるとされる。

システムキッチン

調理のための設備・器具を一体化した台所をいう。調理台、流し台、コンロ、収納スペースなどの部材を組み合わせたうえで、天板をのせることによって全体が一つにまとめられている。これによってデザインの統合や空間の有効利用を図ることができるとされる。

なお、システムキッチンという言葉は、和製英語である。

私道

民間の個人や法人が所有している道路を「私道」という。

「私道」には、特定の個人のために築造されたものもあれば、不特定多数の人が通行するために築造されたものもある。
「私道」は一定の手続きを経ることによって「建築基準法上の道路」になることができる。
この手続きは「道路位置指定」と呼ばれている。

借地借家法

借地権および建物賃貸借契約などに関して特別の定めをする法律で、民法の特別法である。1991年公布、92年8月1日から施行されている。

従前の借地法、借家法を統合したほか、定期借地権等の規定が創設された。借地借家法では、借地権の存続期間や効力等、建物の賃貸借契約の更新や効力等について、借地権者や建物の賃借人に不利にならないよう一定の制限が定められている。

シャンプードレッサー

洗髪や化粧にも使える洗面台をいう。

例えば、大きめの洗面ボウル、シャワー機能付きの水栓、三面鏡、収納スペースなどを備えた多機能型の洗面台がこれに当たる。

集合住宅

複数の住宅が集まって一つの建物を構成する居住形式をいう。壁、床など建物構造の一部を共有することになる。「共同住宅」と同義。

修繕義務

建物賃貸借契約においては、貸し主は建物の汚損・破損(借り主の故意や過失によって発生した汚損・破損を除く)について、必要な修繕を行なう義務を負うものとされている。これが修繕義務である。

ただし、この民法の定めは任意規定であるので、実際の建物賃貸借契約では、修繕義務を貸し主と借り主でそれぞれ分担する旨を特約することが多い。これを修繕特約という。この場合にも、老朽化した設備の取り替えや安全性確保のための修繕については、特約にかかわらず貸し主が負担すべきと考えられている。

なお、借り主は、賃貸借契約の終了に当たって原状回復義務を負うが、経年変化および通常の使用による損耗等については回復の義務はない。

修繕積立金

管理組合が管理費とは別に共用部分や付属施設などの修繕を目的とした長期計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
管理費と同様、一般的に専有部分の専有部分の面積の割合で月額料金が定められている。

修繕積立金

管理組合長期修繕計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
区分所有者は、管理組合に対して、通常、管理費と特別修繕費を納入するが、この特別修繕費を毎月積み立てたものが「修繕積立金」である。

この修繕積立金は、管理費と混同しないように、管理費とは別に経理することが管理規約において定められていることが多い。

シューズインクローゼット

土足で入ることができる収納空間。和製英語である。

靴類が収納されるほか、物置やコート類の収納スペースとして利用されることもある。

また、出り口を2つ設けて、シューズインクローゼットから直接に室内に入ることができる構造のものもある。

シューズボックス

履物をまとめて収納するための家具。玄関に造り付ける場合もある。「下駄箱」も同じ意味で使われる。

なお、Shoes-boxは和製英語で、英語のShoe boxは靴一足を入れる直方体の紙箱をさす。

使用貸借

動産不動産を有償で貸し付ける契約が「賃貸借契約」であるが、無償で貸し付ける契約は「使用貸借契約」と呼ばれる。

使用貸借契約については、借地借家法が適用されず、民法第593条から第600条が適用される。また無償で貸し付けているため、使用貸借契約においては、貸主は原則としていつでも借主に対して契約を解除し、物の返還を要求することができる(ただし、存続期間を定めているときはその期間が満了するまでは物の返還を要求できない)(民法第597条)。

実際には使用貸借契約は、会社とその経営者の間で締結されたり、親子間で締結されることが多い。また契約書が存在せず、口約束で行なわれることも多い。
例えば会社の経営者が、個人名義の土地の上に会社名義の建物建築するケースや、親名義の土地の上に子名義の建物を建築するケースなどである。

なお税法上の相続財産評価においては、使用貸借契約により土地を貸借する権利の経済的価値はゼロと評価されている。

浸水想定区域

河川の氾濫、雨水の排除ができないことによる出水、高潮による氾濫が起きた場合に浸水が想定される区域。水防法に基づき、国土交通大臣又は都道府県知事が指定する。

浸水想定区域には、その原因に応じて、洪水浸水想定区域、雨水出水浸水想定区域、高潮浸水想定区域の種類がある。

浸水想定区域に指定された区域については、洪水予報等の伝達方法、避難場所および避難経路、避難訓練の実施など、円滑かつ迅速な避難の確保を図るための措置について定めがある。また、浸水想定区域および避難確保措置は、ハザードマップ等に記載し公表されている。

心理的瑕疵

不動産の取引に当たって、借主・買主に心理的な抵抗が生じる恐れのあることがらをいう。

心理的瑕疵とされているのは、自殺・他殺・事故死・孤独死などがあったこと、近くに墓地や嫌悪・迷惑施設が立地していること、近隣に指定暴力団構成員等が居住していることなどである。

物件の物理的、機能的な瑕疵ではないが、物件の評価に影響することがあるため、知っていながらその事実を説明しない場合には契約不適合責任を問われることがある。もっとも、何が心理的瑕疵に当たるかについての明確な基準はない。

なお、不動産の取引や取引の代理・仲介に当たって、取引対象の不動産において過去に人の死が生じた場合に宅地建物取引業者がとるべき対応を示した指針(「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」2021年)が公表されている。

CSアンテナ

CS(通信衛星:Communication Satellite)を利用した放送を受信するためのアンテナ。

衛星放送には、CS放送とBS放送(放送衛星:Broadcasting Satelliteを利用した放送)とがあるが、受信アンテナの形態などに違いはなく、ひとつの衛星放送用アンテナで両方の放送を受信することができる。

シーリングライト

天井に直接取り付けて広く照らす照明器具。英語のceiling lightで「天井灯」ともいう。

部屋全体を照らすことができ、一般的に主照明として用いられる場合が多い。

これに対して、天井から吊り下げる照明器具をペンダントライト、局所的に照らす照明器具をスポットライト、天井に埋め込む照明器具をダウンライトという。

地上げ

事業用地を確保するために、不動産会社が土地などを購入することをいう。

自らの事業のための購入のほか、依頼を受けて土地等を買収することも含まれる。買収を依頼されたときの方法には自ら買収した後依頼者に転売する場合と、依頼者の買収を媒介する場合とがある。

地上げの目的は土地を事業の用に供することであり、そのために必要となる、地上権の解消、家屋の撤去、借家人の立ち退きの実現などもその業務に含まれる。また、権利関係が複雑な市街地の開発などにあたっては、その調整等のため専門的な能力が要請されることもある。

公共事業のための用地買収も地上げと類似するところがあるが、買収価格は用地補償基準従って決められた価格でなければならず、最終的には土地収用に至ることなど、その性質は異なる。

ジェットバス

浴槽の中の穴から気泡を含んだ湯を勢いよく噴出し、マッサージ効果を発揮する風呂のこと。

直物(直物件)

宅地建物取引業者が、その売却の仲介を売り主から直接に依頼された土地・建物。宅地建物取引業者は、売り主と専属専任媒介契約または専任媒介契約を締結する。「直物件」も同じ意味である。

直物に対して、売却を直接に依頼されていない土地・建物を「先物」という。

売買の仲介において、直物か先物かによる取り扱いの違いはなく、購入における仲介手数料も同じである。

事故物件

権利について争いがあったり、浸水、自殺、倒産などの事故の場所となったりした宅地建物をいう。

取引価格は、事情を反映して低くなることが多い。

地震保険

地震による被災損失に対して補償する損害保険。火災保険契約等に付帯する形で付保され、「地震保険に関する法律」によって保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険している。

保険の対象は住宅および生活用動産に限られ、保険事故は地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による全損・半損・一部損である。
保険補償の範囲は、主契約の保険金額の30~50%の範囲内で、建物5,000万円、家財1,000万円を上限とする。

保険料は、建物の構造と所在地に応じて決定される。建物の構造は木造と非木造に区分され、所在地は都道府県別に区分されている。

自走式駐車場

立体的な駐車場であって、車を運転して昇降し、駐車する方法のものをいう。立体駐車場であるが、車を機械によって移動しない。

なお、地面のみに駐車する方法を「平置」、立体的であって車を機械によって移動する方法を「機械式」という。

地盤改良

地盤の状態を改変する処置。建造物を構築するための処置で、地盤支持力の増強、不同沈下の防止、地震の際の液状化防止などのために実施される。

地盤改良の工法には、
・締め固め工法(振動を与えて地盤を固める)
・置換工法(地盤土を掘削し良質土に置き換える)
・脱水工法(井戸や排水路によって土中の水分を排出する)
・載荷工法(一定期間加重して地盤を沈下させ安定化する)
・混合処理工法(固化材を混和する)
・杭工法(杭を打ち込んで支持基盤とする)

などがある。

工法は、地盤改良の目的、地盤の状態、改良が必要な地盤の深さなどに応じて選択される。また、事前に地盤調査を行なうことが大切である。

地盤沈下

地盤が圧縮され、沈んでいく現象をいう。

単に地盤が低下するだけでなく、沈下量が場所によって異なることによる不同沈下、支持層に支えられた構造物が相対的に高くなる抜け上がりなどの現象を伴うことが多い。
その原因は、主として地下水の過剰な汲み揚げである。ときには、埋め立て地や盛り土が荷重により圧縮されて沈下することもある。

建物等の地上構造物の損壊や傾きの発生、地中のガス管等のライフラインの破損、津波や高潮に対する脆弱性の増大などの被害が生じることがある。新築分譲した建物が地盤沈下によって損壊したときには、原因によっては瑕疵担保責任を問われる恐れが大きい。

住居番号

「住居表示に関する法律」により、各建物に付された番号のこと。
土地登記簿に記載された地番とは異なる。

住居表示

1962(昭和37)年以前は、土地登記簿に記載されている地番に基づいて、各建物を表示していたため、郵便の集配等で混乱が生じていた。
そこで1962(昭和37)年に「住居表示に関する法律」が施行され、各建物を合理的に表示するために、各建物ごとに新しい番号(これを住居番号という)を付けることとなった。これによる建物の新しい表示の方法のことを「住居表示」と呼んでいる。

建物ごとに新しい番号を付ける方式としては、街区方式と道路方式が定められている。

重説

重要事項説明」の略で、宅地建物取引業者が、売買契約賃貸借契約の締結に先立って、買主・借主に対して契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづき説明すること。

この重要事項説明において宅地建物取引業者が買主・借主に対して交付する書面を「重要事項説明書」という。

不動産の買主・借主は、契約しようとする物件に関して十分な情報を持っていない事がほとんどで、また買主・借主が一般人である場合には不動産に関する法律知識が不十分であるため、思わぬ損害を受けてしまう可能性がある。

そこで、宅地建物取引業法第35条では、売買契約・賃貸借契約を締結するよりも前に、不動産取引を代理媒介する(または自ら売主として取引する)宅地建物取引業者が、買主・借主に契約上の重要な事項を説明するように法律で義務付けているのである。

重要事項説明にあたっては、説明する重要事項をすべて書面に記載し、買主・借主にその書面(重要事項説明書)を渡す必要があるとされている。この重要事項説明書には、宅地建物取引士が記名押印しなければならない。

さらに宅地建物取引業者は、宅地建物取引士を通じて、重要事項説明書の内容をわかりやすく買主・借主に説明しなければならない(このとき宅地建物取引士は宅地建物取引士証を提示しなければならない)。このように、一定以上の知識経験を有すると認められる有資格者(宅地建物取引士)が説明することにより、買主・借主に誤った説明がされないよう配慮されているのである。

重要事項説明書に記載すべき事項は、非常に広範囲にわたる。また契約の種類・物件の種類によっても説明すべき事項に多くの違いがある。

重説IT化

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。

重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされている(宅地建物取引業法)。しかし、情報技術を活用すれば、インターネット等を利用して説明し、電磁的方法で書面を交付することができる。そこで、政府においてその導入の可能性等が検討されている。

検討においては、① 取引士により重要事項説明が行なわれ、取引士証が提示されること、② 重要事項説明を受ける者が契約者本人であること、③ 取引士が、必要な内容について伝達すること、④ 取引士と重要事項説明を受ける者とのやり取りに十分な双方向性があること、を満たす必要があるとされている。そこで、社会実験によって導入の可能性を検証するとされている。その際には、売買か賃貸かというような取引の類型や、契約の相手方が個人か法人かというような属性の違いについても留意することになっている。

住宅ローン

個人に対する住宅資金の融資をいう。

主として民間の金融機関が担っているが、その円滑な実施などのため、(独)住宅金融支援機構住宅金融公庫の廃止後、その機能の一部を引き継いだ組織)と連携することが多い。また、年金基金、共済組合などが融資する場合もある。

融資の期間、利率(固定金利か変動金利かを含めて)などの条件は、金融機関によって異なるほか、借入者の属性や状況等、金融機関との取引の状況に応じて多様である。その選択のために、借入と償還をさまざまにシュミレーションできるサービスも提供されている。

住宅ローンの実施に際しては、通常、融資対象となる住宅に担保権が設定されるほか、連帯保証人を求められることが多い。また、住宅販売会社が提携金融機関の融資を斡旋する場合もある(提携住宅ローン)。

なお、住宅ローンの負担軽減のための税制上の優遇措置(住宅ローン減税)があるほか、住宅ローン債権がSPCなどに譲渡され証券化される例も増えてきている。

重要事項説明書

宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう(「重要事項説明」についての詳細は当該用語を参照)。

重要事項説明書には説明を要する重要事項を記載しなければならず、また、書面は、宅地建物取引士が、記名押印して交付しなければならないとされている。

重量鉄骨構造

鉄骨構造の一つ。
重量鉄骨構造とは、次のような特徴を持つ鉄骨構造である。

1.重量鉄骨(H形鋼など)を柱・として使用する。
2.柱・梁の接合部をボルトにより「剛接合」する。
(「剛接合」とは外力を受けても接合部が回転・変形しないという意味である)
3.木質系パネル・軽量気泡コンクリートパネル・窯業系パネルなどで壁・床を構成する。

このように「重量鉄骨構造」は、剛接合された骨組を持つ非常に頑強な構造となっている。
そのため、重量鉄骨構造は3階建ての一戸建て住宅や、3階建ての共同住宅で多用されている(ただし最近は2階建ての重量鉄骨構造も見られる)。

準耐火構造

建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、準耐火性能に適合する建築物の構造をいう。

この場合の準耐火性能とは、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、加熱開始後各構造に応じて定められる一定の時間(おおむね45分間)、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。

準耐火構造は、火災中の延焼を抑制する性能が求められるにとどまり、耐火構造のように、鎮火後に建物を再使用できるような性能までは要求されていないと理解されている。

浄化槽(し尿浄化槽)

便所からのし尿と、台所等からの雑排水を一緒に浄化する水槽のこと。沈殿、バッキ、消毒の処理を行なう機能を持っている。

下水道の完備した区域(処理区域という)ではないエリアでは、し尿浄化槽を必ず設置して、し尿を浄化してから、雨水管へ放流しなければならないとされている(建築基準法31条2項)。

水害ハザードマップ

想定し得る最大規模の洪水・雨水出水(内水)・高潮が生じた場合の浸水想定区域を示す図面。水防法に基づき、主に住民等の避難に活用されることを目的として、市町村が作成・公表する。

1/10,000~1/15,000程度の大縮尺の地図を用いて、浸水想定区域のほか、浸水深、浸水継続時間、早期の立ち退き避難が必要な区域、避難経路、避難場所等が表記されている。また、予警報・避難勧告等の情報伝達方法、避難勧告・避難行動に関する事項、過去の水害実績、避難訓練の実施に関する事項、緊急時・平時の心構え等の情報も記載される。

宅地建物取引において、取引の対象となる土地・建物が水害ハザードマップ上のどの位置に所在するか(水害ハザードマップが作成・公表されていない場合にはその旨)を説明することは、重要事項説明義務の一つである。

スキップフロア

スキップフロア

1.勾配のある土地、または住宅の一部を地下とする場合等で、建築物の室内において、半階ずらした床を設け、空間に変化を付ける空間構成手法。室内に段差が生じるため、バリアフリーには適さない。

2.集合住宅において、1または2階おきに廊下を設け、エレベーターは廊下のある階にだけ停止し、その上下階の住戸へは階段を利用するようにした型式。廊下のない階ではプライバシーが確保でき、通風も良い。また、エレベーターの停止階が少ない分だけ、その分のエレベーターホールが不要、通路面積も小さくできるといった利点もある。

スケルトン

構築物の骨組みのこと。建物などの構造・強度を形成する部材で、構造躯体とも言われる。英語のskeleton。

建物を、スケルトンと内装や設備(これをインフィルinfillという)とを分離できるように設計・施工すれば、改築することなく間仕切りや設備を自由に変更できる。このような工法によって建築された住宅を「スケルトン・インフィル住宅」という。

筋かい

筋かい

軸組の垂直面において、垂直材(柱)と水平材(胴差し・土台など)を対角線に沿って斜めにつなぐ材のこと。

筋かいを入れることによって、軸組が水平方向の力に対抗できるようになり、構造強度が増す。

建築基準法施行令第45条では、筋かいの基準を設けるとともに、筋かいと柱・土台等を「金物」で緊結することを義務付けている。

なお、2000(平成12)年6月1日に施行された建設省(現国土交通省)告示第1460号により、筋かい端部における仕口(筋かいと柱・土台等との接合部のこと)の接合方法が具体的に厳しく規定された。

この結果現在では、筋かい端部の接合部においては、事実上、Zマーク金物(またはそれと同等以上の性能を有する金物)の使用が義務付けられている。

スプリンクラー

「自動散水消火器」ともいわれる消火設備の一つ。

天井面に配置された散水口(スプリンクラーヘッド)と送水管より成り、火災時の熱によって散水口の可溶片が溶け、水が自動的に散水される。感知する温度を設定することができるので、厨房等でも設置することが可能である。

連結される送水管は、常時水を満たしている湿式と圧縮空気による乾式とがあり、湿式の方が一般的である。

すまい給付金

一定の住宅を取得する者に対して政府が給付する金銭をいう。2014(平成26)年4月の消費税率の引き上げに際して、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された。

住宅取得の際に消費税が課税される場合であって、一定の要件を満たすときに支給される。

満たさなければならない要件は、取得する住宅が新築住宅か既存住宅か、資金が住宅ローン利用か現金による取得かによって異なる。共通する要件として、自ら居住すること、床面積が50平方メートル以上であること、一定の品質が確認されていることとされている。さらに、既存住宅の取得については、売り主が宅地建物取引業者であることなどの、現金取得については、年齢が50歳以上であること、収入の目安が一定額以下であることなどの要件が加わる。

給付額は、消費税率および都道府県民税の所得割額に応じて段階的に定められた給付基礎額に、取得した住宅の持ち分割合を乗じて決定される。この場合、収入が一定額を超えるときには給付額はゼロとなる。

すまい給付金制度が適用されるのは、2014(平成26)年4月から2021(令和3)年12月までに引き渡され入居が完了した住宅であるが、一定の期間内に契約した場合には引渡し期限及び床面積要件について延長・緩和する特例がある。

スレート葺き

屋根の仕上げ方法の一つで、粘板岩(slate、スレート)を板状に加工したもの、または、それに類似する板状の素材で屋根を覆うことをいう。

材料としては、天然の粘板岩のほか、石綿スレート(セメントを主体に石綿を混ぜたもの)等が使われている。

スレート屋根

石板で葺いた屋根。比較的軽量で、デザイン性に富む。一方で、防水性に難があるほか、スレートの材質によっては耐久性に劣るとされる。「スレート」は英語のslate。

スレート屋根に用いられる石板には、粘板岩を薄い板状に加工したもの(天然スレート)のほか、セメントに繊維等を混ぜて板状にしたもの(化粧スレート)がある。普及しているのは化粧スレートで、一般に表面が塗装されている。

なお、2004年以前の化粧スレートはアスベスト(石綿)を含むことがあるので、撤去などに際して注意が必要である。

制震構造

地震による建物被害を防止・軽減するための方法の一つで、地震によって生じる振動を吸収する建物構造をいう。

例えば、振り子などの慣性力で地震動を吸収する、地震動に応じて外部から力を加えて振動を押さえる、緩衝装置によって建物部材の変型を軽減するなどの方法を取り入れた建物構造はこれに該当する。主として、超高層の建物において採用されている。

一方、地盤と建物基礎などの間にローラーや積層ゴムを設置して、建物に伝わる地震の揺れを絶縁または長周期化することにより外力を制御する方法を採用した建物構造を免震構造という。

耐震設計は、これらの方法を含めて、地震に対して建物構造の安全を保つための設計をいうが、どのような建物構造を選択するかは建築設計に当たっての重要なポイントの一つである。

生前贈与

存命中に自分の財産を他人に与えることであるが、通常は、相続の前倒しとして行なう贈与をいう。

贈与を行なったときには、贈与を受けた者に対して贈与税が課せられる(毎年110万円までは非課税)。一方、相続した場合に課せられる相続税は、贈与税よりも税率が低い。そこで、存命中に被相続予定者等に対して財産を分与する必要に応えるために、一定の要件を満たす贈与財産について、相続時にその贈与財産も相続財産と同様に取り扱う制度(相続時精算課税制度)が創設された(2003(平成15)年)。この制度に従ってなされる贈与が、生前贈与である。

また、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与等については一定額まで贈与税が非課税となるが、この制度による贈与も生前贈与である。

なお、贈与税の課税においてどのような贈与が特別扱いの対象となるかなどについては、具体的な事例に則して十分に確認する必要がある。

成年後見人

成年被後見人を保護・支援するために、家庭裁判所が職権で選任する後見人のこと(民法843条)。成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、法律行為について成年被後見人を代理する権限を持つ(民法859条)。

成年後見人は、成年後見制度によって成年被後見人に付される法的な機関で、成年被後見人を代理して行う行為は広範である。ただし、成年被後見人が居住の用に供する建物敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除等の処分を代理するときには、家庭裁判所の許可が必要である(民法859条の3)。

成年被後見人

精神上の障害があるために、後見人を付けられた者のこと。

精神上の障害により物事を判断する能力が欠如した状態にある者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求にもとづいて審判を行ない、「後見開始」の決定をし、「後見人」を職権で選任する(民法第7条、第843条)。

こうした手続きにより後見人を付けられた者のことを「成年被後見人」と呼ぶ。

また、成年被後見人に付けられる後見人は「成年後見人」と呼ばれる。この「成年被後見人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「禁治産者」という名称であった。

成年被後見人は法律行為を有効に行なうことができないものとされているので、どんな法律行為でも原則的に後で取り消すことが可能である(ただし日用品の購入などは有効に自分で行なうことができる)(民法第9条)。

従って、成年被後見人との契約を行なうには、その成年後見人を代理人として契約を行なうべきである(民法第859条)。

政令指定都市

都道府県の事務のうち一定のものを処理する権限が与えられた人口50万人以上の政令で指定された市をいう。単に「指定都市」ともいい、地方自治法に基づく制度である。

政令指定都市が処理する都道府県の事務としては、福祉、衛生に関する一定の事務、都市計画、土地区画整理事業に関する一定の事務などが定められている。

政令指定都市は、条例で市の区域を分けて「区」を設置し、事務を分掌させることとなっている。ただし、この「区」は、東京都が設置する「特別区」とは違って、地方公共団体ではない。

政令指定都市として指定されているのは、大阪市、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市、北九州市、札幌市、川崎市、福岡市、広島市、仙台市、千葉市、さいたま市、静岡市、堺市、新潟市、浜松市、岡山市、相模原市、熊本市である(指定順)。

セカンドハウス

本来の居住地から離れて設ける別の住宅。和製英語である。避暑地や避寒地に立地し保養などのために利用されることが多い。「別荘」と同義。

石綿

蛇紋石・角閃石など繊維状ケイ酸塩鉱物の総称。英名アスベスト(Asbestos)。

繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。

しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されている)。

建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。

石油給湯器

湯を沸かして供給する器具(給湯器、ボイラー)のうち石油(灯油)を燃料とするものをいう。

給湯器の熱源には、石油のほか、ガス、電力、太陽光などがある。このなかで石油給湯器は、大容量の供給に適するとされる一方、燃料タンクが必要なほか、燃焼制御の方法が複雑とされている。また、給湯コストが石油価格に大きく左右される。

給湯器は、調理、浴槽、暖房など湯の用途によって必要とする湯温や湯量が異なるから、熱源はそれに適したものを選択しなければならない。また、機種の選択に当たっては、用途やコストのほか、メンテナンスの容易さ、設置スペースなども勘案する必要がある。

セットバック

2項道路(建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に接する場合において、建物を建築・再建築する際、道路の中心線から2mとなるよう敷地の一部を後退させることをいう。
なお、セットバックした部分は道路とみなされ、建物を建築することはできない。

専属専任媒介契約

宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)のうち、専任媒介契約であって、かつ依頼者は、依頼した宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買等の契約を締結することができない旨の特約が付いた契約をいう。

つまり、依頼者は取引の相手方を自分で発見しても、媒介を依頼した宅地建物取引業者の媒介なしには契約できないことになる。

専属専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、5日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている。

専任媒介契約

宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)であって、媒介の依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買または交換の媒介または代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。

この契約の有効期間は、3月を超えることができないとされている(契約期間の更新は可能)。

専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、7日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている。

洗面化粧台

洗面台(洗面ボール、給水栓、鏡を備えている)と収納スペースとが一体化した設備。通常、照明器具やコンセントも備えていて、身だしなみを整えるためのニーズに応えるように作られている。

洗面台

水を溜めて顔を洗うための容器(洗面ボウル)及び水栓金具が組み合わさった設備。通常、鏡なども組み込まれている。

洗面台は壁面等に固定された設備であって、洗面のための単独の容器(洗面器)のようには移動して使うことができない。

専有部分

分譲マンションなどの区分所有建物において、それぞれの区分所有者が単独で所有している建物の部分のことを「専有部分」と呼ぶ(区分所有法第1条・第2条)。

分譲マンションの場合でいえば、各住戸の内部が「専有部分」に該当する。

この反対に、区分所有建物において区分所有者が全員で共有している部分(例えば廊下・階段・バルコニーなど)は「共用部分」と呼ばれる。

専有面積

分譲マンションなどの区分所有建物において、それぞれの区分所有者が単独で所有している建物の部分のことを「専有部分」と呼ぶ(区分所有法第1条・第2条)。

この専有部分の床面積が「専有面積」である。

従って、専有面積とは「区分所有者が単独で所有している専有部分の床面積」のことであり、具体的には各住戸の内部空間の床面積を指している。

分譲マンションの販売広告では一般的に「専有面積60平方メートル、他にバルコニー5平方メートル」のように床面積を表示していることが多い。

バルコニーは専有面積から除外される扱いとなるが、これはバルコニーは一見それぞれの住戸に付属しているように見えるが、法律的にはバルコニーは「共用部分」とされているからである。

なお区分所有建物の場合、専有面積には「内法」と「壁心」という2種類の計算方法が存在し、両者の計算方法による専有面積の大きさは異なったものとなるので注意したい(詳しくは「専有面積の広告表示」へ)。

専用庭

分譲マンションにおいて敷地に設けられた庭やテラスであって、1階部分の区分所有者が排他的に使用できるもののこと。1階部分の区分所有者のために専用使用権が設定されていることが多い。

セーフティネット登録住宅

住宅確保要配慮者の入居を拒まないとして登録した賃貸住宅。住宅セーフティネット法に基づく制度である。

登録するのは賃貸住宅の賃貸人で、都道府県等に対して行ない、その登録住宅の情報は住宅確保要配慮者等に広く提供される。

登録に当たっては、住宅確保要配慮者の入居を拒まないことのほか、耐震性を有すること、住戸の床面積が原則25平方メートル以上であること、家賃の額が近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないことなどの要件を満たさなければならない。

セーフティネット登録住宅については、改修費の補助を受けることができ、また、入居者の居住支援の対象となる。

なお、住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯、外国人等である。

ZEH

年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量がおおむねゼロ以下となる住宅。ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称で、和製英語である。

ZEHは、住宅の高断熱化、設備(空調、換気、照明、給湯等)の高効率化、エネルギーの創出(太陽光発電等)によって実現できると考えられている。正味で75%省エネを達成したものをNearly ZEH、 正味で100%省エネを達成したものをZEHと称する。

なお、ZEHに類似した住宅としてゼロエミッション住宅があるが、ZEHはエネルギー消費の削減(省エネルギー)に特化した目標を定めているのに対して、ゼロエミッション住宅は総合的な環境負荷の削減を目標としている。

ゼロエミッション住宅

環境負荷を極力小さくするように設計された住宅をいう。

厳密な定義はないが、住宅に関して、エネルギー源、エネルギー消費、施工材料・施工法などを工夫することにより、二酸化炭素の排出や廃棄物量を抑制する。

ゼロエミッション住宅においては、次の3つの技術が総合的に活用されている。

1.新エネルギー技術
太陽光発電、風力発電、燃料電池など

2.省エネルギー技術
有機EL照明、ヒートポンプ給湯、計画換気など

3.環境技術
環境配慮建材、軽量鉄骨構造など

気候変動対策のために温室効果ガスの排出量を削減することが求められているが、住宅のゼロエミッション化はそのための有効な政策であるとされ、ゼロエミッション住宅の開発・普及が促進されると考えられる。

なお、ゼロエミッション住宅に類似した住宅としてZEHがあるが、ゼロエミッション住宅は総合的な環境負荷の削減を目標としているのに対して、ZEHはエネルギー消費の削減(省エネルギー)に特化した目標を定めている。

善管注意義務

取引上において一般的・客観的に要求される程度の注意をしなければならないという注意義務のこと。

すべての取引においてこの注意義務が要求されるものではなく、この注意義務が要求される取引の種類は限られている。

1.善管注意義務の意味
善管注意義務とは、正確には「善良なる管理者の注意義務」のことであり、民法第400条の条文に由来する。
民法第400条では、特定物(中古車・美術品・建物のようにその物の個性に着目して取引される物のこと)の引渡しの義務を負う者は、その引渡しが完了するまでは、その特定物を「善良なる管理者の注意義務」をもって保存しなければならない、と定めている。
この民法第400条の趣旨は、例えば美術品の売買契約が成立した場合に、契約成立後から美術品の引渡しまでの期間においては、美術品の売主は、一般的・客観的に要求される程度の注意義務(すなわち善管注意義務)をもって保管しておかなければならない、ということである。

従って、契約成立後から美術品の引渡しまでの期間に、何らかの事情で美術品が破損したとすると、売主が一般的・客観的に要求される程度の注意義務(善管注意義務)を果たしていたかどうかが問題となる。善管注意義務を果たしていたのであれば、売主には過失がないことになるので、売主には債務不履行責任(民法第415条の責任)は発生しないことになり、破損による損失は危険負担(民法第534条)として処理されることになる。
このように善管注意義務は、その義務を果たしていれば、債務者が責任を回避できるという点に実益がある。

2.善管注意義務が要求される場面
民法第400条では、特定物の引渡し前に善管注意義務が要求されると規定するが、これ以外にもさまざまな民法の条文で善管注意義務が要求されている。
具体的には、「留置権にもとづいて物を占有する者(民法第298条第1項)」「質権にもとづいて物を占有する者(民法第350条)」「委任契約の受任者(民法第644条)」などである。

3.善管注意義務よりも軽い注意義務
民法では、善管注意義務よりも軽い注意義務を要求する場合がいくつかある。
例えば、無報酬で物の保管を引き受けた者(受寄者という)は、その物の保管について「自己の財産におけると同一の注意をなす義務」を負う(民法第659条)。
また、親権者は子の財産を管理するにあたっては、「自己のためにすると同一の注意をなす義務」を負う(民法第827条)。
このように「自己の財産におけると同一の注意をなす義務」「自己のためにすると同一の注意をなす義務」と表現するのは、いずれも注意義務の程度が「善管注意義務」に比べて軽いということを意味している。

従って、例えば無報酬の受寄者が保管していた物を、その受寄者の不注意によって破損した場合には、受寄者の注意義務は軽いので、重大な不注意(すなわち重過失)があるときだけ、受寄者は損害賠償責任を負う。逆に、軽い不注意(すなわち軽過失)であるならば、受寄者は損害賠償責任を負わない。

前面道路

敷地に面した道路をいう。

敷地が複数の道路に面する場合には、通常、接する距離が長いほうの道路を指す。

なお、道路幅員によって定まる容積率の最高限度(道路幅員制限)を算定する場合に、敷地が複数の道路に面するときは、幅員が最大の前面道路の幅員を用いるとされている。

相続税

相続遺贈によって取得した財産に対して賦課される税をいう。

この場合の財産には、相続時精算課税制度の適用を受けて贈与により取得した財産を含む。

納税義務者は財産を取得した者であるが、税額の算定に際しては各種控除などが適用されるので、十分な注意が必要である。

一般的な相続税額の算出手順は次の通りである。

① 課税価格の算出
取得した財産の価額から、一定の生命保険金等の非課税財産の価額、小規模宅地に係る減額相当額などを減じ、相続時精算課税に係る贈与財産価額や3年以内の贈与財産の価額などを加算して、課税財産額を算出する。
② 相続税総額の算出
ア 課税遺産総額の算出:①で算出した課税価格から、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を減じる。
イ 法定相続人の取得金額の算出:アで算出した課税遺産総額を民法に定める法定相続分に従って取得したと仮定して、各法定相続人の取得金額を算出する。
ウ 法定相続分ごとの取得金額に応じた相続税額の算出:イで算出した金額に相続税率を乗じて算出する。税率は、取得金額に応じて、10%から55%まで累進的に定められている。
エ 相続税総額の確定:ウで算出した法的相続人ごとの相続税額を合計する。
③ 各人ごとの相続税額の算出
②エで確定した相続税総額を、各人の実際の相続割合に応じて按分し、相続税額を算出する。
各人ごとの相続税額=②エの価額×各人の相続割合
④ 各人の納付税額の算出
③の価額から、相続人の属性に応じて、配偶者税額軽減、未成年控除などの各種税額控除額を減じ、各人の納付税額を確定する。この場合、財産取得者が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合には、相続税額の20%相当額を加算して納付税額が算出されることに注意が必要である。

相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告納税しなければならない。

相続登記

相続の発生に伴って、土地建物の権利者(または権利の割合)が変わった場合に、その権利の変更を登記することを「相続登記」という。

相続登記をするには、法定相続分のままで登記する場合と、遺産分割協議で決定した内容に基づいて登記する場合がある。また、有効な遺言書が存在すれば、遺言書に従って相続登記することになる。

法定相続分のままで相続登記をし、その後に遺産分割協議が成立した場合は、その協議の決定内容に基づいて再度、相続登記を申請することになる。

なお、不動産登記法の改正によって、相続登記が義務化された(2024年4月1日施行)。この場合、正式の申請に代わって、相続した旨のみを申し出ることで申請義務を履行したものとみなす仕組み(相続人申告登記)も創設されている(「相続登記の義務化」参照)。

外断熱

外断熱

室外側に断熱層を設け、室内への外気温移動の影響を少なくする構法のこと。

建物の外壁に使われるコンクリートは雨風を防ぎ、堅牢であるために耐久性、防犯性などに優れているが、太陽熱を蓄熱し、夜間にはその熱を空中に放熱するため、都市部の熱帯夜の主要原因ともいわれている。
鉄筋コンクリート造やブロック造などの構造躯体の外側に断熱材を張れば、外壁のコンクリートは室内側に近い温度になり、外気の影響を受けにくく、劣化も進みにくくなる。従来は、室内側に断熱材を取り付ける内断熱構法が一般的であったが、近年は断熱効率を上げるために外断熱構法を採用するケースが増えている。

造作

建物の内部を構成する部材や設備をいう。

部材としては建具、、床、鴨居など、設備としては水道設備、空調設備などがこれに当たる。詳しくは「造作買取請求権」を参照。

なお、建築することをいう場合(「造作する」というような使い方)もあることに注意が必要である。

造作買取請求権

借家契約の終了の際、借家人が建物に付加した造作を家主に時価で買い取らせることのできる権利をいう。

造作とは、、建具、電気・水道施設などをいい、その付加について家主の同意を得ていることが必要である。

民法の原則では、賃貸借契約の終了時には賃借人が付加した造作を収去しなければならないとされているが、造作買取請求権は、借家契約における例外規定である。ただし、造作の買取り義務を負わないよう契約上特約することができる(任意規定である)。

なお、造作買取請求が正当で有効である場合に、家主が代金を支払わない間は、同時履行の抗弁権双務契約において相手方が債務を履行するまでは自分の債務を履行しないと主張する権利)によって、家屋の明渡しを拒絶される恐れがある。

造成宅地防災区域

造成された一団の宅地のうち、地震等によって地盤の滑動などの災害が発生する恐れが大きいとして指定される区域をいう。

その指定要件、手続きなどは、宅地造成等規制法で定められている。

造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、災害防止のための擁壁等を設置するなどの責務を負うほか、都道府県知事等が、所有者等に対して、災害の防止のため必要な措置を講じるよう勧告や改善命令を行なうことがある。

なお、宅地建物取引業務における重要事項説明に際しては、取引する宅地建物が造成宅地防災区域にあるときには、その旨を説明しなければならない。

贈与税

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがある。いずれの方法の場合にも、財産の被贈与者が申告、納税しなければならない。

1.暦年課税

1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額に対して課税する方法
この場合、基礎控除額は110万円で、これを超える額に対して累進的な税率(基礎控除額を超える額に応じて10~50%、2015(平成27)年以降は最高税率55%)によって課税される。

2.相続時精算課税

あらかじめ選択した一定の要件に該当する贈与者ごとに、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計金額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して課税する方法

この場合、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となる。また、相続発生時に、相続時精算課税された相続税と相続した財産に係る相続税とを通算して税額の精算が行なわれる。

相続時精算課税において控除額を超える額に対する課税税率は、一律20%である。

た行

耐火建築物

建築基準において、その主要構造部(壁、柱、床、、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。

この場合に、耐火性能を満たすというのは、

1.主要構造部が耐火構造であること

2.屋内で発生する火災、および周囲で発生する火災による火熱に、当該火熱が終了するまで耐えることができるとする技術基準で定める性能(構造耐力、上昇温度などに関する一定の要件)に適合すること

である。

一定の特殊建築物や、都市計画で定められた防火地域内の一定の建築物は、耐火建築物としなければならない。

耐火構造

建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、耐火性能に適合する建築物の構造をいう。

この場合の耐火性能とは、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊、および延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。その技術的な基準としては、各構造部分の種類や建物の階数に応じて定められる一定時間(おおむね1~3時間)の間、火熱を加えても、各構造部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。

例えば、鉄筋コンクリート構造やれんが造は、原則として耐火構造である。

対面キッチン

ダイニングルームと開放的に向き合う配置となっている調理台。

調理室とダイニングルームとの間に大きな窓を設けて設置する方法、ダイニングの一角にキッチンを据え付ける方法などがある。

耐用年数

建物、機械、器具などが使用に耐えることのできる年数。材料や構造だけでなく、管理の状態によっても異なる。

また、財務会計においては、減価償却費の算定基準として耐用年数が定められている。これを「法定耐用年数」といい、たとえば住宅用建物の法定耐用年数は、木造が22年、鉄筋コンクリート造鉄骨鉄筋コンクリート造が47年、軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm超4mm以下)が27年などとされている。

実際の耐用年数と法定耐用年数とは異なるので、用語の扱いに注意しなければならない。

耐力壁

建築基準法第20条の規定に基づいて、地震力や風圧力による水平方向の力に対抗することができるように、筋かいを入れ、または構造用合板などを張った壁のことを「耐力壁」と呼ぶ。

建築基準法では「建築物は、自重、積載荷重、積雪、地震力、風圧力などに対して安全な構造でなければならない」として、すべての建築物が構造に関する基準を満たすことを要求している(建築基準法第20条第1号、同施行令第3章第1節から第7節の2)。
また、木造3階建てなどの建築物では、特に構造計算により安全性を確認することを義務付けている(建築基準法第20条第2号)。

この建築基準法第20条により、建築物は地震力・風圧力という水平方向の外力に十分に対抗できるような構造を有することが要求されており、この必要性を満たすために筋かいを入れ、または構造用合板等を張った壁を一般に「耐力壁」と呼んでいる。

耐力壁の構造は、建築基準法施行令第46条第4項の表(一)と昭和56年建設省告示第1,100号により詳しく規定されている。
それによれば、例えば在来工法の木造建築物において、柱・・筋かいから構成される壁は耐力壁となる。また枠組壁工法において一定の面材(構造用合板、パーティクルボード、石膏ボードなど)を張った壁は、筋かいがなくとも、耐力壁である。

なお建築物の形状や面積により、どれだけの耐力壁を備えるべきかという基準のことを「必要壁量」といい、この必要壁量の計算方法は建築基準法施行令第46条第4項に規定されている。

この必要壁量の計算方法では、建築物の下方階ほど強度の高い耐力壁を多く備えることが要求されている。これは地震力・風圧力とも下の階にいくほど多くの力がかかり、強い対抗力が必要になるからである。

また建築物の形状については、奥行きの長い建築物ほど多くの力がかかるため、必要壁量も多くなる。このため奥行きの長い建築物では、外壁だけでなく、内部を仕切る内壁(間仕切り壁)も耐力壁にする必要性が生じやすい。

タウンハウス

2階建ての連棟式住宅のこと。各住戸の敷地は、すべての住戸の所有者が共有していることが多い。

宅配ボックス・宅配ロッカー

不在時に荷物などを受け取るための設備。配達人がロッカーに荷物を入れると鍵がかかり、荷宛人は暗証番号や認証カードを用いて受け取る。

宅配ボックスは、一般に、マンションの共用部分に設置されている。

立退料

借地・借家の明渡しの際に、賃貸人から賃借人に支払われる金銭をいう。

私法上の明確な支払い根拠はなく、その意味や金額は、慣習や事情に応じてさまざまである。

なお、借地借家契約の更新拒絶や解除の際に必要となる「正当事由」の判断に当たっては、立退料の提供如何も考慮される。

建売住宅

分譲宅地に建築され、敷地と一緒に販売される住宅をいう。

類似の用語として「売建住宅」があるが、建売住宅の建築主は不動産業者であるのに対して、売建住宅の建築主は宅地購入者である。

建具

部屋の仕切りとして取り付けられた開閉式の設備。引き戸、障子、などはすべて建具である。

取り外すことができ、それによって複数の部屋を一つの空間として利用できる。

タワーマンション

超高層の集合住宅をいう。そのかたちが塔(タワー)に似ていることから名づけられたが、タワーマンションは和製英語である。

タワーマンションとされる高さの目安としては、建築基準法において構造耐力に関する区分が規定されている60m以上とするのが一般的であるが、20階以上、100m以上などの説もあり、厳密な定義は無い。

タンクレストイレ

貯水タンクを使わない水洗トイレ。水道と直結して水洗する方法を用いる。

タンク付きトイレに比べて設備が小さい一方、水道の水圧、稼働のための電力が必要である。また、手洗のための整備を別途設けなければならない。

第二種住居地域

都市計画法(9条)で「主として住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%、60%または80%である。

また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

(建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等(床面積1万m²以下)
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが非常に少ない作業場面積が50平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(業種によっては床面積1万m²以下)
8.自動車教習所

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
3.倉庫業の倉庫

第二種中高層住居専用地域

都市計画法(9条)で「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る。すべての業種が可能)
4.事務所(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る)
5.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の店舗
2.上記に挙げたもの以外の事務所
3.上記に挙げたもの以外の工場
4.ホテル・旅館
5.遊戯施設・風俗施設
6.自動車教習所
7.倉庫業の倉庫

第二種低層住居専用地域

都市計画法(9条)で「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」という。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店等のみ)
4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場

(建築できないもの)
1.大学、専修学校、病院
2.上記に挙げたもの以外の店舗
3.事務所
4.上記に挙げたもの以外の工場
5.ホテル・旅館
6.遊戯施設・風俗施設
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫

DK

ダイニングは「食事室」、キッチンは「台所」であり、ダイニング・キッチンは「食事室兼台所」という意味である。

不動産広告を規制している「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、広告中に「DK」と表示する場合には、「食事室兼台所」として使用できるだけの広さと機能を備えていることが必要であるとしている(不動産の表示に関する公正競争規約第15条第25号)。

この場合に、最低必要なDKの広さの目安は、居室(寝室)数が1部屋のときには4.5畳、2部屋以上のときには6畳以上とされている。」

ダウンライト

天井に埋め込まれ、下面を照らす照明器具。英語のDown light。照明器具が天井面から突出していない。

これに対して、天井に直接取り付ける照明器具を「シーリングライト」という。

断熱材

熱の移動を防ぐために使われる材料。

一般に、グラスウールなどの無機繊維系材料、セルロースファイバーのような木質繊維系材料、羊毛などの天然素材、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォームなどの発泡プラスチック系材料等に分類される。それぞれ、断熱性能、耐熱性、耐久性、施工方法、価格などが異なる。

断熱材を建物に施工する方法には、構造の空隙に断熱材を充填する「充填断熱工法」と、構造体の外面を断熱材で覆う「外張断熱工法」とがある。

蓄熱式床暖房

床に設置した蓄熱材を利用して暖房する方法。深夜電力で蓄熱材を暖め、日中は蓄熱材からの放熱によって暖房する。

一般に、蓄熱材としてコンクリートを用い、蓄熱材のなかに設置した管に深夜電力を利用してつくった温水を循環させて暖める仕組みが採用されている。従って、リフォームによって設置することは難しい。

仲介手数料

宅地建物取引業者を通して不動産を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする場合に、媒介契約にもとづき、宅地建物取引業者に成功報酬として支払うお金のこと。
媒介手数料(媒介報酬)ともいう。

中高層階住居専用地区

特別用途地区の一つ。中高層の階を「住宅以外」の用途に使用する場合に、建築物の規制を強化する地区である。市町村が指定する。

注文住宅

自ら工事を発注して建築する住宅。一般に戸建て住宅であって、デザイン、間取りなどを自分で決めることができるほか、建築途上で設計を変更するなど、建築過程に関与することができる。この場合、土地の手当ても自らが行なうことになる。

建築に当たっては、自らが建築主として建築確認を申請しなければならないが、通常は、設計や工事監理を建築士に委託する。また、木造の住宅で高さが13mを超える場合など一定のものの工事については、必ず建築士が設計・工事監理に当たらなければならないとされている。

注文住宅と対比されるのが「分譲住宅」で、分譲住宅は、販売事業者が住宅を建築し、居住者がそれを購入することとなる。

長期優良住宅

長期にわたり使用可能な質の高い住宅をいう。

その具体的な基準は明確には定まっていないが、単に物理的に長寿命であるだけでなく、ライフスタイルの変化などへの対応、住環境への配慮など、社会的に長寿命であることが必要であるとされる。「200年住宅」ともいわれる。
長期優良住宅の開発・普及は、優良な住宅ストックを形成するための重要な政策の一つであると考えられている。

2008年には、長期優良住宅の普及のために「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅普及促進法)」が制定され、i)長期使用に耐える構造(劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、省エネルギー性、バリアフリー性)を備え、ii)居住環境、iii)自然災害への配慮、iv)住戸面積、v)維持保全計画について一定の基準を満たす住宅を認定する制度(認定長期優良住宅制度)が創設されている。 

また、認定長期優良住宅の普及のために、税制上の優遇、容積率の制限緩和、超長期住宅ローンなどの措置が講じられている。

同時に、法律とは別に、長期間使用可能な住宅の先導的なモデルの開発や、住宅の建築確認、点検、保全工事などの情報(住宅履歴情報)を記録・保存する仕組みを整備し、その活用などによって優良な住宅の円滑な流通を促進することなども推進されている。

直接基礎

建物の荷重が、基礎を通じて直接的に地盤に伝達されるとき、この基礎を直接基礎という。

直接基礎には「独立基礎」「布基礎」「べた基礎」の3種類がある。

月極駐車場

ひと月単位で賃貸される駐車場。通常、書面によって賃貸借の契約が締結される。また、常時駐車が可能であれば、当該駐車場は車庫証明における保管場所として認められる。

月極駐車場の賃貸借を仲介する場合に宅地建物取引業法が適用されるかどうかは、利用の様態に応じて判断されるが、駐車場設備を利用するだけであって土地を占有する権利等が発生しないような態様であれば、同法は適用されない。

土壁

土を主な材料とした壁。古くから使われている壁で、一般的な工法は、割り竹や細木を組んで下地(小舞)を造り、それに土に藁や砂を練り混ぜた材料を塗り込み、さらに仕上げ材を上塗りする。用いる材料や質感に応じて、京壁、大津壁、珪藻土壁などの種類がある。

耐火性に優れ、調湿作用があるとされる一方、施工に熟練が必要で、工事に要する期間が長い。

津波災害警戒区域

津波が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生ずる恐れがあり、津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべきとして指定された土地の区域をいう(津波防災地域づくりに関する法律)。
指定は、国土交通大臣が定める基本指針に基づき、津波浸水想定を踏まえて、都道府県知事が行なう。
津波警戒区域内では、津波の発生時における避難施設の指定など、警戒避難のために必要な措置が講じられる。

また宅地建物取引業者は、対象不動産が津波災害警戒区域内であるかどうかを重要事項として説明しなければならない。

津波災害特別警戒区域

津波災害警戒区域のうち、津波が発生した場合に建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずる恐れがあると認められ、一定の開発行為および一定の建築物の建築又は用途の変更の制限をすべきとして指定された土地の区域をいう。
指定は、国土交通大臣が定める基本指針に基づき、津波浸水想定を踏まえて、都道府県知事が行なう。

津波災害特別警戒区域内では、特に防災上の配慮を要する者が利用する一定の施設等を建築するための開発行為や同施設等の建築(用途変更を含む)について、都道府県知事等の許可を得なければならない。

また宅地建物取引業者は、対象不動産が津波災害特別警戒区域内であるかどうかを重要事項として説明しなければならないほか、区域内であるときにはそれに伴う開発・建築行為の制限についても説明しなければならない。

坪単価

面積1あたりの価格。土地の価格水準を示すときに使われることがある。1坪=3.3058平方メートル。

「坪」は日本で使われていた面積の単位で、1辺が1間(=1.8182メートル)の正方形の面積である。また、300坪が1段(反)(=991.74平方メートル)、3,000坪が1町(=9917.4平方メートル)である。

吊り戸棚

壁上部や天井に直接取付けられた棚。キッチンなどで流し台等の上部の空いた空間に設置され、小物の収納に利用する場合が多い。

2×4(ツーバイフォー)工法

2×4

北米で生まれた木造建築の工法。わが国における正式名称は「枠組壁工法」である。
断面が2インチ×4インチの木材を使用することから、このような名称が付けられた。

このツーバイフォー工法の最大の特徴は、木材で組んだ「枠組」に構造用合板を打ち付けることで、構造全体の強度を得ることである。

定期借家契約

契約期間の満了によって賃貸借関係が確定的に終了する借家契約。借地借家法に基づく契約類型である。

一般の借家契約は、借り主を保護するために、貸し主は正当事由がない限り契約の更新を拒絶できないとされているが、定期借家契約においてはそのような制約がない。

定期借家契約を締結するには、次の要件を満たさなければならない。
1)契約期間を確定的に定めること
2)公正証書による等書面によって契約すること
3)貸主が借主に対して、契約の更新はなく期間の満了とともに契約が終了することを、あらかじめ書面(契約書ではないもの)を交付して説明すること

中途解約の可否等は特約で定めることとなるが、やむを得ない事情により生活の本拠として使用することが困難となった借家人(床面積が200平方メートル未満の住宅に居住している借主に限る)は、特約がなくても中途解約ができる。また、契約を延長する場合は、当事者双方の合意による再契約が必要である。

また、契約は期間の満了によって終了するが、期間が1年以上の場合は、賃借人に対して、期間満了の1年前から6ヵ月前までのあいだ(通知期間)に契約が終了する旨を通知しないと強制力が働かない。ただし、通知期間後に契約終了の旨を通知すれば、通知後6ヵ月を経過したあとは契約の終了を強制できる。

定期借家契約は契約更新が無い契約であるから、契約を延長する場合は、当事者双方の合意による再契約が必要である。

なお、賃料の改訂に関して特約があれば、借地借家法に定める家賃増減請求権の規定(契約条件にかかわらず、税負担等の増減、経済事情の変動、近傍家賃との不相応による家賃改訂を請求することができる旨の規定)は適用されない。

定期借家契約

平成12年3月1日の改正法施行により、借家契約時に貸主が「期間の満了により契約が終了する」ことを借家人に対して、公正証書などの書面を交付して説明する場合には、賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。
原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要である。

停止条件付き宅地

将来に一定の事実が発生したときに初めて法律的な効力が生じる契約の目的物となっている宅地。停止条件付き売買契約によって取引された宅地であってまだ条件を満たしていないものがこれに該当する。

停止条件付き宅地の具体例は、たとえば、一定期間内にその土地に建物を建築することを条件とする売買契約の目的物(建築条件付き宅地)、住宅ローンの融資について金融機関の承認を得ることを条件とする売買契約の目的物(ローン条件付き宅地)、地主の承諾を条件とする借地権売買契約の目的物である。

停止条件付き宅地の売買契約は、条件とされている事実が発生するまでは、代金支払い義務などの法的な効力は生じない。また、条件が発生しなかった場合は、契約は無効となる。

抵当権

債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質と異なっている。

債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。

鉄筋コンクリート構造(鉄筋コンクリート造)

鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。

鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。

この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。

鉄骨構造(鉄骨造)

鉄骨造、S造とも。

柱とを「鉄骨」で作り、壁・床に「木質系パネル」「軽量気泡コンクリートパネル」「窯業系パネル」など使用した構造のこと。

主要な構造を形成する鉄骨の種類により「軽量鉄骨構造」と「重量鉄骨構造」に分けることができる。

鉄骨鉄筋コンクリート構造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

鉄筋コンクリートに、鉄骨を内臓させた建築構造

比較的小さい断面で、強い骨組を作ることができ、粘り強さもあるため、高層建築に多用されている。

手付

売買契約請負契約賃貸借契約などの有償契約において、契約締結の際に、当事者の一方から他方に対して交付する金銭などの有償物のこと(民法第557条・第559条)。

手付には交付される目的により、解約手付証約手付違約手付の3種類がある。民法で手付とは、原則的に解約手付であるとしている。また一般に取引において交付される手付の大半は解約手付であると考えてよい。

宅地建物取引業法では、消費者保護の観点から、売主宅地建物取引業者である場合にはその売買契約で交付される手付は解約手付とみなすという強行規定を設けている(宅地建物取引業法第39条第2項)。これを解約手付性の付与という。

なお、契約に従って当事者が義務を履行したとき、手付は代金の一部に充当される。

テラス

庭の一部にコンクリートやレンガ等を敷き詰め、住宅から自由に出入できるようにした場所のこと。

テラスハウス

2階建ての連棟式住宅のこと。各住戸の敷地は、各住戸が単独で所有している。

テラスハウス

2階建ての連棟式住宅のことをいう。
隣家とは共用の壁で連続しているので、連棟建て、長屋建てともいわれる。
各住戸の敷地は、各住戸の単独所有となっている。

ディスクシリンダー錠

シリンダーの内部にディスクを並べて、それらの組み合わせを制御する鍵によって解錠できるようにした錠をいう。

鍵穴から錠を作動するシリンダーに比較的容易に接触できるため、ピッキング(鍵穴に器具を差し込んで解錠すること)に弱いとされているが、改良が進んでいる。

ディベロッパー

不動産開発業者。英語のdeveloper。

土地や建物を改変・建設し、その価値を高める事業に携わる。事業を実施するためには、宅地建物取引業の免許が必要なほか、企画、資金調達、工事管理などを統合する管理能力が重要となる。また、不動産開発事業は、一般に、ハイリスク・ハイリターンの事業とされていることから、ディベロッパーには相応の資力が求められる。

ディンプルキー

シリンダーの作動によって制御される錠(シリンダー錠)の一つで、シリンダー内に並べられたピンの制御を、表面に多数の小さなくぼみ(ディンプル)が付いている鍵によって行なうものをいう。

鍵のパターンが非常に多く、鍵の複製が難しいのでピッキング(鍵穴に器具を差し込んで解錠すること)対策に優れているとされる。

DIY

自分自身でモノの製作や修理を行なうこと。Do It Yourself(あなたが自ら行なえ)の略語。

日曜大工、設備や器具の自己組み立て・自己修繕などは、おおむねDIYである。

なお、「自分でできることは自分で行なう」という考え方や態度をさす場合もある。この場合には、モノの製作などだけでなく、サービス活動も含めて広く捉えられている。

デザイナーズ住宅

住むためのデザインに優れている住宅をいう。明確な定義はないが、設計による付加価値を重視する。

一般に、外観だけでなく、住み心地、使い勝手、安全性、耐久性などが良好なものをいうことが多い。

デザイナーズマンション

コンセプトが明確でユニークさを帯びたマンション。和製英語である。

外観・内装に統一性をもたせ、空間感覚を高める設計の建物が多いが、明確な定義はない。また、一般的に、必ずしも著名な建築家が設計しているわけではない。

デッドスペース

家屋にある利用が難しい空間。英語のdead space。階段下、屋根裏などに生じやすい。

デッドスペースは収納場所に利用されることが多いが、アクセスの容易さや利便性に劣る傾向がある。

電気温水器

割安な深夜電力を利用して夜間に高温の温水を沸かし、貯湯タンクに蓄えておいて、台所・洗面台・風呂・シャワーなどへの給湯を賄う電気機器のこと。

深夜電力は通常の電灯料金の約3分の1と割安であり、また電気ヒーターで加熱するので二酸化炭素が発生せず、燃焼音がなく静かに湯を沸かすことができるというメリットがある。

近年では、湯を使用すると同時に必要な量の湯を自動的に追加して沸かすタイプや、給湯圧を高めて2階でも湯の出る勢いを高めたタイプなどさまざまな製品が普及している。また配管を電気温水器本体部に内蔵し、配管工事の手間を軽減した製品が主流となっている。標準的な貯湯タンクの容量は3人家族で300L程度が目安とされている。

浴槽への給湯については、給湯のみを行なうタイプ、自動的に風呂釜への湯はりを行なうタイプ(オートタイプ)、自動湯はりだけでなく自動追いだき・自動足し湯も行なうタイプ(フルオートタイプ)という3種類がある。

なお、電気温水器の「風呂追いだき機能」については昼間電力を使用するためコストが高いなどの課題があったが、近年は深夜電力の蓄熱を利用して熱交換方式で追いだきをすることにより、低コストかつスピーディな追いだきができる製品が2000(平成12)年に開発されており、ガス給湯器に劣らない性能となっている。

登記簿

登記記録が記録される帳簿のこと。
従来は、登記簿とはバインダーに閉じられた登記用紙の帳簿を指していたが、新しい不動産登記法(2005(平成17)年3月7日施行)では、磁気ディスクなどをもって調製される帳簿を、登記簿と呼ぶことが原則になった。

投資物件

投資対象とする不動産。投資家の間で売買される。

投資物件は利用を目的とするのではないから、その売買に当たっては、収益性やリスクが重視される。

投資物件は、住宅、店舗、ホテル、事務所ビルなど不動産の用途で分類されるほか、投資家が投資物件を評価する際には、収益の源泉を賃料収入(インカムゲイン)に求めるのか、売買差益(キャピタルゲイン)に求めるのかによる観点の違いがある。

投資不動産を参照。

都市ガス

市街地に配管したガス管によって広域に供給されるガス燃料。

供給されるガスは、大半がメタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)である。発熱量等に応じて規格が定まっていて、ガス器具もそれぞれの規格に適合していなければならない。規格の種類はいくつかあるが、ほとんどの都市ガスの規格は「13A」である。

なお、液化天然ガスは無色、無臭であるが、安全のために匂い(ガス臭)がついている。また、空気よりも軽い。

土地活用

所有する土地を一定の目的で有効に利用すること。その形態は多様で、特に定まってはいない。また、未利用地に限らず、現に利用している土地についても土地活用の対象となることがある。

土地活用の方法は、土地をそのまま賃貸して地代を得る方法と、土地に建物等を建設して収益を得る方法に大別される。前者は、初期費用は不要だが一般に収益性は低く、後者は、初期費用が必要になるなど事業性を帯びる場合が多い。

例えば、集合住宅を建設して賃貸する、貸駐車場にして経営する、店舗用地として賃貸する、老人ホーム等を建設しその施設を運営業者に貸すなどは、いずれも土地活用の例である。

土地活用に当たっては、目的を明確にしたうえで、土地利用規制を確認し、立地や環境に関する調査を行ない、事業性を評価するなど、活用の可能性や有効性について十分に検討する必要がある。

取引態様

不動産広告における宅地建物取引業者の立場(取引態様)のこと。

不動産の広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」によれば、不動産広告を行なう際には、不動産会社の取引態様が「売主」「貸主」「媒介」 「代理」のどれに該当するかを明確に表示しなければならないとされている。

ただし、「媒介」については「仲介」という言葉でもよいこととされている(不動産の表示に関する公正競争規約第15条第1号)。

独立型キッチン

他の部屋から独立して設置する調理のためのスペース。調理室。調理に伴う臭いなどが居室や食事室に波及しない一方、調理中のコミュニケーションに難があるとされる。   

独立型キッチンに対して、他の部屋と一体となった調理スペースを「オープンキッチン」という。

土砂災害警戒区域

急傾斜地の崩壊等が発生した場合に住民等の生命または身体に危害が生ずる恐れがあると認められ、警戒避難体制を特に整備すべきとして指定される土地の区域をいう。

その指定要件、手続きなどは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)で定められている。

土砂災害は、急傾斜地の崩壊、土石流および地滑りによって生じるとされるが、土砂災害警戒区域については、高齢者、障害者、乳幼児等の災害時要援護者の利用する施設に対する情報伝達方法を定める、土砂災害ハザードマップを配付して周知を徹底するなど、警戒避難体制が整備される。

なお、宅地建物取引業務における重要事項説明に際しては、取引する宅地建物が土砂災害警戒区域にあるときには、その旨を説明しなければならない。

土砂災害特別警戒区域

土砂災害警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生ずる恐れがあると認められ、開発行為の制限や建築物の構造の規制をすべきとして指定される土地の区域をいう。

その指定要件、手続きなどは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)で定められている。

土砂災害特別警戒区域内においては、住宅地分譲等のための開発行為(特定開発行為)について許可を要する、居室を有する建築物の建築確認について土砂災害を防止・軽減できる構造であることが必要、建築物の安全な区域への移転等の勧告・支援などの措置が講じられる。

なお、宅地建物取引業務においては、特定開発行為について許可を受けた後でなければ当該宅地の広告、売買契約の締結等をしてはならず、また、重要事項説明に際しては特定開発行為の許可に関する概要を説明しなければならない。

ドームハウス

半球状の建物。丸屋根で、空間全体が球曲面に囲まれている。domeは英語だが、ドームハウスは和製英語である。

ドーム(和語は「穹窿(きゅうりゅう)」「丸屋根」)は屋根に用いられる構造体であるが、ドームハウスは、屋根だけでなく建物全体を半球状に形作る建築物で、支柱や壁のないシンプルな空間が特徴である。その構造には、アーチ構造、シェル構造、空気幕構造などいくつかの種類がある。

ドームハウスの大きさや用いる建材はさまざまで、その用途・形式も、テント風の小屋、独立カプセル形の宿泊施設、通常の住宅、大空間施設など幅広い。

ドームハウスは、一般に建築費が安いとされるが、間仕切りが難しい、デッドスペースが生じやすいなどの難点がある。

な行

内見

不動産物件を実地に見学・調査すること。一般に、購入または賃借を検討するために実施する。

「内覧」とはほぼ同じ意味で使われている。

内装工事

建物室内の床、壁、天井などを仕上げる工事。建物の構造体と密接に関係する工事で、室内塗装、フローリングカーペット類の敷設、壁板・壁紙・壁布類の貼り付けなどのほか、一般に、建具の設置、室内の基礎的装飾などのための工事を含む。

なお、照明器具、電気・通信設備、給排水設備、空調設備等の設置工事や家具類の配置工事は、通常、内装工事と区別され、別の工事である。

内容証明郵便

差出人が送った手紙(書面)の写しを郵便局が保存することにより、郵便局が手紙(書面)の内容を公的に証明するという制度である。

ただし、内容証明郵便はあくまで手紙の内容を証明するだけであり、その手紙が相手方に到達したことまで証明するものではない。そのため、通常は「配達証明付の速達書留内容証明郵便」として郵送するのが一般的である。

内容証明郵便を出すことができるのは、地方郵便局長が指定する郵便局に限られており、小さな郵便局では取り扱わない。

内容証明郵便を書く要領は次のとおりである。

1.紙に次の字数で文章を書く(句読点も1字として計算する)。
1)縦書きの場合:1枚につき1行20字以内、1枚26行以内(520字以内)
2)横書きの場合:1枚につき20字×26行、13字×40行、26字×20行以内(520字以内)
2.使用できる文字は原則としてひらがな、カタカナ、漢字、および数字である。アルファベットは、氏名、会社名、地名、商品名などの固有名詞だけに使うことができる。また一般的に使用されている記号は使うことができる。
3.紙の大きさや種類は自由である。B5、A4、B4、コピー用紙、ワープロ用紙などでよい。また、手書きでもワープロ打ちでもプリンターからの出力でもよい。
4.上記1.2.3.の要領で作成した手紙のコピーを普通のコピー機で2部作成する。
5.手紙が2枚以上の紙になるときは、綴目(とじめ)に契印(けいいん)を押す(2枚以上からなる手紙の1枚目と2枚目にまたがって印鑑を押すことを「契印」という。契印に使用するのは、実印や代表者印である必要はなく、認印〔会社の場合は社印〕でよい)。
6.一つの封筒に、手紙に書いた相手方の住所氏名・自分の住所氏名と同一のものを書く。

内容証明郵便を郵便局で発送する手続きは次のとおりである。

1.用意した封筒、手紙、そのコピー2部、印鑑(実印や代表者印である必要はなく、認印〔会社の場合は社印〕でよい)を郵便局に持参する。印鑑を持参するのは、契印を忘れたときや郵便局で指摘を受け訂正をするために必要になる可能性があるからである。
2.書留、配達証明付き、内容証明、速達で郵送の手続きをする。料金は、手紙の枚数および封筒の大きさ・重量に応じて異なる。
3.コピーの1部に「この郵便物は○年○月○日第○号書留内容証明郵便物として差し出したことを証明します。○○郵便局長」と押印されたものが返却される。この押印されたコピーは、手紙の差出人が保管する(残りのコピー1部は郵便局に5年間保管される。手紙そのものは相手方に郵送される)。

長屋建て

1棟の建物を水平方向に区切って独立の住戸とする建て方またはその建築物をいう。「タウンハウス」ともいわれる。

各住戸の玄関がそれぞれ直接に建物外に接していること、隣の住戸と壁を共有していることなどが特徴である。古くは木造住宅であったが、近年は鉄筋コンクリート造のものも多い。

納戸

もともとは屋内に設けた衣類などを収納する部屋という意味であるが、不動産広告では採光のための窓がない(または窓が小さい)部屋のことを「納戸」と表示する。

建築基準法によれば、住宅の居室には、採光のための窓などを居室の床面積の7分の1以上の大きさで設けなければならない(建築基準法28条1項)。

従って、住宅の構造上、採光のための窓を設けにくい部屋は、建築基準法上の「居室」となることができない。そこで、住宅の販売広告等ではこうした部屋を「納戸」と表示することにしているのである。

また最近は「サービスルーム」、さらにはその頭文字を取って「S」と表示されることも多い。

なお、不動産広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、建築基準法の採光等の規定をクリアしていないために「居室」となることができない部屋は「納戸」等と表示することと定めている。

二戸一

独立した複数の住宅が、一つの建物として水平に連続している住宅の形態をいう。

連続建ての住宅を一般に「長屋」というが、それよりも各戸の独立性が高く、隣接する住戸と壁を共有しない例も多い。しかしながら、建築確認等においては、一つの建物として取り扱われる。

2項道路

建築基準法第42条第2項の規定により、道路であるものと「みなす」ことにされた道のこと。
みなし道路」とも呼ばれる。

建築基準法第43条では、建築物敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。

ここでいう「建築基準法上の道路」は原則として幅が4m以上あることが必要とされている(建築基準法第42条第1項)。

しかしながら、わが国の現況では、幅が4m未満の道が多数存在しているため、次の1.~3.の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられている(建築基準法第42条第2項)。

1.幅が4m未満の道であること
2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと
3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと

これらを、その条文名をとって「2項道路」と呼んでいるのである。

こうした2項道路に面している土地については、道路中心線から2m以内には建築ができないという制限(セットバック)があるので特に注意したい。

24時間換気システム

給気又は排気を、常時、機械によって行なう仕組み。新築住宅を建築する場合に設置が義務付けられている。

機械によって吸気・排気する換気効果が高い方法(第1種換気、難点は運転のためのコストが高いこと)、機械で吸気し自然に排気するクリーンルームなどで採用されている方法(第2種換気、難点は結露などの恐れがあること)、自然に吸気し機械で排気する住宅に多く使われている方法(第3種換気、難点は部屋ごとに吸気口を設置しなければならないこと)がある。

二世帯住宅

親世帯と子世帯が一緒に住まう住宅で、その状況を考慮された造りのものをいう。

少子化に伴う親子関係の密着度の増加、限られた土地の有効活用等が一緒に住まう理由の一つとして挙げられる。形状的にはいくつかのパターンがあり、それぞれのライフスタイルに合うものとする。いずれも税金や公的融資上の優遇措置がある。

日本住宅性能表示基準

住宅の品質確保の促進等に関する法律品確法)にもとづき、国土交通大臣が定めた住宅性能の表示に関する基準のこと。

登録住宅性能評価機関はこの基準に従って、住宅性能評価書に住宅性能の評価の結果を表示しなければならない(品確法第3条、第5条)。
この日本住宅性能表示基準は、国土交通大臣が必要に応じて公聴会を開催し、社会資本整備審議会の議決を経て、告示したものである(同法第3条)。

具体的には、2000(平成12)年7月19日の告示により、この日本住宅性能表示基準が定められた。その後、住宅性能評価の対象として既存住宅(建設工事完了後1年以上が経過した住宅や、建設工事完了後1年以内に人が住んだことがある住宅のこと)が追加されたことにより、日本住宅性能表示基準は2002(平成14)年8月20日に大幅に改訂されている。

この日本住宅性能表示基準の内容は次の1.2.のとおりである。

1.新築住宅に関する表示基準
日本住宅性能基準では、新築住宅に関する住宅性能評価書に表示すべき事項を下記の9分野(29項目)と定めている(同基準別表第1)。
1)構造の安定に関すること
2)火災時の安全に関すること
3)劣化の軽減に関すること
4)維持管理への配慮に関すること
5)温熱環境に関すること
6)空気環境に関すること
7)光・視環境に関すること
8)音環境に関すること
9)高齢者等への配慮に関すること

新築住宅に関する住宅性能評価書には「設計住宅性能評価書」と「新築住宅の建設住宅性能評価書」という2種類が存在するが、どちらの評価書においても表示すべき事項の範囲と表示方法はまったく同一である(ただし上記6)のうち「室内空気中の化学物質の濃度等」に関しては「建設住宅性能評価書」だけで表示すべき事項とされている)。

新築住宅に関する住宅性能評価書には、原則として上記1)から9)のすべての事項を記載するべきである。ただし、依頼者の要望により上記8)のうちの「重量床衝撃音対策」「軽量床衝撃音対策」「透過損失等級(界壁)」「透過損失等級(外壁開口部)」と、上記6)のうちの「室内空気中の化学物質の濃度等」に関しては、性能評価を実施しないことができる(同法施行規則第3条第2項および国土交通省告示「住宅性能評価を受けなければならない性能表示事項を定める件」より)。

2.既存住宅に関する表示基準
既存住宅に関する住宅性能評価書は「既存住宅の建設住宅性能評価書」である。この既存住宅の建設住宅性能評価書に表示すべき事項は、次の1)および2)である(同基準別表2-1より)。
1)現況検査により認められる劣化等の状況
2)個別性能に関すること
このうち2)の個別性能については「構造の安定」「火災時の安全」「維持管理への配慮」「空気環境」「光・視環境」「高齢者等への配慮」という6分野(21項目)の表示事項が定められているが、どの分野について評価を行なうかは依頼者の自由意思に委ねられている。

また、新築住宅に関する表示事項のうち「劣化の軽減」「温熱環境」「音環境」という3分野については、既存住宅の表示事項からそもそも除外されている。
このため、既存住宅の建設住宅性能評価書においては「劣化の軽減」「温熱環境」「音環境」という3分野に関する表示を行なうことができない。ただし、登録住宅性能評価機関が法律外の独自のサービスとしてこれら3分野の査定を実施することは可能である。

入居審査

住宅を賃貸するときに、賃借人としての適否を判断することをいう。貸し主またはその代理人が賃貸契約の締結に先立って行なう作業である。

入居審査に当たっては、賃借料の支払い能力、住宅利用の適切さなどを確認するのが一般的であるが、定まった基準はない。契約は双方の自由意志によるから、貸し主として自由に判断してよいが、不当な差別や人権侵害となることは避けなければならない。

また、宅地建物取引業者は、
ア)賃貸住宅の申込みに際して「本籍」欄や「国籍」欄のある申込書は使用しないこと
イ)入居審査のために得た情報について、目的外に使用しない、第三者に提供しない、安全に管理すること
などが求められる。

任意売却

住宅ローンの返済が困難になった場合に、抵当権が設定された住宅を法的手続き(競売)によらないで売却し、その代金によって残債務を解消する方法をいう。

住宅を売却するときには抵当権を抹消しなければならないが、任意売却はそれを債権者との協議によって行なうことができる。この場合、債権者の承諾が必要であるほか、売却を仲介する者の選任を求められるのが通例である。

任意売却は競売を回避する手法であるとともに、残債務の返済スケジュール等について交渉する余地を残した債務処理の方法である。例えば、転居費用の確保、引き渡し時期の調整、任意売却による返済金が債権額に満たない場合の対応などについて協議できる可能性がある。

根抵当権

継続的取引などによって生じる不特定の債権について、定めた限度額を限度として担保する抵当権をいう。担保する債権が特定されないことに特徴がある。民法の規定に基づく権利である。

根抵当権を設定するには、限度額の他、担保する債権の範囲及び債務者を定めなければならない。

通常の抵当権と違って、個々の債権に対する附従性(主たる権利と運命を共にする性質)や随伴性(主たる権利の移転に従って移転する性質)がない。ただし、根抵当権が担保すべき元本が生じない状態になったとき(根抵当権の確定時)以降は、通常の抵当権と同様に附従性や随伴性を帯びることとなる。

なお、根抵当権は、根抵当権設定者の承諾を得れば、譲渡、分割、一部譲渡(共有化)することができる。この場合、譲渡された根抵当権は、譲渡人の債権ではなく、譲受人の債権をその担保すべき債権の範囲で担保することとなる。

農地法

農地の権利移動や転用の制限、利用関係の調整、遊休農地に関する措置などを定めた法律。1952(昭和27)年に制定された。
耕作者の地位の安定と農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的としている。

2009(平成21)年の法改正によって、農地の賃貸借に関して大幅に制限が緩和され、農業生産法人だけでなく、一般の法人NPO等が、農地を借りて営農できるようになった。
一方、農地について所有権賃借権等を有する者は、その適正で効率的な利用を確保する責務を負う旨の規定も追加された。

軒先

屋根の外壁から突き出た部分が「軒(のき)」で、その先端部分をさす。「軒端(のきば)」も同じ意味である。

軒先には装飾的な加工が施される場合があるほか、雨樋(軒樋)が取り付けられていることが多い。

なお、「軒先」は、家屋の外壁付近をさす言葉として使われることもある。

延べ面積

建築物の各階の「床面積」の合計のこと。

なお、容積率を算出する際には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。

1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)

延床面積

建築物の各階の「床面積」の合計のこと。

なお、容積率を算出する際には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。

1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)

法地

宅地として使用できない斜面部分のことをいう。

自然にできたもの、切り土盛り土の際に人工的につくられたものの両方を含む。また、敷地補強等のための擁壁設置に伴う斜面も法地である。「法面」と呼ぶこともある。

不動産広告において表示される宅地面積は、法地を含む平面投影面積であるが、一般的には法地面積が別途表示されることはない。ただし、

1.傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が土地面積のおおむね30%以上を占める場合(マンションおよび別荘地等を除く)または傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く)は、その旨およびその面積

2.土地の有効な利用が阻害される著しい不整形画地および区画の地盤面が2段以上に分かれているなどの著しく特異な地勢の土地についてはその旨

3.土地が擁壁によっておおわれない崖の上または崖の下にあるときはその旨

を、それぞれ明示すべきとされる(不動産の表示に関する公正競争規約による)。

法面

宅地としては利用できない切り土盛り土における傾斜面のこと。「法(のり)」ともいう。

は行

ハウスクリーニング

住宅の清掃サービス。特に、換気扇壁紙、浴室、トイレなど、技能が必要な箇所を掃除する場合に活用されている。また、賃貸住宅の退去に当たって清掃が必要な場合に、それを代行するサービスもハウスクリーニングである。

なお、ハウスクリーニングは和製英語である。

ハウスメーカー

住宅の生産を工業システム化し、住宅建設事業を広域に展開している建設会社を指す言葉であるが、明確な定義はない。

住宅建設は発注者の注文に従って工事を進めるため、用いる材料や工事方法は区々であるが、ハウスメーカーは、建築資材や工法を規格化して、住宅生産を工業生産システムに似たかたちで実施する体制を整えている。その結果、生産効率を高め、大量生産、品質確保、工期短縮、コスト低減を図ることができるとされる。一方で、建物の設計は規格化された生産システムや資材・工法に従わなければならず、注文者の幅広いニーズへの対応、立地条件との調整、周辺環境との調和の確保など、個別の事情に応えることについては限界があるとされる。

ハウスメーカーが建設する住宅はほとんどが一戸建て住宅である。また、ハウスメーカーの特徴は生産を規格化・システム化することであって、実際の工事のほとんどは、工務店や大工が下請負として施工している。

なお、住宅建設会社には、ハウスメーカーのほか、ハウスビルダー、工務店、大工店などがある。それぞれの定義は明確ではないが、事業展開の範囲、工法、工事体制などに違いがある。

ハザードマップ

自然災害による被害予測および避難情報を表示した地図をいう。

災害の種類に応じて、洪水、津波、火山、土砂災害などのハザードマップが作成・公表されている。

ハザードマップには、災害発生時に予測される被害の範囲・程度などの他、避難経路や避難場所が示されている。

災害を防ぐには、その発生を防止するだけでなく、発生後の被害を軽減すること(減災)も有効であり、そのために活用される。また、地域のリスクを管理する上での情報基盤としての役割も果たす。

旗竿地

袋地から延びる細い敷地道路(公道)に接するような土地をいう。

その形が竿のついた旗に似ていることから旗竿地と称される。

建築基準法では、建物の敷地について、道路に接する間口が2m以上なければならないとされているが、旗竿地は、その基準を最低限度で満たす土地である。公道からのアクセスの不便さ、周囲すべてを隣地に囲まれているという敷地環境、比較的低い地価水準などが特徴とされる。

幅木

壁の最下部で床に接する所に水平に設けられた化粧材のこと。

壁の最下部を物がぶつかる等の損傷や汚染から保護し、床の納まりを良くする。木材、石、タイル、金属板、プラスッチック等が用いられる。

小屋組床組の荷重を二点支持により水平や斜めの状態で支える横材のこと。

柱などと連結して、上方からの荷重を鉛直方向に流し、地面に力を伝える重要な構造部材である。

媒介契約

不動産の売買・交換・賃貸借の取引に関して、宅地建物取引業者が取引当事者の間に立ってその成立に向けて活動するという旨の契約をいい、売主または買主(賃貸借取引の場合には、貸主または借主)と宅地建物取引業者との間で締結される。

宅地建物取引業法は、媒介契約について、契約内容を記した書面の交付義務、媒介報酬の制限などを規定しているほか、媒介契約に従って行なう活動の方法等についてそのルールを定めている。

売買契約

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。

売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。
また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。
さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。

当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

バルコニー

建物の上階の壁面から突き出した床の部分。英語のbalcony。通常、屋根がない。「露台」も同義。

マンションの場合、共用部分とみなされるので、各住戸の専有面積に算入されない。またマンションの各住戸の所有者は、バルコニーに物を置いて火災時の避難に支障をきたしてはならないとされている。

なお、建築基準において、バルコニーの外端からの距離が1mを超える内側部分は、建築面積に算入される。

パントリー

食料品や食器を入れておく小室、または配膳室のこと。

厨房に隣接して配置する場合と、食事をとる部屋に近付ける場合があり、配膳における一連の動作がスムーズに進むように設計すると良い。

平屋(フラットハウス)

地上階層が1階だけの建物。フラットハウスは和製英語で、英語ではone-storied building(ワン ストーリード ビルディング)、one-story house(ワン ストーリー ハウス)などという。

BS(BS放送)

静止衛星を利用した放送サービス。BSは英語のBroadcasting Satellitesの略語。

BS放送は、衛星から直接に電波を受信するため、テレビ塔などから受信する地上波放送に比べて、電波が建物や地形の影響で乱れることがないとされているほか、大容量の情報を伝達できるためチャンネル数が多い。

受信のためにはパラボラアンテナが必要であるが、パラボラアンテナで受信した信号を、光ファイバー、ケーブル、インターネットなどで配信するサービスを利用することもできる。

なお、衛星放送には、BS放送のほか、CS(Communication Satellites)放送がある。BS放送は放送専用の衛星を利用しているが、CS放送は通信事業用の衛星を利用するという違いがある。放送のしくみはほぼ同じである。

PC造

プレキャストコンクリートを使用した建築構造のこと。

鉄骨の骨組にプレキャストコンクリートをはめ込むことによって造られる建築構造である。

この建築構造は工事期間とコストが少なくて済むため、賃貸マンションなどに多用されている。

Pタイル

プラスチック系床材であって、タイル状に成型されているものを「プラスチックタイル」または「Pタイル」という。

Pタイルには、その材料によって、塩化ビニル系タイル、アスファルト系タイル、ゴム系タイルなどの種類がある。

ただし、一般的に「Pタイル」という場合には、塩化ビニル系タイルのうち硬質のもので、大きさが30cm×30cmのものを指していることが多い。

この一般的な意味でのPタイルは、硬質で耐久性・耐磨耗性に優れており、学校、オフィス、商業施設で多用されている。

吹抜け

2つ以上の層にまたがって設けられる室やスペースのこと。

階段室は言うまでもなく吹抜けだ。風や熱の吹抜けが容易で、また遮蔽するものがないために、開放的で快適な空間を生み出す。冷暖房効果を高めるために、天井扇を付けることが望まれる。

不動産取得税

不動産を有償または無償で取得した場合や改築等により不動産の価値を高めた場合に、その取得者等に課税される地方税のことである。
不動産の所在地の都道府県が課税の主体となるので、実際の徴収事務は都道府県が行なうこととされている。

不動産取得税の税率は原則的に「不動産の固定資産税評価額の4%」とされている。

ただし「住宅の建物部分」に係る不動産取得税については「建物部分の固定資産税評価額の3%」とされている(地方税法附則第11条の2)。
ちなみにここでいう「住宅」には別荘を含まない。ただし、週末を過ごすため郊外に購入した2つめの住宅や、勤務地の近くに購入した2つ目の住宅といったいわゆる「セカンドハウス」はここでいう「住宅」に含まれる。

なお、一定の要件を満たす「住宅の建物部分」や一定の要件を満たす「住宅用土地」については、不動産取得税の税額そのものの大幅な軽減措置が設けられている。

不動産取得税は原則的には、不動産を取得した者に対して、不動産の取得の日において課税される(地方税法第73条の2第1項)。
ただし、新築によって建物を取得した場合には「最初に使用された日」または「譲渡された日」が「取得の日」とみなされて、その日における所有者が納税義務を負うケースがある(地方税法第73条の2第2項)。具体的には次の通りである。

1.「最初に使用された日」が「取得の日」となるケース
賃貸業を行なう個人が、建築業者に賃貸建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初に借家人が使用した日が「取得の日」となる。
また、一般の個人が建築業者に自己の居住用の建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初にその個人が入居した日が「取得の日」となる。

2.「譲渡された日」が「取得の日」となるケース
建売分譲業を行なう会社が、建築業者に建売住宅を新築させた場合には、新築の日ではなく、建売住宅が販売された日に課税される。このとき納税義務者は建売住宅の購入者となる。

なお、上記1.2.の場合において、新築の日から6ヵ月を経過しても、最初の使用や譲渡が発生しない場合には、その6ヵ月を経過した日が「取得の日」とみなされる。

フラット35

住宅ローンのひとつで、民間金融機関と(独)住宅金融支援機構が連携して提供する長期固定金利のものをいう。民間金融機関が住宅資金を融資したうえでその債権を住宅金融支援機構に譲渡し、機構はその債権を証券化して資金を調達するというしくみによって運営される。

フラット35の融資期間は最長35年でその間の金利は固定されている。また、融資の対象となる住宅は、住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していなければならない。住宅を建築する場合のほか、新築住宅の購入、中古住宅の購入、借り換えの場合にも利用できる。

フラット35S

フラット35の利用において、省エネルギー性能や耐震性・バリアフリー性などに優れた住宅の取得については借入れ金利を一定期間引き下げる制度をいう。

省エネルギー性能等に優れた住宅を取得する場合の「フラット35Sエコ」と、耐震性・バリアフリー性等に優れた住宅を取得する場合の「フラット35Sベーシック」の二つの種類がある。なお、優良性の基準は複数あり、それに応じて、金利の引下げ期間、金利引下げ幅、融資率が異なる。

フリーレント

建物等の賃貸契約において、一定期間賃料を無料とすることをいう。

賃料相場等への影響を避けながら実質的に賃料を割安にする手法であり、販売促進の方法の一つである。

主として事務所ビルの賃貸に際して採用されることがあるが、住宅賃貸においても採用する例が現れている。

フローリング

フローリング

木板や木質材料による床板のことを一般に「フローリング」という。

フローリングには、単層フローリング(無垢材(一枚の厚い天然木単板)を多数敷き詰めたもの)と、複合フローリング(単板を重ねて表面に天然木単板を接着した板材を多数敷き詰めたもの)の2種類がある。

近年では、コストが安く、変形・伸縮が少ない複合フローリングが主流となっている。

フローリングには下階に床衝撃音が響くという短所がある。これを克服するには、フローリングとクッション材を複合した商品(複層フローリング)を使用することが有効である。

ブレース構造

鉄骨構造のうち、柱、のほかに「筋かい」を使ったものをいう。ブレースは英語のbraceで、「筋交い」のことである。

なお、鉄鋼構造の種類には、ブレース構造のほか、柱と梁のみで構成するラーメン構造、多数の三角形を組み合わせたトラス構造がある。

分譲賃貸

分譲用の住戸を賃貸すること。もっとも、建築設計上は、分譲用住戸と賃貸用住戸との違いはない。

分筆

土地登記簿上で一筆の土地を、数筆の土地へと分割すること。

プレハブ住宅

現場での施工の前に、あらかじめ工場で部材の加工、組立てを行ない、それを現場で組み立てる住宅。

生産性の向上、質の均一性、精度の向上を目的とし、現場作業を軽減させることから工期も短縮できる。また、工場生産により価格が抑えられることなどの特徴がある。

プロパティマネジメント(Property Management)

委託を受けて不動産の管理・運用を行なう業務をいうが、特に収益性の確保・向上をめざした業務をさすことが多い。

その業務は、大きく、運用計画の立案、賃料の設定、テナントの募集・契約などの運用業務と、不動産や設備の維持・保全、予算・収支の管理などの管理業務に分けられるが、両者を総合化して、当該不動産から得られる収益を最適化することが最も重要であるとされる。不動産の証券化などにおいて、その能力が問われる業務でもある。

プロパンガス

プロパンやブタンを主成分とするガス燃料。プロパンやブタンは液化石油ガス(LPG)である。高圧で液化してボンベに充填し、ボンベを配送する方法で供給される。家庭用燃料として供給されるプロパンガスの成分規格は、添加物の違いはあるものの基本的にひとつだけで、家庭用プロパンガス器具はこの規格に適合するよう製造されている。

無色、無臭であるが、安全のために匂いがついている。また、空気よりも重い。

なお、都市ガスに比べて単位容量あたりの発熱量が大きいが、ガス器具の構造によって燃焼量が調整されているため、使用に当たっての火力は都市ガスとほとんど同じで、安全性も同等である。

平面図

建築物の各階について、一定の高さで水平に切断し、その形状を水平面に投影した図。部屋の配置、出入口・窓等の位置、設備等の設置場所などが表示される。建築物の仕様を示す基本的な図面の一つである。

なお、建物の仕様を示す基本的な図面には、平面図のほか、立面図、配置図がある。

壁心

建物床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のこと。「壁芯」と書くこともある。

この「壁心」の考え方で計算すると、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分の床面積よりもやや大きな床面積となる。

建築基準法では、建物の床面積とは「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積」であると規定しているので、建築基準法は壁心の考え方を採用しているということができる(建築基準法施行令2条1項3号)。

なおこの「壁心」と異なる床面積の測定方法として「内法(うちのり)」がある。

べた基礎

基礎の底部が隙間なく連続し、基礎の底部が一枚の板状になっている基礎のこと。

ベランダ

建物の壁面から突き出した床の部分。英語のveranda。通常、屋根がついている。和室の「縁側」もほぼ同義である。

マンションの場合、共用部分とみなされるので、各住戸の専有面積に算入されない。またマンションの各住戸の所有者は、ベランダに物を置いて火災時の避難に支障をきたしてはならないとされている。

なお、建築基準において、ベランダの外端からの距離が1mを超える内側部分は、建築面積に算入される。

ペアガラス

複層ガラスともいう。

遮音性・断熱性を高めるため、ガラスを二重にしたサッシのこと。結露を防ぐ性能を持つタイプもある。

ペット共生住宅(ペット共生物件)

ペットの飼育が認められている住宅。原則として管理規約(賃貸住宅については賃貸借契約)で飼育を認める旨が定められているほか、使用細則等において、動物等の種類や数等の限定、管理組合への届出等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法、共用部分の利用方法、ふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置などが規定されていることが多い。

また、ペットの飼育に資するべく、足洗い場、専用トビラなどが設置されていることもある。

なお、賃貸住宅でペットを飼育する場合については、「ペット相談可(賃貸住宅における~)」も参照。

ペット相談可(賃貸住宅における〜)

ペットの飼育について、貸し主または賃貸管理会社に相談して了承を得る必要がある賃貸住宅。賃貸借契約において取り扱いが明示され、ペットの種類、数、飼育方法などに応じて飼育の可否が判断される。

賃貸住宅では、一般にペットの飼育は認められていないが、ペット相談可とされている場合には、相談することによって一定の条件のもとで飼育することができる。

なお、賃貸住宅でペットを飼育し、ペットによる柱やクロスなどのキズ、臭いの付着などが生じた場合には、退去時に、キズや臭いを原状に回復のための費用を請求されることがある。

保証人

債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者をいう。保証人は、法的な行為能力があり、かつ、弁済する資力がなければならない。

債権の回収を確実にするための方法は、財産への請求権を確保する方法(物的担保)と、債務者以外の人への請求権を確保する方法(人的担保)があり、保証人は人的担保のしくみである。

保証人の責任は、保証人が債権者と書面で保証契約を結ぶことによって効力が生じる。保証契約によって負担する債務が「保証債務」である。

保証する債務は、特約のない限り、主たる債務(債務者が元々負っていた債務)のほか、利息、違約金損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含するとされている。例えば、借家人の保証人は、借家人が滞納した家賃だけでなく、明渡しに際しての原状回復などについても責任を負うことになる。

人的担保は、保証人に予期しない負担を負わせ、大きな被害を与える可能性がある。そこで、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって、保証人の保護を強化するべく、次の規定が定められた。
1)個人の保証人については、保証契約時に債務額が確定しない保証(信用保証、身元保証、賃貸借上げ保証など)の場合にはその限度額を定めなければならず、その額を限度に履行責任を負うこと(限度額を定めなければ保証契約は無効となる)
2)事業用の融資に係る経営者以外の保証人については、公証人による意思確認手続が必要であること
3)保証人に対し、主たる債務者の財産等の状況(事業用の融資に係る場合)、主たる債務の履行状況及び期限の利益の喪失に関する情報を提供すべきこと

本間(京間)

建築の基準尺で、主に近畿・中国・四国・九州で使用される単位。「京間」「関西間」「本間間(ほんけんま)」も同じ意味である。

本間の尺度は、畳寸法を基準とする畳割においては、6尺3寸×3尺1寸5分(約1.91m×約0.955m)のを用いる。また、柱の心々間を基準とする柱割においては、1間を6尺5寸(約1.97m)とする。

本間で用いられる畳の大きさは、田舎間(江戸間)や中京間などよりも広い規格である。

なお、住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いることとされている(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)。

ホームセキュリティ

住宅の安全を確保するためのサービス。和製英語。

警備会社が提供する有料のサービスで、設置したセンサーなどによって、外部からの侵入、火災やガス漏れの発生などを感知し、自動的に通報してガードマンが駆けつけて対応するしくみである。

防火構造

建物の外壁や軒裏について、建物の周囲で火災が発生した場合に、外壁や軒裏が延焼を抑制するために一定の防火性能を持つような構造のことである(建築基準法2条8号)。
このため、防火構造は一般に「外壁・軒裏防火構造」と呼ばれることも多い。

よく似た言葉として「耐火構造」「準耐火構造」があるが、「耐火構造」「準耐火構造」は建物内部で火災が起きた際にも、当該建物自体の倒壊や周囲への延焼を防ぐような構造を指している。
これに対して、防火構造は、建物の周囲で火災が起きたときに、当該建物が火災に巻き込まれないために必要とされる外壁や軒裏の構造のことである。

具体的には、防火構造の詳しい内容は告示(平成12年建設省告示1359号)で規定されている。例えば木造建築物の場合には、その外壁において屋外側を鉄網モルタル塗り、屋内側を石膏ボード張りとすることにより、防火構造とすることができる。

建築物を防火構造としなければならないのは次のようなケースである。

1.防火地域の一定の付属建築物
防火地域で、平屋建ての付属建築物(延べ面積が50平方メートル以下のものに限る)を建てる場合は、耐火建築物準耐火建築物にしないことが可能である。しかしこの場合には、当該建築物は防火構造とする必要がある(建築基準法61条)。

2.準防火地域の地上1階または地上2階の建築物
準防火地域では、地上1階または地上2階の建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合でも、その地上1階または地上2階の建築物が木造等である場合には、外壁・軒裏を防火構造としなければならない(建築基準法62条2項)。

3.準防火地域の3階建て建築物
準防火地域では、3階建ての建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合には「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要があるとされている(建築基準法施行令136条の2)。
この「3階建て建築物の技術的基準」では、3階建て建築物の外壁と軒裏は必ず防火構造としなければならないとされている。

防火地域

防火地域は、都市計画で指定される地域であり、火災を防止するため特に厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法61条)。

防火地域での建築規制は次の通りである。

1.すべての建築物は少なくとも「準耐火建築物」としなければならない。

2.次の1)または2)の建築物は必ず「耐火建築物」としなければならない。
1)階数が3以上の建築物
2)延べ面積が100平方メートルを超える建築物
ここで「階数が3以上」とは、地下の階数も含む。従って、防火地域内の地上2階地下1階の建物は耐火建築物とする必要がある。
延べ面積が100平方メートルちょうどであれば、上記2.には該当しないことにも注意したい。

なお、建築基準法61条では、防火地域であっても次の建築物は「準耐火建築物」としなくてもよいという緩和措置を設けている。

ア.平屋建ての付属建築物で、延べ面積が50平方メートル以下のもの。
イ.門、塀
ただし上記ア.に関しては、外壁・軒裏を防火構造とし(建築基準法61条)、屋根を不燃材料でふき(建築基準法63 条)、開口部に防火設備を設ける(建築基準法64条)ことが必要とされている。

防水パン

洗濯機を置くための皿状の台のこと。洗濯機パンともいう。

防犯ガラス

破壊が難しく、侵入を防ぐ効果の高いガラス。2枚のガラスの間に外力への抵抗性が大きい特殊フィルムが挟み込むことで、割れにくく、破るために時間を要する構造となっている。

防犯効果は、挟まれている特殊フィルムの厚さや材質によって異なるが、割るのに5分以上を要する抵抗性能が必要と考えられている。

ポータルサイト

インターネットの入り口となるWebサイトをいう。

そのサイトでは、通常、各種情報源へのリンクが設定されているほか、検索エンジン、各種の情報提供、Webメールなどの付帯的なサービスが提供されることが多い。インターネットは各サイトが網の目のように連結されているため、必要なサイトに直接アクセスすることは困難で、一般的には、アクセスのためにポータルサイトを経由することとなる。

ポータルサイトは、利用者数が増えるほど、広告や電子商取引サービスなどによる収入が期待できるため、付帯的なサービスの向上を競っている。一方、Webを活用した顧客獲得などのためには、そのWebサイトへのアクセスを用意することが有効であるから、ポータルサイトでの露出度を高めるような工夫が必要である。不動産の販売や不動産サービスの広告にもWebサイトが活用されているが、そのサイトへのアクセスの大部分はポータルサイトを経由したものと考えてよい。

ポータルサイトとして有名なものは「Google」や「Yahoo!」であるが、これらはポータルサイトの持つ可能性を切り開き、Webを活用したビジネスを先導してきた検索エンジン系のサイトである。

ま行

前家賃(前払家賃)

建物の賃貸契約の際に支払う翌月分の家賃。ほとんどの家賃は月払いであるが、契約時には、契約月の家賃を日割り計算して支払い、さらに、前家賃として翌月分の家賃を加えて支払うことが多い。

なお、家賃が発生する日付は、契約日とする場合が多いが、入居日からとする場合もある。

間口

土地と道路が接する長さのこと。

間仕切り壁

建築物の内部空間を仕切るための内壁のことであり、室と室とを区画する壁のことである。

間仕切り壁は、耐力壁(地震力、風圧力に対抗する壁)である場合もあれば、そうでない場合もある。

抹消登記

登記の記載を抹消する登記のこと。
抹消登記を申請するためには、その抹消によって登記上利害関係を有する者がいる場合にはその者の承諾(その者の承諾が得られない場合には承諾に代わる裁判の謄本)が必要である。

間取り

部屋の配置。居間、寝室、台所、浴室などの位置関係や、それぞれの部屋のかたち・広さによって示される。

間取りを図面化したものを「間取図」といい、通常は方位、縮尺が示されている。

なお、「◯LDK」のような表示は、部屋の位置関係が不明であって、間取りを示すものではない。

マンション

日本におけるマンションは、一般的には、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の分譲共同住宅・賃貸共同住宅を指している。ただし、賃貸共同住宅の場合にはPC造重量鉄骨造であっても、マンションと呼ばれることがある。

本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。

マンスリーマンション

おおむね1ヵ月単位で賃貸借される住宅。一般に、家具や基本的な生活品が備えられ、簡易な手続きで入居できる。

長期滞在型ホテルまたは短期賃貸住宅として経営されているケースが多いが、その区別の基準は明確ではない。一応の目安として、賃貸期間が1ヵ月を超えていればホテルではないと考えられている。

ホテル経営であれば旅館業法が適用されるが、賃貸住宅の経営であれば一般の不動産賃貸と同様に特別の法規制はない。ただし、所有・賃借する住宅をマンスリーマンションとして経営する場合には、マンション管理規約等に適合する必要があるほか、賃貸借の仲介業務については宅地建物取引業法が適用される。

水回り

給排水のための設備が設置されている区画。台所、洗面所、浴室などが該当する。

水回りの維持管理に当たっては、水漏れ、水詰まり、水たまりなどについて注意しなければならない。

認印

個人の印鑑であって、市区町村長に対してあらかじめ印鑑登録を行なった印鑑(実印)ではない印鑑のこと。

みなし道路

幅が4m未満の道路であって、建築基準法第42条第2項の規定により、道路であるものと「みなす」ことにされた道路のこと。

その法律の条項の名称を取って「2項道路」と呼ばれることが多い。

建築基準法第43条では、建築物敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。

ここでいう「建築基準法上の道路」は、原則として幅が4m以上あることが必要とされている(建築基準法第42条第1項)。

しかしながら、わが国の現況では、幅が4m未満の道が多数存在しているため、次の1.~3.の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられている(建築基準法第42条第2項)。

1.幅が4m未満の道であること
2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと
3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと

これらを、その条文名をとって「2項道路」と呼んでいるのである。

こうした2項道路に面している土地については、道路中心線から2m以内には建築ができないという制限(セットバック)があるので特に注意したい。

無垢材

製材したままで用いる木材。一本の樹木から切り出される。

樹木の性質がそのまま保たれ、湿度を調節する性能(調湿性)や感触の良さに優れているとされる。床材、天井材などのほか、構造材としても使われる。

無垢材に対して、複数の板・角材を集成・接着して作った木材が「集成材」である。

棟上げ

棟木を納めること、もしくはそのときに行なう儀式のこと。
新築への祝福と神の守護に感謝を示し、同時に無事建設されることを祈願する。建築工事の着工と完了の中間にあり、建物の形態がおおよそ整った時点を指す。

メゾネット

マンションにおいて、上下2階にわたる住戸のことを「メゾネット」という。

上下に広い空間を確保し、一戸建てのような内部空間を作ることができる。

免震構造

大地震による揺れをできるだけ小さくして、心理的恐怖感や家具の転倒などによる災害を少なくするために、建物基礎と土台の間に防振ゴム(積層ゴム)を挿入するなどの構造を免震構造という。

これまではマンションでの採用が多かったが、最近は一戸建て住宅に採用するケースも多い。振動を通常の2~3割程度に和らげる効果があるとされており、今後さらなる増加が予想される。

メンテナンス

構造物、機械、システムなどを不具合が生じないように維持補修すること。英語のmaintenance。

建物のメンテナンスは、屋根・外壁、土台、配管、空調・電気・ガス設備などを点検し、修理する作業によって行われる。計画的にメンテナンスすることによって、建物の性能を維持し、耐久性を保つことができる。たとえば、マンション長期修繕計画による定期的な補修もメンテナンスである。

メンテナンスによって建物の構造・設備の劣化を遅らせることができるほか、リフォームリノベーションは積極的なメンテナンスでもある。メンテナンスの良否はインスペクションにおいて確認され、建物の性能評価に反映することとなる。

木造

建物の主要な部分を木材とした建築構造のこと。

木造の工法は、大きく分けて「在来工法」「伝統工法」「枠組壁工法」に分類されている。

木造軸組工法

在来工法ともいい、木造建築物の工法の一つ。
「在来工法」とは、「伝統工法」をベースとしながら、第二次大戦後の技術革新で新たに生まれた木造建築物の工法である。

この「在来工法」は、「木造軸組工法」「在来軸組工法」「在来木造」「木造軸組」などのさまざまな呼び方がされるが、その内容は基本的に同じである。

「在来工法」の特徴としては次のことが挙げられる。

1.鉄筋コンクリート製の「布基礎」(連続フーチング基礎)を採用し、土台と布基礎をアンカーボルトで緊結する。
2.筋かいを入れて、プレート等で止めつけることにより、軸組全体を安定させる。
3.壁材に構造用合板を採用する等により、壁に強度を与える。
4.その他、材の接合部(仕口)に多様な金物を用いて、軸組全体を補強する。

これらの工夫により構造的に強い木造建築が初めて可能となった。

ちなみに建築基準法では、木造建築物についてさまざまなルールを設けているが、これらのルールの前提として想定されているのはこの「在来工法」である。

木造ビル

木材を構造材として用いた中高層建築。中高層建築の大部分は、鉄⾻造や鉄筋コンクリート造であるが、木造技術の開発・進展によって、構造材に木材を用いる中高層建築が広がりつつある

木造ビルの工法は、伝統的な木造軸組工法ではなく、マスティンバー(体積が大きな木質集成材)を用いる工法、木質パネルや集成材複合部材を用いる工法、木質集成材を軸材に用いる工法(集成材ブレース構造)などが採用されている。

木造ビルの普及に当たっては、耐久性、耐震性、耐火性、衝撃音遮断性能等が課題とされ、技術開発が進められている。また、建築基準において、CLTを用いた建築物の一般的な設計法等が定められるなど、制度的な制約が緩和されつつある。

持分

複数の人が同一物を同時に所有しているときに(共同所有)、それぞれの共同所有者がその目的物に対して有する権利、または、有する権利の割合。

共有物の持分は、一般に、自由に譲渡・処分することができる。また、それぞれの共有者は、共有物の全部について持ち分に応じて使用することができ、持ち分に応じて管理費用の支払いなどの負担を負う。

なお、特に定めがない場合には、持ち分は均等と推定される。

モデルハウス・モデルルーム

住宅販売などに当たって展示・PRのために建設された住宅または部屋をいう。

住宅建築の受注や分譲住宅の販売のために建てる戸建て住宅が「モデルハウス」、マンション販売の場合などにおいて展示する部屋が「モデルルーム」である。建築工法、住宅性能、室内環境等を具体的に示すことができるが、現実に販売される住宅等とまったく同一ではない。

モルタル

セメントと砂に、水を加えて練り合わせたもの。
左官材料として多用される。

や行

家賃保証会社

賃貸住宅の賃借人が負う家賃支払債務について、連帯して保証する会社。

家賃保証会社の連帯保証責任は賃借人との保証委託契約によって成立する。委託契約の締結に当たっては、家賃保証会社が賃借人の家賃支払能力等について審査するのが通例である。


契約が成立すれば、賃借人は保証料を支払い、家賃保証会社は、賃借人が家賃支払債務に関して不履行が生じた場合に賃借人に代わって代位弁済する。この場合、代位弁済した家賃保証会社は賃借人に対する求償権を得ることとなる。

家賃保証は、従来、連帯保証人によることが多かったが、保証人に予期しない負担を負わせる可能性があること、保証人を依頼することが難しいことなどから、それに代わって、家賃保証を業務とする営業(保証ビジネス)が広まった。

家賃保証会社は、賃貸人の債務負担能力の審査、代位弁済した家賃の求償などを担うことから、健全な業務運営を確保し、賃借人の利益を保護する必要がある。そこで、国土交通省は、家賃保証会社が登録するしくみ(家賃債務保証業者登録制度)を創設した(2017年10月)。この制度によって、登録した家賃保証会社は、保証業務の実施に当たって、契約前の重要な事項に関する説明・書面交付、賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け、受領した家賃等についての自己の財産との分別管理、暴力団員等への求償権の譲渡等の禁止などのルールを遵守しなければならないとされている。

床暖房

床に発熱装置を組み込み、それからの輻射熱で暖房するしくみ。発熱装置には、温水パイプ、温風ダクト、電熱線などがある。

床暖房は、床から輻射熱で暖めるため、適切な温度環境を効率的に確保することができるが、建築時に一体的に設置しなければならない。

床面積

建築物の各階において、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積をいう(建築基準法施行令2条1項3号)。

なお具体的な床面積の判定の方法については、建設省(現国土交通省)が、通達(昭和61年4月30日付建設省住指発第115号)によって詳しい基準を設けている。

ユニットバス

槽、天井、壁、床などを工場で成形・製造し、現場で組み立てる方法で設置する浴室をいう。和製英語である。

部材がモジュール化されていて、工期が短く、防水性に優れ、品質が安定しているとされる。一方、サイズや素材の選択には限りがある。

なお、浴槽だけでなく、洗面台トイレをセットにしたものもある。

輸入住宅

外国で設計され、それに基づいて国内で建設される住宅をいう。資材等は基本的に輸入品が使われるほか、施工技術を外国から導入することもある。

容積率

容積率

延べ面積敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。

建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。

用途地域

建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。

用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率建ぺい率などの建築規制が定められている。
・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域
・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域
・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域

用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。

なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。

浴室乾燥機

浴室内で洗濯物を乾燥する設備。浴室を温風で暖め、湿った空気を排出することによって衣類を乾燥する方式である。また、この設備によって浴室の暖房もできる。

なお、よく使われる衣類乾燥機には、浴室乾燥機のほか、ドラム内で乾燥するタイプ(ドラム式乾燥機)がある。

ら行

ライフライン

都市機能を維持し日常生活を営むために必須の設備をいう。

電気・ガス・水道等、通信設備、人の移動・物流手段などがこれに当たる。大きな自然災害が発生した場合に、被災者の生活を支えるために最優先で確保すべき設備であるとされ、阪神・淡路大震災以降、よく使用されるようになった言葉である。

ラーメン構造(建築学上の~)

ラーメン構造

柱・という部材同士が剛接合され、水平方向の外力などに対抗できる強い骨組を形成しているような建築構造のことを、建築学では「ラーメン構造」と呼んでいる。「ラーメン」とは「枠」という意味である。

「剛接合」とは、部材の接合部が完全に固定されており、水平方向の力がかかっても接合部が回転・変形しないということを指している。

こうした建築学上の「ラーメン構造」は具体的には次のようなものである。

1.鉄筋コンクリート構造
通常の鉄筋コンクリート構造は、壁が外力に対抗する役割を担っており、「ラーメン構造」ではない(「壁構造」である)。
これに対して、鉄筋にコンクリートを巻くことにより、鉄筋コンクリート製の柱・梁を形成する場合がある。この場合には、その柱・梁が強固な骨組となるので、「ラーメン構造」である。

2.鉄骨鉄筋コンクリート構造
「鉄骨の柱」と「鉄骨の梁」が溶接とボルトで強固に接合されることで鉄骨骨組そのものが非常に頑強な「ラーメン構造」となっている。普通、「ラーメン構造」という言葉を使用するときはこの鉄骨鉄筋コンクリート構造を指すことが多い。

3.重量鉄骨構造
3階建て共同住宅などで多用されるこの重量鉄骨構造では、「鉄骨の柱」と「鉄骨の梁」がボルト接合されることで頑強な骨組の「ラーメン構造」となっている。

ラーメン構造(高層マンションの~)

高層の新築分譲マンションの販売広告で「ラーメン構造」「鉄骨ラーメン構造」「重量鉄骨ラーメン構造」と表示されていることがある。具体的には次の2通りがある

1.「鉄骨鉄筋コンクリート構造」のことを指している場合
「鉄骨鉄筋コンクリート構造」では、鉄骨の柱と鉄骨ので荷重を受け、水平方向の外力に対抗する。そのため、コンクリート壁の量を削減することが可能となり、壁の位置や開口部を比較的自由に変更することができるというメリットがある。
また風力・地震などの外力にも強く、高層マンションで多用される。

その反面、「鉄骨鉄筋コンクリート構造」は柱と梁が太くなり、居室の内部空間がやや狭く感じるというデメリットもある。このデメリットを克服するために、柱と梁を外壁に突き出したデザインにするという工法(これを「アウトフレーム工法」という)が採用されることがある。

2.「鉄筋コンクリート構造」のことを指している場合
鉄筋にコンクリートを巻くことにより、鉄筋コンクリート製の柱・梁を形成する場合には、その柱・梁が強固な骨組となるので、「ラーメン構造」となる。
これも1.と同様に、壁量を削減し、壁の位置や開口部を比較的自由に設けることができるというメリットを持つ。

実際の新築分譲マンション広告で「ラーメン構造」とうたわれるときは、上記1.の「鉄骨鉄筋コンクリート構造」を指すことが多い。
また最近の超高層マンションでは、上記1.2.と異なるラーメン構造(鉄骨の代わりに鋼管を使用した「鋼管コンクリート構造」など)が採用されることがある。

立面図

建物の鉛直面への投影図。建物を水平方向に見た形状を示す。外観が描かれていて、屋根、階、、ドアなどの位置関係を把握することができる。正面から見た立面図のほか、側面や裏面から見たものがある。


平面図矩計図とともに、建物の設計を知るための基本的な図面である。

リノベーション

新築を除く住宅の増築、改装・改修、模様替え、設備の取替えや新設などの改造工事を総称してリノベーションという。

リフォーム、リモデルなどとも。

既存建物の耐震補強工事もリノベーションの一種である。

リノベーション

新築を除く住宅の増築、改装・改修、模様替え、設備の取替えや新設などの改造工事を総称してリノベーションという。

リフォーム、リモデルなどとも。

既存建物の耐震補強工事もリノベーションの一種である。

リビングダイニング

食事室を兼ねた居間。ただし「リビングダイニング」は英語ではない。

居間の使い方の一つで、その形態は、部屋の一角にダイニングテーブルを置いて食事スペースとする場合のほか、居間のテーブルやソファを食事の際に兼用する場合もある。

リフォーム

建物の構造強化、機能向上などを図るための改修をいう。リフォームの種類には、耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化、耐久性向上化などのための工事がある。

リフォームへのニーズは、既存建物の有効活用、既存住宅流通の活性化、良質な住宅ストックの形成などの要請によって、今後高まっていくと考えられている。また、これを促進するためのリフォーム減税が措置されている。

一方で、リフォームは、その目的や内容が多様で幅広いこと、リフォーム前の建物の状態がさまざまであることなどの特徴がある。そのため、リフォームのための技術・技能や費用を標準化するのが難しい。また、リフォームによって高まるであろう不動産価値を評価する手法は十分に確立されているとは言い難く、リフォームを不動産価格に反映するしくみも十分ではない。リフォームに対するニーズに応えるためには、これらの課題に取り組まなければならない。

利回り

投資額に対する収益額の割合。

利回りを算定する投資の対象は、株式などの証券類、投資信託、不動産、金などの特定商品のほか、各種の金融商品である。また、算定する収益は、投資対象に応じて、利息、配当金、賃料、売却益などであるが、資産保有から得るインカムゲインに限定し、売買から得るキャピタルゲインは除外する場合も多い。算定期間は通常1年間で、「年利回り」ともいう。

不動産投資の利回りには、賃料収入をそのまま収益とする「表面利回り」と、維持経費を控除して収益を算定する「実質利回り」とがある。また、資産価値の算定に当たって、将来発生する収益額を現在価値に割り戻すときに用いる利率が「還元利回り」である。

なお、一般に、利回りが高い投資対象は、価格の変動性(ボラティリティ)が大きく、リスクも高いとされている(ハイリスク・ハイリターンの原則)。

琉球畳

サイズの正方形で縁がないをいう。

もともと沖縄地方で栽培されていた「七島イ」(カヤツリグサ科の植物、一般的なイグサより太く、強い)を使用した畳を指していたが、現在では、畳表の素材に関係なく畳の形に着目して使われる用語となっている。

床面を市松模様に形づくるなど、インテリアデザインのために使用される場合もある。

ルーフバルコニー

マンションにおいて、下の階の住戸の屋上部分を、上の階の居住者のためのバルコニーとしているものを「ルーフバルコニー」という。

通常のバルコニーと比べて広い空間を確保することができる。

ルームシェア

他人同士が一つの住宅で生活する住み方。個室は専用であるが、台所・食堂・浴室・便所などは共用することが一般的である。英語のRoom share。

ルームシェアは、良質な住宅ストックの有効利用、居住コストの最適化、幅広く柔軟な社会関係の選択などの要求に応えることができるほか、シェアリングエコノミーの発達を背景にしたライフスタイルでもある。

礼金

建物の賃貸借契約を締結する際に、借主から貸主に対して、謝礼として支払われる金銭をいう。
契約が終了しても通常、借主に返還されない。

連帯保証人

保証人(債務者が債務を履行しない場合に、その債務を債務者に代わって履行する義務を負う人)のうち、債務者とまったく同じ義務を負う保証人をいう。

通常の保証人には、催告の抗弁権(債務の履行を請求されたときに、まず主たる債務者に催告をなすべき旨を請求する権利)および検索の抗弁権(債務者の財産について執行するまで自己の保証債務の履行を拒むことができる権利)が認められるが、連帯保証人にはこれらの権利がない。つまり、債権者はいきなり連帯保証人の財産対して執行することができる。一般的に、銀行融資や消費者金融からの融資の際に求められる保証人は連帯保証人である。

レントロール

不動産賃貸借条件を一覧表にしたものをいう。

部屋・賃貸スペース別に、家賃・敷金等、契約日・契約期間等の契約条件が記されている他、賃借人の属性が記載されていることも多い。

その形式は区々であるが、賃貸不動産の調査・評価に当たって活用されている。

陸屋根

陸屋根

屋根形式の一つで、勾配が水平または水平に近いかたちのもの。

ログハウス

丸太を主要な構造材とする家屋。柱、梁(はり)、壁が、丸太または太い角材によって造られ、丸太組工法(丸太を積み重ねる方法)で建築される。英語でlog-house。

なお、軸組工法によって建築されるものであっても、柱、梁などに太い丸太を使い、その丸太を露出させた家屋などをログハウスと称することがある。

ロ準耐

準耐火建築物の一つで、「建築基準法第2条9号の3ロ」に規定されている建築物のこと。

主要構造部が、準耐火構造と同等の準耐火性能を有すると同時に、延焼の恐れのある開口部を防火戸等とした建築物である。

具体的には、主要構造部を「不燃構造」または「外壁耐火構造」とし、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)を防火戸等とした建築物のことである。

路線価

宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(公衆が通行する道路のこと)について、その路線に面する宅地の1平方メートル当たりの価額を1,000円単位で表示したものを「路線価」という。

宅地の価格水準が基本的にはその宅地が面する道路によって決定されるという発想にもとづいて、宅地の価格水準を道路ごとに表示したものと考えることができる。

公的な土地評価では、相続財産評価および固定資産税評価においてこの路線価が使用されている。

相続財産評価では市街地の宅地については路線ごとに「路線価」を定め、この路線価を基準として各種の補正率を適用し、宅地の財産評価を行なう。

この相続財産評価の路線価は、地価公示価格・売買実例価額・鑑定評価額・精通者意見価格などを参考として各国税局の局長が評定する。評定の基礎となる「標準宅地」としては全国で約40万地点が定められている。

この相続財産評価の路線価は、毎年1月1日を評価時点として評定され、毎年7、8月ごろに一般に公開されている。
なお、相続財産評価の路線価は、1992(平成4)年以降は地価公示の8割程度となるように評定されている。

ローコスト住宅

比較的安い価格で建築される住宅。明確な定義はないが、一般的に、設計の規格化、施工の合理化、低廉な資材や設備の使用などによってコストダウンが図られている。

ローン特約

不動産の買主が、金融機関やローン会社からの融資を前提として、不動産を購入しようとしているとき、融資を受けることができなければ、不動産の購入自体ができなくなる可能性がある。
そのため実際の不動産取引では、あらかじめ予定していた融資が金融機関等によって承認されなかった場合には、買主は不動産を購入する契約を解除して、契約を白紙に戻すことができるという特約を盛り込むことがある。こうした特約を「ローン特約」と呼んでいる。

「ローン特約」は買主が一定の場合に解除権を行使することを認める特約であるが、その特約の文言の解釈をめぐって紛争になることが少なくない。

「ローン特約」には次の事項を明記しておくのが望ましい。

1.買主に解除権が発生するための具体的な条件
(どの金融機関からいくらの融資をいつまでに受けることを予定しているか。融資の承認が下りなかった場合に、他の金融機関等に融資を要請する義務を負うか等)
2.買主が解除権を行使した際の、売主の義務
(売主の手付金・代金返還義務の内容)
3.買主が解除権を行使した際の、買主の義務
損害賠償義務が存在しないこと等)

わ行

Wi-Fi

無線LANの技術規格に適合した通信システム。アメリカの団体Wi-Fi Allianceが認証している。Wi-Fiという名称は造語である。

無線LANは、無線通信を利用してデータを送受信するローカルなネットワークで、国際標準規格(IEEE 802.11規格)が定められている。Wi-Fiは、この規格に適合する旨の認証を受けた通信システムで、Wi-Fi相互の接続が保証される。

枠組壁工法

木材でつくった枠に、構造用合板等を釘で打ち付けて、壁・床・屋根を形成する工法。
壁そのものが垂直方向と水平方向の強度を持つ点に最大の特徴がある。
本来は北米で生まれた工法だが、わが国では1974(昭和49)年の建設省告示により自由に建築できるようになった。

ツーバイフォー工法(2×4工法)」と呼ばれることもある。

和室

障子欄間など、日本の伝統的な設備によって構成された部屋。「日本間」ともいう。和室の規範は書院造りの主室とされ、床の間、違い棚などが設置されている。だが、これらを備えていない部屋であっても和室であることに変わりはない。

和室は、一般に、木造軸組工法で建築された家屋のなかに設けられる。しかし、建築工法にかかわらず、内装の様式として設置される場合も多い。

ワンルーム

一部屋で構成する住戸又はその間取りをいう。居室(リビング)、浴室・トイレ、キッチンを備えている。英語でOne-roomとつづれるが、意味上は和製英語である。

「ワンルームマンション」は、ワンルームで構成された集合住宅又は住戸そのものをさすが、その間取りは、一つの居室とキッチンスペースとが仕切られ、キッチンが独立しているタイプのものが多い。一方、「ワンルーム」のなかには、部屋に間仕切りがなく、キッチンスペースを含めて一部屋だけの住戸もある。

不動産の間取り表示において、キッチンスペースが仕切られているワンルームを「1K」、仕切られていないワンルームを「1R」と区別する場合がある。

ワンルームマンション

一つの居室と最小限の居住機能を満たす空間で構成されている住戸。居室のほか、トイレ、風呂、調理スペースなどを備えている。「ワンルームマンション」は和製英語である。

ワンルームマンションの居住性能は、調理スペース等の広さ、位置などによって相当異なるので、選択に当たっては、表示だけに頼らず実際に確認する必要がある。